第19話

俺はザングラッド侯爵に直接話を聞いた。


「闇ギルド?」


「ああ。ここ最近入った奴らはそう言っていた。」


闇ギルド。

盗賊が集まって、出来たギルド。暗殺、暴力、略奪、ダンジョンへの無断侵入なんでもやる。

というか、俺がやったことあるやつばかりだ。


「それで、そいつらの居場所は?」


「ああ、そいつらなら─────。」


俺は、ザングラッド侯爵から情報を引き出した。


ーーーーーーーーーーエドが去った後の侯爵邸にて


「言って良かったんですか、侯爵様?」


ザングラッド侯爵騎士団、副団長のおっさん


「いいんじゃ。言わないと殺されとったかもしれんし。」


「確かに、かなりキレてましたね。」


「できれば、闇ギルドの情報を一つでも多く、聞き出し違ったが、事態はもうその段階ではなくなった。」


「というと?」


「闇ギルドの大幹部が動き出したらしい。」


「ッ!!」


「怪物には怪物をじゃ。」


ハイエルフの血を濃く引き継ぎ、齢255歳のザングラッド侯爵は冴えていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「それで、いつになったら精霊の雫を持ってきてくれるの?」


闇ギルド女幹部コラーゲ。


「申し訳ございません!!!」


「謝罪はもういいの。聞き飽きたから。それでいつになったら持ってくるの?」


「申し訳ございません!!!」


「はぁ。」


コラーゲはため息をつきながら、謝罪を繰り返す部下の男の首を跳ねる。

周りの部下達の顔はみるみる蒼白に染まる。


「これ以上私に恥をかかせないで頂戴。そろそろ、大幹部のクランク様がいらっしゃるの。分かった?」


「「「「はい!!!」」」」


「返事だけはいいのよね〜。」


すると、突然扉が開いて、一人の血まみれの子供が入ってくる。


「なあ、ここが闇ギルドの拠点でいいのか?」


「あなたは?」


「そんなことはいいから、質問に答えてくれ。お前らにたどり着くまでに何日かかったと思ってるんだ?」


闇ギルド関係者を襲撃して数珠繋ぎに拠点を荒らし回って、ようやく辿り着いた。


「強引な男。嫌いじゃなわいわよ。それで、拠点の話だっけ?合ってるわよ、ここは闇ギルドの拠点の一つよ。」


「そうか。もしかしてあんたは女幹部のコラーゲだったりする?」


「よく分かったわね。私がコラーゲよ。」


「そうか、一応聞くけど、今回の精霊の雫の盗もうとした奴らの首謀者ってことでいいのか?」


「そうよ。大幹部クランク様への貢物としてね。」


「結構話してくれるんだな。まだ、何もしてないのに。」


「別にいいのよ。だって、あなたは私に殺されるんですもの。」


コラーゲがそう言った瞬間首が飛んだ。


コラーゲの首が飛んだ。


「「「「えっ?」」」」


周囲のものは現状を理解できない。

だが、理解できない現状は続いていく。

瞬きするごとに一人ずつ、首が飛んでいくのだ。


「あっ。」


最後の一人になってようやく理解した。

自分は死ぬのだと。


「それにしても、さっきクランクとか言ってたやつが大幹部なのか。殺す順番を間違えたか。」


『赤線』

白姫と黒姫に寸分違わず、同じ量の魔力を流し込むことで、

白姫と黒姫の効果範囲が広がる。

つまり、敵が生きてる限り、魔力と体力が無限に供給されるのだ。


その溜まった魔力を凝縮すると、魔力だけで質量を持つことになる。

つまり、刃が伸びて射程距離が広がるのだ。

しかも、高密度の刃だ。基本、防げない初見殺し。


この技を見た人間はすでに、血が流れている。つまり、赤線。


体と脳に途轍もない負荷がかかるから、滅多に使わない。

最近、長時間使えるように鍛錬してるが。



「幹部と大幹部の首と金目の物と大事そうな書類盗んでこ。あとは燃やすか。」



ーーーーーーーーーーザングラッド侯爵


「数日で幹部と大幹部の首を持ってくるとは。」


「本当に手がつけられなくなってきましたね。」


副団長


「大幹部なんて世界騎士の隊長格と同等かそれ以上の実力じゃぞ。」


「末、恐ろしいですね。」


「すでに恐ろしいわ。この生首は国王様に送っとけ。」


「かしこまりました。」


実はこの段階ですでに精霊の雫は国王様の元へと内密に送っていた。

年の功の男、ザングラッド侯爵。


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