腐った女房

片眼の兎

第1話

       腐った女房


死んでいるのではないか

肉が爛れ骨が覗く其の身体は払うても払うても蛆が湧き壁にまで染み込んだ腐った臓物の臭いに目が痛む

滲む体液で湿った布団が恐ろしく背中を丸めたまま見ない振りをする

その癖

命有ることを確かめようとするかのように腐った鼻に紙を置く

そよとも動かぬ紙に安堵と落胆をし矢張埋めた方が良いのかと思案する


女房が動かなくなってから幾月経ったのか

零れ落ちた目ん玉が俺を睨み付けている


お前は

動かなくなっても怖い女房だ

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腐った女房 片眼の兎 @katameno-usagi

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