秋葉原いずも亭物語

貞弘弘貞

第1話 コーヒー牛乳で平成元年へGO!

 誰にでも昔大好きだったものがあるだろう。

 それは文字通りいろんな物であったり、場所であったり、人であったりするはずだ。

 しかし大抵の場合、それらは時の流れとともに消えて無くなってしまうものだ。

 もう二度とそれに触れることはできない。その虚しさを誰もが抱えながら生きているのだ。

 沢村健吾という中年男にとってそれは、ある店の「ラーメン」だったのである。


■二〇十九年一月


 秋葉原駅の六番ホーム、つまり総武線の下りのホームに沢村健吾は居た。

 沢村は数日前に五十一歳になったばかりである。年齢の割には若く見られる事が多いが、一般的には中年と言われ、要はおっさんである。

 ホームに総武線が接近してくるのが見えるが、ここで沢村はふと違和感を感じた。

 現在の総武線はステンレス車両になっており、シルバーの車体に黄色いラインが入っているが、目の前に近づいてくる総武線は全面が真っ黄色なのだ。自分が小さいころから見慣れた、馴染みのある黄色い電車が目の前を横切り、停車した。

 沢村はしばし呆然としたが、もしかして復刻イベント的なものかもしれないと思った。地下鉄の銀座線も開業当時のレトロな車両を復刻させたとテレビで見たことがある。ホームから出ていく真っ黄色な総武線を見送りつつそう思ったが、反対側の上りのホームにも真っ黄色な総武線が停車しているのが見えた。

 何かおかしい事が起きている。


 話は数週間前に遡る。



■二〇一八年十二月


 師走の空気というものなのか、昼時の繁華街は人通りが多く、車も渋滞しているようだ。吉祥寺の駅前付近を歩きながら沢村はそんな事を考えた。

 日差しはあるものの風もあるため、左手はコートのポケットに入れたまま右手でスマホを覗き込んだ。GPSによるマップアプリは本当に革命だと思える。カーナビも革命的だったが、それが手のひらに収まって行きたい場所に誘導してくれるなんて、昭和では考えられない。いや待て、GPSはいつから使えるようになったのだっけ? 元々はアメリカの軍事衛星で、民間にその利用を開放したはずだが平成に入ってからだっけ?


 ふと気づくと、目の前にラーメン屋が現れた。最近開店したばかりで、部下の矢野が教えてくれて気になっていた店だ。今日矢野を誘おうと思ったが昼休みになっても席に戻っていなかったので、一人で出てきたのである。

「いらっしゃいませ!」「いらっしゃいませ!」

 店に入ると威勢のいい声があちこちから飛んできた。店内は新装だけあって綺麗だが、さほど混んでいるようでもない。

 カウンター席に座り壁に貼ってあるメニューを眺めた。黒い調理服に黒いバンダナ姿の店員が水の入ったコップを置き「お決まりでしょうか?」と聞いてきた。本当はもう少しメニューを眺めていたかったが、新店で判断基準にすべきはこれなので、「ラーメンで」と伝えた。店員はすっと姿勢を整え、「ラーメン一丁!」と大きな声で厨房に伝え去っていった。そんな大声でなくても聞こえるのではと思ってしまう。

「そんなわけで、平成最後の年末を迎えるわけですが――」

 テレビから流れる音声につられて画面を見ると、昼のワイドショーで司会の元お笑い芸人がコメンテーターに向けて話しているところだった。『平成最後の』をうたい文句に各地でイベントやセールなどが行われている様子が流れている。『平成』と描き込まれた饅頭が売れているらしいが、いくらなんでもとりあえず過ぎないかと思ってしまう。

「平成元年に生まれた人は三十歳になろうとしているわけですよ」

 司会の言葉にちょっと驚きを受け、ふと店の壁に掛けられているカレンダーを見ると、二〇一八年十二月と書かれている。三十年前ということは、自分は二十一歳くらいか。大学時代に『平成』と書かれた額を小渕元官房長官が掲げている姿をテレビで見た気がする。そうか、もうそんなに経つんだなと思った。


「おまたせしました」と、先ほどの店員がラーメンを運んできた。

 いわゆる最近流行りの煮干し系ラーメンである。濃い茶色のスープに大きなチャーシューが乗り、白髪ねぎが散りばめられている。煮干しの香りが食欲をそそる。

 まずスープをれんげですくい飲んでみる。がつんと来るかなり濃い味だ。麺は太めでやや縮れているのでスープをからめやすくしており、コシもあって食べ応えがある。チャーシューも柔らかく濃いめの味付けだ。

 食べ始めてしばらくはうまいと思っていたが、この濃い味にちょっと疲れてきた。唯一の救いは白髪ねぎだが、最初真っ白だったのに今はもう濃い茶色になっている。お前も染まってしまったか。

 すっかり体が熱くなり、コートを片手に店を後にした沢村はなぜだか虚しさのようなものを感じていた。


十分ほど歩くと、もうすっかり見飽きた三階建てのビルが目に入ってきた。

 『吉祥寺GAMES』と書かれた看板はかなり薄汚れている。自分が入社した頃はキラキラと輝いて見えたものだ。えっと、二十……八年くらい前になるのか。

 通用口のタッチセンサーに社員証のカードをかざし、ピッという認証音とともにドアを開けて中に入る。

 通用口を入ったすぐ横には休憩スペースがあり、テーブル席がいくつか並んでいる。社員らが弁当を食べていたり飲み物片手にスマホをいじっている姿がちらほら見受けられる。この会社はスーツ着用義務は無いので、みな好きな恰好をしている。とはいえ営業職の人は大体スーツを着ている。

 壁沿いに数台の自販機が並んでいる。沢村は当たり前のように一番奥の自販機の前にすっと近づいた。牛乳などの紙パック飲料がずらりと並んでいる。ヨーグルト乳飲料の紙パックに『乳酸菌飲料(殺菌)』と書かれているのを見て、えっ乳酸菌殺しちゃうの? と、以前思ったものだが未だに謎のままである。交通系ICカードのスイカのカードをタッチし、コーヒー牛乳のボタンを押した。ガコン、と、いつもの少し柔らかい落下音が響く。

 コーヒー牛乳をストローで飲みながら廊下を歩くと、この会社が制作したゲームのポスターが壁にずらっと貼られているのが見える。最近発売されたものから会社設立時の古いものまで所狭しと重なるように貼られているが、いつもの風景なので特に意識して見たりはしない。いや、心のどこかで見るのを避けているのは否定できない。あのポスターが貼られている限りは。

 階段で二階に上がったすぐ目の前にドアがあり、『品質管理部』と書かれたプレートが貼ってある。タッチセンサーにカードをかざして中に入ると、むあっと室温が上がったのを感じる。

 自分のデスクに座って一息つく。フロアの各デスクにはPCがあり、しかも多くは高性能なデスクトップ型であり、モニタも二台とか三台とか使う人も多いことから、その廃熱で部屋の温度が上がる傾向にあるのだ。自分のデスクにもデスクトップ型のPCと、PCモニタ。別にモニタが一台あり、最新のゲーム機につながっている。ゲーム機といっても市販されているものではなく、開発テスト用の特殊なものである。ゲーム画面は一時停止状態になっており、PCモニタにはバグ報告書のWEBツール画面が表示されている。じっとゲーム機を眺め、そういえば初代プレステっていつ出たんだっけ? 平成になってからだっけ? 天井を見上げ考え始めたときに声が掛かった。

「沢村さん、ちょっといいすか?」

 部下である矢野がいつの間にか側に立っていた。手にはプリント紙の束を持っている。若々しくいつも元気なのだが、今は少し疲れているように見える。

「そういえば矢野って平成生まれだったよね」

「いきなり何すか? 平成元年生まれですよ。前にも言いました」

「じゃあもう三十歳くらいになるんだ」

「来年で三十ですね」

「初代プレステで遊んでた?」

「プレステ? ああ、小学生の頃に遊んでましたね」

「そうかぁ」自分が小学生の頃はファミコンすら存在せず、テレビゲームという言葉が出始めた頃だったか。

 金持ちの友達の家に当時最先端のゲーム機があり遊ばせてもらった記憶がある。ゲームといっても、白い棒をダイヤル式のボタンで上下に動かして二人で球を打ち合うようなものだった。時代の差を感じる。

「話いいすか?」

「おっと、すまん」と矢野の方を向きなおす。

「このバグなんですが、これに近いものが結構出てきてるんです。マスター提出直前ってのに」矢野がプリント紙を一枚沢村に手渡す。

 プリント紙はバグ報告書で、WEBツール上の表示を印刷したものである。沢村はさっと目を通す。

「メモリ関係のクラッシュっぽいね。他のは?」

 矢野が手元からさらに数枚報告書を沢村に手渡す。

「これとか、メニュー画面でもクラッシュなんですが、今一つ条件が分からないんです」

 矢野は隣の席に座り、首を手で揉み始めた。その席は矢野の席であるが、忙しい時は別フロアの開発ルームに行ったり外注先のデバッグ会社に行ったりで席にいない事も多い。だいぶ疲れが溜まっているようである。

「これはこのエンバグの可能性があるね。メインプログラマも把握しきれてないと思うから、一度まとめて相談した方がいいよ」

「了解す。ふぅ、今になってこんなん出るとは。これは根が深そうですね」矢野は報告書の束をデスクにどさっと置き、腕時計を見る。

「おっと、もう昼過ぎてるじゃないすか。昼飯行ってきます」と、立ち上がって続ける。

「そうだ、あのラーメン屋行ってみっかな」

「こないだ聞いたあの店ならさっき行ってきたよ」

「えっ、まじすか。どうでした?」

「うーん。うまいはうまいけど、俺的にはちょっときつい感じだったな。しつこいというか」

「そうすか。自分もチャレンジしてみます!」と疲れを感じさせず、颯爽と上着片手に部屋を出て行った。

 若いっていいなぁ、と沢村は思いながら、矢野のデスクに並んでいるラーメン雑誌を眺める。今の世の中、多種多様なラーメンがあり、なんとミシュランを取得している店もある。沢村もラーメンが好きで、新たな店を見つけては足を運んでいる日々である。おいしいと思う店は多いが、自分が本当に望むラーメンには未だ出会えていない。それが無理だと分かっていても――あのラーメンの味には。

 メールをチェックし、いくつか返信をする。ふと時計を見ると十四時を過ぎていた。デスクの下に置いてある青いビジネスリュックを取り立ち上がる。この後デバッグ会社で打合せがあるのだ。沢村はコートを取って部屋を出ていく。


 吉祥寺駅から東京方面の中央線に乗り込む。意外と空いていたため座席に座れた。車内を何気なく眺めると天井から吊り下がっている広告が目に入った。うちの会社が制作しているゲームの広告で、二〇一九年八月発売と書いてある。発売までまだ半年以上あるが、現在の開発状況からすると暗雲垂れこめている状態だ。さっきの矢野が担当しているのがこのゲームである。バグが取り切れなければ最悪発売延期になってしまう。

 新宿から山手線に乗換え、巣鴨で降りる。五分ほど歩いてデバッグ会社の入っているビルに入る。デバッグ会社というのはゲームのバグ、つまり製品の不具合を発見し報告することを業務としており、様々なゲーム制作会社から委託されているのだ。沢村が担当する製品はまだデバッグ初期で逼迫した状況でもないため、打合せもスムースに進んだ。今後の進め方を確認し、打合せは終了した。


 ビルを出て巣鴨駅に向かって歩いているときに、スマホがメール着信の振動をした。確認すると、大学時代の友人である工藤からだった。

『本日、8ビット忘年会。アキバに集合!』と書いてある。

 うっかり吉祥寺に戻るところだったので助かった。今日、大学時代のサークルの忘年会があり、そのリマインダメールであった。『8ビット』というのはパソコンサークルの名称である。会社に直帰の連絡メールを歩きながら出した。


 巣鴨駅から山手線で秋葉原駅に向かう。考えてみればかなり久しぶりに秋葉原に行く気がする。何年ぶりだろうか、最後に行ったのはいつだったか。思い出そうとしばし考えていると、いつの間にか秋葉原駅に着いており、慌てて電車から降りる。ホームから階段を下り、電気街口の改札をスイカをタッチして出る。電気街口は北側と南側の二つの出口があるが、なんとなく北側の出口から出てみると、すっかり空が夕日に染まっていた。近代的なビルがいくつも聳え、本当に秋葉原なのだろうかと思ってしまう。

 忘年会まで少し時間があるので、久しぶりに秋葉原をぶらついてみたくなった。三十年近く前の大学時代にしょっちゅう来ていたのでなじみ深い所なのだが、卒業してからはほとんど来なくなってしまっていた。

 当時は、電子部品を売っている小さな店が駅周辺にひしめき、家電やパソコン、ゲームなどの店が多かった。多かったというより、それしか無い印象であった。周囲を見まわしながら駅周辺の道を歩いてみる。

 ふと気づくと手にポケットティッシュを持っていた。

「ぜひいらしてください。お兄様」黒いメイド服を着た若い女性が手を差し伸べていた。

 思わず「は、はい?」と言うと、「ご案内いたします」と言ってきたので、「あーいや、この後予定あるんで、また今度」と言って逃げた。

 ティッシュを見るとメイドカフェ何たらと書いてある。そういえばテレビで秋葉原のメイド喫茶の特集を見たことがあったが、実際にその店員の姿を見たことは無かったので妙に焦ってしまった。さすがに自分は行くことは無いだろう。少し行ってみたい気がしたが気のせいだろう。

 ふと気づくと目の前に大きな建物が見えた。有名な大型家電量販店である。秋葉原に出来た事は知っていたが見るのは初めてだった。駅につくばエクスプレスへの入口もある。なんかいろいろ進化したんだなと思う。

 時間も近づいてきたので忘年会の店へと向かう。飲食店が多く入る高いビルの中にある店である。こんなビルも昔は無かった。昔、秋葉原に飲食店は極端に少なかったのである。


 ちょっとおしゃれな和風居酒屋の座敷に当時の同期や後輩、先輩含め二十名ほどが揃った。みないい歳であり、頭髪に白髪が混じっている人も多い。沢村自身もそうである。

 背後一面に窓があり、高層からの秋葉原の煌びやかな街が見下ろせる。こんな風景は見たことが無い。生ビールのジョッキがずらりと並び、テーブル向かいの右隣に座っていた工藤がすくっとジョッキを持って立ち上がった。

「えーでは、久々ではありますが、明京大学理工学部『8ビット』の忘年会を我らの聖地、秋葉原でついに開催です。乾杯!」

 乾杯の声がいっせいに上がる。ビールは元々好きで普段家でも缶ビールを飲んでいるが、厳密には価格の安い発泡酒とかリキュールであり、本物のビールはこういう店でしか飲めない。やはり本物は良い。各自、お通しやサラダを食べ始め、ざわざわし始める。

「工藤さんから聞いたんですけど、沢村さんって『吉祥寺ゲームス』なんですよね?」

 右隣に座っている当時の二年下の後輩がサラダをほうばりながら聞いてきた。

「うん、そうだよ」少し嫌な予感を感じる。

「すごいですね! 自分、今度出る『ドリポマ4』予約してますよ。一作目からすごい好きで」

 まるで少年のような笑顔を向けて来た。予感は的中した。来るときに見た電車の中吊り広告の製品である。

「おお、そうかい。ありがとう。でも、まだゲームとか遊んでるの? 疲れない?」

「遊んでますよ。歳とか関係ないですよ」

 沢村は仕事以外でゲームで遊ぶ事はだいぶ減っていた。

「そういえばサークルでもゲームの話とかよくしてましたもんね。やっぱり開発なんですか?」

「ああ、最初はプログラマだったけど、今は品質管理やってる」

「品質管理?」

「要するにバグをつぶしていく仕事だよ。バグを見つけては直してもらう日々って感じ」

「なるほど。結構大変そうですね。プログラムにバグはつきものですもんね」

 そうなんだよと答えようとした時、工藤が割り込んできた。

「そーだよなぁ。バグはしょうがないって」

 工藤は、うんうんとうなづきながらジョッキを掲げる。

「沢村は『ドリポマ』のプログラマだったんだぜ」

「えっ! マジですか? 言ってくださいよぉ」後輩は羨望の眼差しを沢村に向ける。

 余計な事いいやがってと思いつつ平静さを装って答える。

「二作目までだよ。それ以降はプログラマじゃない」

「そうなんですか。二作目もよかったです! でも何でプログラマ辞めちゃったんですか?」

「う、うーん、まぁちょっと疲れちゃったというかね……」

 どうやら後輩はあの事を知らないようなのでごまかすことにする。

「あれ? ソフト交換しなかった?」と工藤が後輩に聞く。

「え? してないと思いますが……」

「そっかぁ。そんならいいけど」

 工藤が沢村の方を見てくるので話題を変えることにする。

「しかし、秋葉原には久しぶりに来たよ。なんか別の街みたいで驚いたのなんの」

 ちょうど店員が来たので「生(ナマ)お願いします」と声をかけ、工藤と後輩にも目を向けるとうなづき返すので「3つ」と伝える。

「だな。俺たちが通っていたアキバはもはや無い」工藤がビールを飲み干して言う。

「自分も電子部品よく買いに来てましたけど、今ではパーツ屋もだいぶ減りましたね」後輩も懐かしむような目で話す。

「さっき、メイド喫茶のティッシュもらっちゃったよ。ホントにあるんだな。ちょっと焦った」

 沢村が笑いながら話すと、工藤と後輩がまじめな顔をして「あれはいいものだぞ」「いいですよね」と言い、ちょうど店員が「生三つでーす」とジョッキを三つ置いた。

当時、大学が水道橋にあり近いということもあり、よく秋葉原に足を運んでいた。パソコンやオンボードマイコンなどの電子機器を自作したりするので、その部品を買いに来たり、パソコンショップなどを巡っては新製品を物色したりゲームで遊んだりしていた。

 ビールも進み当時の秋葉原の話も盛り上がってきた。

「しっかし、食べるところが少なかったよな。今じゃ考えられない」

 工藤がさいころステーキをほおばりながら言う。

 沢村は、確かにそうだと思いつつも、あの店を改めて思い出した。

「でも、あのラーメンは忘れられないよ」

 工藤がパチンと指をならして沢村を指さす。

「『いずも亭』だな。よく一緒に食べに行ったよな」

「あー、そういえば自分も行った事あります。あの店、まだあるんですか?」と後輩が聞く。

「いやいや、俺らが卒業した次の年くらいに閉店したはずだ。だよな沢村」

「そうそう。ネットで調べたんだけど、閉店理由もわからないし、どこかで復活もしていないみたいだし……」

「調べるって、三十年近くも経って復活とかないだろ」

「まぁそうだろうけど……」

 分かってはいるが、いつかあの味に再び巡り合えるのではと、一パーセントくらい思ってしまう。

 沢村は背中を壁にもたれさせ、ビールを一気に飲み干す。ふと天井を見ると、窓から入ってくる街のネオンのきらめきが映っている。

その後は、昔と今の秋葉原の違いがどうだの、もうあまり来なくなっただの、誰それが結婚しただの、リストラされただの、このサークルは既に消滅したとの話が続き、時間制限も無いせいか、だらだらと時間が過ぎた。

 店員がきょろきょろしながら沢村に近づき、お会計よろしいでしょうか、と聞いてきた。幹事の工藤がトイレか何かで不在のようだ。伝票を見てクレジットカードを店員に渡した。

「みなさん、一人四千三百円です。徴収しまーす」

 沢村の声でお開きムードとなり、それぞれが財布から現金を出し始めた。「万札しかないわ」とかあるある発言も聞こえる。沢村の財布は結構な量の小銭で膨らんでしまった。

「あ、悪ぃ」工藤が店の入り口から入ってきた。外でタバコを吸っていたようだ。


 店を出て、それぞれ駅の方に歩き出す。数名は二次会に行くようで周囲を見回している。沢村も駅の方に歩き出した。

「いずも亭って橋越えた先だったよな」いつの間にか工藤が隣で歩きながら聞いてきた。

「ああ、そうそう、神田川の向こうの高架下あたりにあった」

「そういや細い橋を渡って行った事あったな。なかよし橋だっけ」

「なんか違くない? えっと、おもいで橋だったような」

「違うだろ。ふるさと橋だろ」

「さっきと違う事言ってるよ。……まごころ橋じゃなかったっけ?」沢村もあやふやになってきてしまった。

「面倒だ。行ってみようぜ」と工藤はくるりと歩く向きを変える。

「合ってるかどうか、缶コーヒー掛けるってのは」沢村も横に並ぶ。

「おっ、いいね」

 二人は秋葉原駅の南側にある道路を進む。人通りは若干少なくなっているが、店の明かりがまぶしく、タクシーなど車も結構走っている。昔はもうこの時間だと暗くひっそりしていたものだ。電車の通る高架が見え、そのすぐ手前に左に入る小道がある。意識していないと多くの人は見逃すだろう。小道に入ると目の前が坂道になっており、その先の神田川に掛かる橋へと続いている。両脇に鉄柱が立っており、そこに『神田ふれあい橋』と書かれていた。

「全部外れかよ!」工藤が笑う。

「なんだよ、なかよし橋って」沢村も笑ってしまう。

 橋を歩くと、神田川が眼前に広がり、すぐ右を走る電車の走行音が響いた。歩行者専用のこの細い橋はどこか風情を感じる。橋を渡り終えた先の通りを右に曲がると高架下になっており、人通りもなくがらんとしている。

「確かこの辺だったと思う」沢村は歩みを進めた。

 高架のすぐ横の一角に二階建ての小さなビルがあり、シャッターが下りている。シャッターには貼り紙がしてあり『テナント募集』と書かれている。

「さすがに店は取り壊されてビルになってんだね」沢村はちょっと残念そうに言った。

「そうだそうだ、ここだ。よく行列並んだな」

「この辺にあの香りが満ちててさ」

「つい釣られて並んじゃう客も結構いたよな」

 沢村が最初に『いずも亭』を知ったのは、大学一年生の頃、たまたまこの辺りにあった電子部品の問屋に寄った際、なんともいえない香りにそそられたのがきっかけだった。生姜を使っているとは思うが、例えるのが難しい独特の香りだった。脳内での再現がこれまでできていたが、最近になって衰えてきてしまった。


 当時の話をしながら、ゆっくりと秋葉原駅の方に戻っていった。五インチのフロッピーディスクが一枚千円くらいして容量は一メガバイトだっただの、一番安い店がこの辺にあっただの、割とどうでもいい話で盛り上がった。

 ふと沢村は目の前の光景に違和感を覚えた。駅の『昭和通り口』前がちょっとした広場になっており、中央に木が一本生えている。

「あれ、ここって公園じゃなかった?」

「ああ、秋葉原公園な。もう何年も前に改修されたみたいだぜ」

「なんかさ、周りに木が生い茂っていて、地面が一段下がってた気がするんだけど。階段があったような……」

 沢村はきょろきょろしながら中央の木に近づく。

「そうそう、買い物帰りによくここで休んでたよな」

 工藤も木に近づき、木を囲っている円形の柵に腰を掛ける。

 沢村は木を見上げてつぶやく。

「この木だけ残したってことか……」

 懐かしいような寂しい気分になり、柵に腰を掛けた。

 当時、ここだけ緑があり、異空間のような場所だった。真夏にセミの声を聴きながら冷たい缶コーヒーを飲んだ記憶がよみがえる。

「そうだ。ここで話したじゃんかよ。ゲーム会社作ろうって。お前が言い出したんだぞ」

と沢村を指さす。

「そういえばそうだったかな」沢村はとぼけた。

「お前が社長で、俺が開発部長とかほざいてたな」

「でも部長になったんだろ」

「営業部長だ。話変えんな」

 工藤は大学卒業後、コンピュータ機器メーカーに入社した。最初は技術者だったが営業に移り、今じゃ営業部長になっている。結婚も十年くらい前にしており、数年前に子供も生まれている。

「でもさ、メカオタクだった工藤が営業やってるって、すごいな」沢村は自分ではとても無理だと思う。

「あー、異動した時はもう会社辞めちまおうって感じだったんだけどな」と、ちょっと考え深い表情をして続けた。

「思ってもみなかったことが、案外自分に合っていることもあるのかもな」


 工藤と別れた後、沢村はひと駅先のお茶の水駅まで歩いた。なんとなくもう少し秋葉原の空気を感じていたいのと、中央線に乗るのにちょうどいいと思ったからである。

 線路を右側に見ながら淡路坂を登りお茶の水駅に着いた。結構混んでいる車内でつり革につかまり、酔いが残っている頭でゆらゆら揺れながら考える。

 大学時代、これからはゲームの時代だと思いゲーム開発の道を目指した。今の会社に入りゲーム作りをしてきて、割とヒットした作品にも関われた。それなりに楽しい時もあった。今では現場からは離れているが、これも仕事である。しかし、どこか惰性で仕事しているようにも感じる。でもそれが悪いとは思わない。仕事があるだけで十分とも思える。

 吉祥寺のアパートに着くと、倒れるように眠りについた。


■二〇一九年一月


 二〇十九年元日。沢村は実家に来ていた。

 千葉駅から徒歩十五分程度、千葉公園付近にある一軒家だ。七十五歳になる父が一人で住んでいる。

 年末年始になると弟家族が数日泊まりに来るが、沢村は少なくとも元日だけは来るようにしていた。居間の炬燵を囲んで、父、沢村、弟、弟の妻の保奈美さん、その息子の翔太が座り、みんなでおせちをつまんでいる。

 沢村は翔太に話しかける。

「翔太は今何歳だっけ?」

「七歳だよ七歳!」と元気に答える。

「小学校は楽しいかい?」

「うん! でも宿題やだね!」

「もう、ちゃんとやるのよ」と、保奈美さんが言ってみんなが笑う。

 テレビでは駅伝の中継が流れている。父が好きで毎年見るのが恒例になっている。

「さて、今回で平成最後の駅伝となるわけですが――」実況者が言い出したとたん、弟が言った。

「まーた出たよ。平成最後!」

「次の元号は何になるんだ?」父がぼそっと言う。

「まだ決まってないよ。今年の五月から次の元号になるはずだから、それまでには決まるんじゃない?」

 確かそうだったはずと思い沢村が答えると弟がうなづく。

「また額縁に書いて見せるのかね。こうやって――」弟が額縁を掲げるしぐさをする。

 翔太がまねて同じ格好をして皆笑った。


 いつの間にかゲーム大会になっていた。実家には沢村が昔買ったスーパーファミコンがあり、今でもちゃんと動作するのだ。ゲームはいつもスーパーマリオカートである。弟と翔太が対戦しており、保奈美さんは翔太を応援している。弟が手を抜いていたのかは分からないが、なんと翔太が勝った。

「けんごおじさんもやろうよ」と翔太が言ってきたので「手は抜かないよ」とコントローラを握った。

 まさかの負けだった。亀の甲羅を何度も後ろからぶつけられた。

「はい、次ママねー」と、保奈美さんと交代となった。


 沢村はリュックを持って部屋を出て二階に上がり、かつての自分の部屋に入った。机や本棚などはそのままになっている。たまに実家に寄ったときに読み返したいマンガ本などを持って帰っていた。今日はちょっと探したい本があったのだ。

 本棚を眺めた。マンガ本やら参考書などが並ぶ一番下の段に、その本はあった。取り出してみる。片手に収まるくらいのサイズのラーメンのガイドブックである。一九九〇年発行となっているのでもう三十年くらい前のものだ。ちょっとほこりを払ってからページをめくった。東京の人気ラーメン店の紹介記事がずらりと掲載されている。千代田区のところを見ると、『いずも亭』の記事が出ていた。店の写真には客の並ぶカウンターの奥に店長がいて、ラーメンを客に手渡そうとしている姿が写っている。こんな感じの店だったと懐かしく思った。記事には、生姜の香りただよう体もあったか醤油ラーメンなどと書かれており、ラーメンの写真とともに店長のコメントも記載されている。小さい店だけど是非食べに来てください、などと書かれている。

 その本をリュックにしまい、部屋を出た。


 階段を下り、居間の隣の和室のふすまを開けて中に入る。部屋の隅に仏壇がある。毎回実家に来た時には手を合わせていたのをすっかり忘れてしまっていた。仏壇の前に行き、手を合わせる。居間から弟家族の笑い声が聞こえてくる。

「お前はまだ落ち着かんのか?」いつの間にか父が背後にいた。

「急になんだい?」

「いい相手はおらんのか?」

 ここのところ、実家に来るたびに父から言われている。

「俺、もう五十のおっさんなんだよ? 相手いるように見える?」

 沢村は誕生日が一月三日なのであと二日で五十一歳になるのだが、そこは細かいので言わないでおく。

「今はそういう時代ってのもあるんだろうけどな……」父はどこか寂しそうに言う。

「あーいや、時代のせいにするつもりはないけどさ……」

 沢村はなんだか申し訳ない気持ちになってきた。

 父は仏壇に置いてある写真立ての方に目を向ける。

「母さん楽しみにしてたもんだったからな……」

 沢村も写真立てに目を向ける。そこには、沢村の母の笑顔があった。自分が今の会社に入社してから数年後に亡くなった。もう二十五年以上は経っている。

 癌だった。気づいたときにはもうかなり進行していたのだった。

 居間からの笑い声が続いた。


 二〇十九年一月七日。

 新年になっての初出社日である。

 社屋ビルの屋上に全社員が集まっている。毎年行われる新年朝礼会だ。社長が何か話をしている。だが沢村は眠そうにしている。社長が八月発売予定の製品に大いに期待しているなどと言っている。あのチームは年末年始も作業しており、まさに佳境である。矢野を探そうと周囲を見回してみたが、姿が見当たらない。

 朝礼が終わりデスクに戻ってメールの確認をする。矢野から連絡が来ていた。数日前から熱が出て、インフルエンザであることが分かったと。疲労から免疫力が下がり罹患してしまうことはよくある。メールには続きがあり、本日外部デバッグ会社との打ち合わせがあるが代わりに行ってくれないかというものであった。開発が重要な局面にあり、ここでの遅延は致命的になる恐れがあるため進めておきたいとのことである。打合せの資料は矢野のデスクの上に置かれているという。普段の矢野の素振りからは意外に感じる人もいるかもしれないが、根は真面目で仕事の責任感も強い。くれぐれもお大事にという事と、打合せの件は了解したという事を返信した。

その外部会社は最近デバッグの一部を担当する事になったばかりで、沢村は直接行った事がなかった。住所を確認すると、秋葉原駅の近くであることが分かった。先方に連絡を入れ、資料などの確認を急いだ。社内の担当プログラマに確認を取ったりばたばたしている内に正午を超えてしまった。打合せは十四時からなのでそれほど時間が無い。

 結局、ぎりぎりで会社を出て、昼飯も食べずに吉祥寺駅から中央線に乗り、お茶の水駅で総武線に乗り換えて秋葉原駅に到着した。


 時刻は十三時四十五分を超えていた。

 総武線の下りである六番ホームに降りたのもかなり久々な気がした。大学時代はしょっちゅうこのホームに降りていたのを思い出す。大学の最寄りの水道橋駅から総武線で秋葉原駅まで来て、家電量販店でバイトをしていたのだ。そんな事を思い出しつつホームを歩いていると、衝撃的なものが目に入った。ミルクスタンドである。思わず立ち止まってしまった。

 当時、バイトに行く前に毎回ここでコーヒー牛乳を飲んでいたのだ。ただのコーヒー牛乳ではない、瓶入りのである。

 今でも当時と同じように店が存在しているという事が奇跡的に感じる。店の前面に商品の札がずらりと吊らされており、奥の冷蔵ガラスケースの中に商品が何種類も並んでいる。瓶入りのコーヒー牛乳も何種類も置かれている。当時でも瓶入りは珍しい方だったが、今でもあるという事に驚いた。

 商品札を呆然と眺めていると、当時よく飲んでいた銘柄のコーヒー牛乳、もちろん瓶入りが目に入り、思わず「これください」と女性の店員に言ってしまった。

 店員がガラスケースから商品を取り出し、蓋を器具を使って外してカウンターに置いてくれる。取ると、瓶がひんやりとしていて懐かしい手触りを思い出す。当時とデザインが変わったなと思いつつ、脇にある簡易なテーブルに寄って一口飲む。冷たく甘い味は昔のままで、ほっと一息つく。

 ホームを足早に歩く人々がスローモーションに見え、ここだけ異空間のようにも思える。目をつむり一気にごくごくと飲み干す。当時もこんな風に一気に飲み干していたものだ。紙パックでストローで飲むのではこうはいかない。

 空になった瓶をテーブルにとんと置く。同時に目を開き、ふぅと長い息をはく。冷たいものを一気に飲んだせいか、ちょっと体が寒さを感じた。


 ふとホームの方に目を向けたとき、なんとも言えない違和感を感じた。

 ホームを歩く人々が白い息をしている。先ほどまではここまで寒くは無かった。天気が急変して気温が一気に下がったのだろうか。瓶を返却しようと思いテーブルを見ると、置いていたはずの瓶が無くなっている。もしかして店員さんが片付けてくれたのだろうかと店内を見ると、さきほどの女性ではなく、中年の男性が他の客の対応をしている。交代したのかなと、狐につままれたような気がする中、打合せに遅れてはまずいと思い歩き出す。すると、ちょうどホームに電車が入ってくるところだった。

 総武線が接近してくるのが見えるが、ここで致命的な違和感を感じた。現在の総武線はステンレス車両になっており、シルバーの車体に黄色いラインが入っているが、目の前に近づいてくる総武線は全面が真っ黄色なのだ。自分が小さいころから見慣れた、馴染みのある黄色い電車が目の前を横切り、停車した。沢村はしばし呆然としたが、もしかして復刻イベント的なものかもしれないと思い直した。地下鉄の銀座線も開業当時のレトロな車両を復刻させたとテレビで見たことがある。ホームから出ていく真っ黄色な総武線を見送りつつそう思ったが、反対側のホームにも真っ黄色な総武線が停車しているのを見て、これはかなりラッキーな事なのだろうと無理やり解釈するようにした。

 改札に向かうために階段を下りると、山手線や京浜東北線のホームをいったん通ることになるが、そこでまた追い打ちを受ける事になる。停車している山手線は車両全面が緑色で、発車した京浜東北線も全面が青色なのだ。

 ホーム上で呆然と立ち尽くすも、やはりこれは大イベントなのだろうと思ったが、周囲を見て首をかしげる。撮り鉄の姿が無い。

 気を取り直して階段を下りていくと、先日忘年会で来た時と駅構内の雰囲気が違うような、構造が違うような、こんな感じだったっけという違和感を感じた。

 電気街口の改札で自動改札機にスイカをタッチしようとしたときに全身が硬直してしまう。タッチするパネルが見当たらないのだ。自動改札機のドアが閉じてしまい、その場で呆然と立ち尽くしてしまう。後ろから来る人々は迷惑そうに左右の自動改札機に流れていく。

「どうしました?」と駅員が近づいて聞いてきた。

「えっと、スイカのタッチ場所が……」

「すいか? 切符はお持ちですか?」

「あ、いえ、切符は無いです……」

「紛失ですか。こちらへ来てください」と駅員に連れられて改札脇の窓口前に行く。

 結局、吉祥寺駅からの運賃を現金で支払って改札を出ることができた。

 スイカが使えないなんてありうるだろうか。並んでいる自動改札機を眺めると、誰もカードをタッチなどしておらず、挿入口から切符を差し込んでいる。昔はそうだったが今ではありえないだろう。

「昔?」と思わず声を出していた。

「いやいや」と頭を振りながら電気街口の北側の出口から外へ出た。

 先日の忘年会の時もここから出たのである。

 そこに見える景色にまた唖然とする。広い駐車場が目の前にある。出口を間違えたのかと思ったが、方向的には合っているはずだ。混乱していることを自覚しながらも、打合せする会社へ急がねばならない。確かUDXというビルだった。しかし、そのビルがあるはずの場所に近づくものの、そこは市場になっていた。そうだ、秋葉原に市場があったのは覚えている。

 スマホを取り出してマップアプリを開くが、GPS電波を受信できていないようで、しかも携帯電波も圏外になっており地図の表示自体ができない。フリーWiFiが無いかと探すも、ひとつもリストに出てこない。


 さすがに何かがおかしい。沢村は中央通りの方に出てみる。

 走っている車がどことなく古い。いや、古いが新しい。あれはシルビアだ。『アートフォース・シルビア』とかCMでやってたやつ。デザインが好きだった。しかもピカピカで新車っぽい。

 中央通り沿いの大きな家電量販店の前に大勢の人が集まっているのが見えた。近づいてみると、ガラス越しにテレビがずらりと道路側に向けて並んでおり、人々はその画面を食い入るように見ている。おかしなことにそれらテレビは全て画面比率が四対三のブラウン管なのである。全ての画面に懐かしい映像が流れている。小渕官房長官が『平成』と書かれた色紙の額を掲げている。周囲の人々は「へいせい?」などと話している。

 とにかく一旦確認が必要と考え、秋葉原駅に小走りで戻り、改札近くにある売店の前で立ち止まった。まだ朝刊がいくつか残っていたので一部抜き取って日付欄を見る。

『一九八九年(昭和六十四年)一月七日』

 じっと日付欄を見ていると、女性店員がじっと見てきたので慌てて購入してその場を去った。


(つづく)

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