世界最強の超能力者、異世界でも最強になる!

黒鯨魔純

第1話 超能力者

某国某所



そこには悠然と立っている少女と数人の屈強な男達が寝転がっていた。

いや、寝転がっていると言うよりは死んでいるのだろう。

その男達は全く動かず息もしていなかった。


「ふぅ…取り敢えず任務完了ね!それにしてもこの男達、全然骨が無さすぎて拍子抜けだったなぁ…」


そう話すこの少女はとある高校1年生の超能力を使える少女、高上汎子(たかうえひろこ)と言う。


彼女は国の機密機関の特能科に所属し、時には工作員になり時には殺し屋にもなり時には根暗な女子高校生として普通ではない生活を送っていた。


その特能科と言うのは、超人的な特異能力を持った人たちが集まり、その特異能力を以って世の中に存在する闇の組織達を相手に立ち向かって行く機関であり、特に彼女はその中でも史上最強と言われる超能力者であった。

主に戦闘に優れた超能力の持ち主で攻撃と防御に優れた超能力が使える。

だが、日常生活で使えるような超能力はあまり得意ではない。

例えば、コップを欲しい時にコップを取ろうと棚からコップを浮かし、自分に向かって飛ばそうとすると勢い良く顔に飛んできたり途中でコップを落としてしまうのだ。

言ってしまえば繊細な操作ができないのだ。

戦闘に至っては投げたり、飛ばしたり、潰したり、燃やしたりと相手を殺すと言うだけなら右に出るものは居ない。

其れ故に超能力の細かな操作ができないのだ。


そうやって世界最強の超能力者となった私、汎子は国から沢山の依頼が殺到しており、時々学校を休みながら国から与えられた依頼を淡々と卒なくこなしていった。


そして、そんなある日私、汎子は年に一回の定期的な能力検査を行ないに研究機関に訪れたのだ。

そして、見慣れた白い壁の部屋とガラス張りの窓の向こうには研究員達がデータを取るために椅子に座ってコンピューターを操作していた。

そして、何時ものように椅子に腰掛け、頭には電極が無数に着いたヘルメットを被せられると検査が始まり、しばらくすると、何やらガラスの向こうに座っていた研究員達が慌ただしく立ち上がり、全員が顔を真っ青にして止めようとしているのかコンピューターを血相を変えて打っているように見えたと思うと大きな警告音が鳴り出した。


(ヴィィィィン‼ヴィィィィン‼ヴィィィィン‼警告します!只今ウィルスの感染確認しました!直ちに検査を中止して下さい!)


(えっ!?どういうこと??)


私には、すぐそのことが理解が出来なかった。

何故ならこの研究機関は聞くところによると世界屈指のハッカーでさえここの研究機関のコンピューターの防壁を破るのを断念せざるを得ないほどの壁が何万通りもあるそうで、例え破ったとしても到達する前にハッカーの正体が分かってしまうそうなのだ。

だからこそそんな危険を侵すような真似をするハッカーはほとんど存在しないと聞いていたからだ。

だが、その防壁は破られてしまったのだろう。

実際、防壁は破られウィルスが感染しているのだ。

まぁ、所詮は人が造った防壁なのだからいずれはそれを破るものが出てきてもおかしくはないとは思っていたのだが…と少し感心していると脳内にこの世のものとは思えぬ激痛が走った。


「ぐぅっ!がぅぁぁぁぁぁ!!」


とあまりの激痛に頭を抱えていると部屋の中にようやく研究員達が入ってきて慌てて私と椅子を引き離そうとした。

が、もう時既に遅し、私の脳内は焼き切れ研究員達に抱えられているときには私の意識がなかった。

周りの研究員達はがっくりと項垂れたのだ。其れもそうだろう、彼らは史上最強の最高傑作の超能力者を失い、この失態をしてしまったとなればその研究員達の命も無い事だろう。

そうして世界最強の超能力者と呼ばれた高上汎子はこの不慮の事故によって呆気なく命を落としてしまったのであった。


そして、汎子の意識は何やら白い空間のような場所に居た。

その空間では話すこともできず、体を動かそうとしたが、体は無く浮いているような感覚だった。その時、汎子の意識は死んだことを認識した。

すると、何やらその一角に暗い影のような靄が現れたのだ。

それはまさにこの奥へ行けと言わんばかりに現れたのだ。

汎子の意識はその暗い影のような靄の中へと吸い込まれるように入って行ったのであった。

その後、また意識が無くなったのであった。


しばらくすると、意識が戻ったのであった。

たが、今回は体の実体があるようではあるが、何だか上手く体が動かせない。

そうすると、何やら人の話し声が聞こえるので閉じた目を必死に開けようとすると、目の前が眩しく上手く開けられないのだ。

その為、慣らすために徐々に開けていくとようやく見えるようになってきたのだった。

すると、目の前には若い女の人が私を優しく微笑むように見ながら抱きかかえていた。

少し視線を逸らすとその隣に若い男の人も居たのであった。

そして、その隣には三十代程の人だろうか女の人も居たのであった。

そして、話している言葉が分からない。

何処の国の言語だろうか?散々、幼少期の頃から任務で使うために他国語を勉強してきたのだが、この国の言語は聞いたことが全くなかった。

只、私の中で理解したことが一つあった。

それは、私はどうやら転生してしまったと言う事実であった。

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