わたくしの誕生日です

第18話 千鳥お嬢さまは誕生日まであと10日

志麻との約束の日であるわたくしの誕生日まであと10日です。

志麻はこの約2か月間、わたくしをデレさせる事は全くしていない事が気になっています。

そればかりか、この話題すら全くしていません。


(もしかして、志麻の事ですから、わたくしが既にデレてる事を気づいているのでしょうか)


志麻は何もいないですが、ちゃんとわたくし……いえ、わたくし以外の方たちも

ちゃんと目を配っています。

口には出しませんが、細かい所までしっかり把握してます。

そして、付き合いの長いわたくしやほだかの事は、言わなくても通じ合っています。

なので、デレてる事をわかっていながら、わたくしを焦らしてる可能性が高いです。


(ああ、このままではわたくしが負けてしまう……いえ、既に負けていますが

あのように言った手前、わたくしに余裕があるように見せないとなりません)


あの時はいかにもわたくしは絶対にデレないと、強気でいるように見せましたが

あの時点ではもうこれでもかってぐらいにデレていました。

周りからはツンデレお嬢様として通っていますが、実際はデレデレツンデレなのです。

つまりデレデレすぎて、それを隠すためにツンになってるのです。


 ただ、志麻にそれが通じているかは不明です。

何度も言いますが、志麻はわたくしがデレている事はわかっているかもしません。

わかっていても、気づかない振りをしている可能性は十分にあります。

なので、わたくしもデレてることを志麻に伝えるかは非常に悩みます。

しかし、それを伝えたら、わたくしの負けで志麻と恋人関係になると言う事です。


 志麻は好きどころか、大好きです。

大好きですが、志麻と恋人関係になるのはまた違います。

以前にも言いましたが、わたくしと志麻は関係が近すぎるのです。

いわば、家族として好きなのです。

家族として好きなので、欲情をしてはいけないと思ってはいますが.…

実際は欲情をしていて、それを自分で嫌悪しているのです。

実際に、この前志麻が佐藤さんに告白された時は悶々として志麻を思いながら……。


 それはともかく、志麻が好み過ぎるのがいけないのです。

志麻はショートカットで、丸顔で目がくりっとして幼さが残っているのがいいのです。

身長も154㎝と小さいながらも、Cカップなので胸が大きく見えるのです。

お尻はやや小さいですが、小さいなりに肉付きありよい形です。


 声はアニメ声というのでしょうか、かわいいの声をしてて

あの声で「ちーちゃん」と呼ぶのがもうたまらないのです。

ですから、毎日これでもかっというぐらいキュンキュンしているのです。


 ただ、志麻をこういう目で見てもいけないと思い、抑えている自分もいます。

しつこいですが、志麻との関係は幼馴染を通り越して家族なのです。

だから、好きすぎるのに、好きになれないというジレンマがあるのです。


「この気持ちをはっきり言えたら楽なのに……」


ぼそっとつぶやくと、やっていた課題も終わりましたので眠り事にしました。



一方、その頃。


「え?千鳥ちゃんへのプレゼントですか?」

『誕生日まであと1週間だけど、今年のプレゼントと何にしようかなって思って』


わたしと志麻さんは毎年、千鳥ちゃんへのプレゼントをしていますがその事を

ベッドの上で携帯で話しています。


『去年はハンカチだったし、一昨年はシャーペン、その前は消しゴム、さらに前は下下敷きだったけど、高2になったから少しはいいものをあげたいかなって』


志麻さんが言っている通り、プレゼントと言ってもほとんどが文房具です。

中学生なのでお金がなく、これぐらいしかプレゼントできないのですが

千鳥ちゃんにとっては、これでも十分なのです。

それに、貰ったものは現在もつかきった消しゴム以外は使用しています。


「志麻さんはバイトをしている訳でもありませんし、今まで通りの物で良いと思います」

『そうだとしても、少しはいいものをあげたいかなって』

「でも、お金がありますか?」

『なくはないけど……予算は2000円かな』

「2000円ですか。それだけあれ物によっては十分と思いますが」

『何か欲しいもはあるのかな?』

「どうなんでしょう。千鳥ちゃんは欲しい物を口にしませんからね』

『だよね』


千鳥ちゃんは欲しいもがあっても、口にはだしません。

それに、具体的な額はいいませんが、高校生にしては大金を持っていますので

欲しいものは大体、自分で買えるのです。

ただ、かといって無駄遣いもしませんが。


「千鳥ちゃんは志麻さんから貰えれば、なんでも喜びますよ」

『そうだけど……。何でもって難しいからなね』

「悩むなら、エッチな漫画みたく『ぼくがちーちゃんのプレゼントだよ』

といって伸志麻さん自身がプレゼントになればよいのではないですか?」

『それも考えたけど、それをやったらちーちゃんが『はぁ?』って感じになるからやめたよ』


流石志麻さん、やはり自分がプレゼントになる事を考えてたのですね。

そして、結果がどうなるかもわかっていました。


「ならば、文房具にでもします?揃ってないのは、ペンケースですし」

『ある意味それででもいいかも。ぼくがあげたものをしっかり使ってるからね』


志麻さんは千鳥ちゃんが志麻さんがプレゼントした物を使っている事をわかっていました。

志麻さんはわたし以上に千鳥ちゃん……いえ、わたしを含めた周りの人を良く見てますからね。

なので、千鳥ちゃんがデレデレのデレと言う事には気づいていますよね。


『今年の誕生日も、ぼくとほだかちゃん、梨子おばさんだけでやるのかな』

「多分、そうですね。おじさんとおばさんはお仕事だと思いますし」

『ちーちゃんが良ければだけど……なのちゃんと千音ちおんちゃんも呼びたいよね』

「そうですね、せっかくお友達になりまし、お2人も呼びたいです」

『ちーちゃんには明日、学校で聞くよ。あと、ほだかちゃんはなんで

千鳥お嬢さまと言わなくなったの?』


志麻さんがこの事を聞いていきましたが、千鳥ちゃんがほだかと名前呼びになりましたし、

わたしも幼馴染の1人として志麻さんと同じぐらい気楽な関係になりたいでもあります。


「あくまでも、他の皆さんがいない時だけ呼ぶようにしています。

わたしも志麻さんと同じ幼馴染ですし、志麻さんぐらい気楽な関係になりたいかです」

『そうなんだ。ほだかちゃんはメイドであり、幼馴染だから難しいよね』

「志麻さんが思っているほど難しくないですよ。ただ、千鳥ちゃんは最近、志麻さん程ではないですが、わたしにもデレてきてますからね」

『確かに、以前よりデレてきたよね。ぼくへのデレ加減とは違うけど』

「そうですよね。志麻さんへはデレデレのデレですから」

『それを隠してるのが、ちーちゃんのかわいい所だからね。

でも、これをいうと怒るから、おっぱいが一番好きってちーちゃんの前では言っちゃうけど。

でも、結局怒られるけど、ちーちゃんの説教はご褒美だからね』

「千鳥ちゃんがそこが面倒ですが、そこが一番かわいいですからね」

『そろそろ寝る時間だから、寝るね。プレゼントはテストが終わった

今度の土曜日に2人で買いに行こうね』

「わかりました、おやすみなさい」

『おやすみなさい』


わたしは携帯の通話を切ると、明かりを消してベッドに入ったのでありました。

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