第24話 千鳥お嬢さまは誕生日を祝ってもらう

「やなぎっちー来たっすー!」

「柳さん、こんにちは」


予定の時間になのさんと千音が来られました。


「こんにちは。どうぞ上がってください」

「おじゃまするっす」

「おじゃまします」


2人をリビングにお連れして、座って待っていただきます。


「お寿司と聞いていましたが、結構いいお寿司っすよね」

「配達のお寿司って聞いたけど、しっかりしたお店のお寿司だったんだ」


2人は準備されたお寿司を見てこう言いますが、思っていたのと違うようです。


「お爺様の代から贔屓にしているお店なので、毎年誕生日は阪寿司のお寿司を頼んでいます」

「阪寿司ってこの辺りでは1,2を競う超高級寿司じゃないっすか」

「聞いた話だけど、安くても1人数万円するって聞いたよ……」

「そんなことありませんよ。3000円から4000円で食べられます」

「3,400円が高いかどうかわからないっす」

「回転寿司でも多く食べると2000円ぐらいになるから、安いと言えば安いか……」


わたくしは回転寿司に行かないのですが、それでも2000円ぐらいになるのでしたら

一般のお寿司屋さんとしたら高くはないと思います。

それに、職人さんの腕もネタもかなり良いもですし。


「千鳥ちゃん、皆さんが来たのでほだかと志麻ちゃんを呼んできてくださいね」

「わかりました」


わたくしは梨子さんに言われて、志麻とほだかを呼びに行きます。


「志麻、ほだか、なのさんと千音さんがいらっしゃったのでダイニングに来てください」

「そうなんだ。それじゃ、行くね」

「そうですね」


志麻とほだかと共にダイニングへ向かい、席につきます。


「ところでしまっち、あの綺麗なお方はどなたですか?」

「梨子さんはほだかちゃんのお母さんだよ」

「そうっすか。ほだかっちも美少女すか、お母さんもお綺麗っす」


なのさんは隣に座った志麻と話していますが、梨子さんが気になってる様です。

梨子さんは綺麗なお方ですが、ほだかも梨子さんにてなのさんが言う通り美少女だと思います。

ただ、これを言うとほだかは恥ずかしがりますが。


「みなさん、飲み物を回しますので注いでください」


梨子さんは飲み物のペットボトルを皆さんに回して注いできます。


「千鳥ちゃんはわたしが注いでさしあげます」

「ありがとうございます」


飲み物を注ぎますが、梨子さんは大人の飲み物です。


「この度は千鳥ちゃんの誕生日にお集まりくださりありがとうございます。

千鳥ちゃんも本日で17歳になりました。では、これを祝して乾杯です」


梨子さんが乾杯の挨拶をして、食事がはじまりした。


「さすが高級寿司店のお寿司だけあって、味がよくわからないわたしでも美味しいとわかるっす」

「ネタもだけど、ご飯……じゃなくて、シャリもおいしい」

「阪寿司のお寿司は年に1回、ちーちゃんの誕生日でしか食べれないからね」

「志麻はお寿司目当てでわたくしの誕生日に来ているのですか?」

「そ、そんなことないって。ちゃんと誕生日プレゼントをあげたから」

「志麻、冗談です」


わたくしは笑いますが、志麻は冗談に聞こえなかったようでほっとしてる様です。


「なんか冗談に聞こえないよね」

「それは志麻の普段の行いの問題です」

「うー、それを言われると反論できない……」

「志麻さんも自分の行いを自覚してたんだ」

「千音ちゃんにまで言われたら何にも言えない……」

「あ、ごめん」

「気にしてないからいいよ」


千音さんのツッコミは意外と鋭いですが、それでも嫌な気分にはならないです。

さらに言いますと、思った素直に言っているのです。


「やなぎっちはもう17歳っすか。わたしの誕生日は12月7日なのでまだまだ先っす」

「わたしは8月21日だから来月だよ」

「ぼくは8月28日だけど、千音ちゃんと1週間違いだね」

「わたしは11月12日です」

「この中ではわたしが一番年したっす」

「なのは小さくて見た目はかわいから、末の妹って感じだからね」

「見た目はという部分はひっかかりっすが、かわいいなら許すっす」


志麻とほだかだけでなく、なのさんと千音からみても数か月ですがわたくしは一番年上になるようですね、


「一番年上だから、立派なバストをもってるっすね」

「ちーちゃんの胸は17歳じゃないよね」


なのさんと志麻がわたくしの胸の話をしだしましたが……何時もの事ではありますが。


「胸のサイズと年齢は関係ありません」

「そうっすよね。でも、立派なバストは憧れるっす」


なのさんは自分の胸をみてため息をつきますが、大きくてもいい事がある訳でもありません。


「胸が大きくても良い事はありませんよ」

「ちーちゃん、巨乳あるあるはダメだよ」


志麻がわたくしの話をこう言って遮ります。


「巨乳あるあるは肩がこるとか、下が見にくいとかですか?」

「さすがちーちゃん、わかってるよ」

「そうですか……」


わたくしは誕生日でもこんな感じなので呆れてため息が出ますが、これはこれで

何時も通りともいえますからね。

こんな事を話しながら、食事を終えたのでありました。


「それでは、ケーキを切り分けますからお待ちください」


梨子さんがそう言って、冷蔵庫からケーキを出して切り分けます。

その間に、なのさんと千音さんがわたくしにプレゼントを渡します。


「誕生日おめでとっす。プレゼントっす」

「柳さん、誕生日おめでとう。これはわたしからのプレゼント」

「お2人ともありがとうございます」

「別にいいっすよ」

「高い物じゃないけどね」

「お2人から貰物なら、志麻とほだか同様にうれしいです」

「そ、そうっすか」

「それならいいかな」


なのさんは照れて、千音さんはほっとしています。


「そういえば、しまっととほだかっちはプレゼントはわたしたっすか?」

「うん、先に渡したよ」

「わたしも先に渡しました」

「どんなものを渡したか聞いてもいいっすか?」

「いいけど、まだ中を見をみてないから……」


志麻とほだかはなのさんの耳元で何をプレゼントしたか話しています。


「ああ、しまっちもっすか」

「ま、いいんじゃないのかな」


話しの内容からどうやら志麻となのさんのプレゼントは同じ物らしいです。

わたくしとしては同じものでもちろん構いません。


 梨子さんが切り分けたケーキを食べ、食事も終わりとなりました。


「ふう、今日はおいしいものいただいたっす」

「そうだね。お腹いっぱいだよ。ご馳走様でした」

「ちーちゃん、美味しかったよ」

「ごちそうさまでした」


皆さん、食事を終えて満腹になったようです。


「時間はまだ14時前だけど、これからどうする?」

「わたしは満腹で少し休みたいっす」

「わたしもだよ」

「わたしはお母さんと片づけをします」

「ぼくは……」


志麻はわたくしの方を見ますが、きっとあの事ですかね。


「なのさんと千音さんはソファーで休んでいてください。

わたくしと志麻は……2階の自室に行ってきます」

「ほほう、この雰囲気は……誕生日に愛の告白っすか?」


なのさんはニヤニヤしながらからかいますが、間違っていないです。


「さ、どうでしょうね」


わたくしはあえてクールに言いますが


「お、これはしまっちでなく、やなぎっちからの愛の告白っすね」


となのさんがいいますが、なのさんは変な所で勘がよいですね。


「それもどうでしょう。志麻、2階の自室に行きましょう」

「う、うん……」


わたくしは志麻の手を掴んで2階の自室に行きますが、志麻は何だか戸惑った様子でありました。

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