世界観台無し女人化転生 〜ゲームキャラで異世界転生したのだが “異世界”と“転生体”とで『世界観』が違う!? 解せぬ!!〜

バゑサミコ酢

第0章 プロローグ

第1話 ゲーム好きな“俺”——ある日、目覚めて森の中…そして…

 皆さんは……ゲームはお好きだろうか——?



 ゲーム好きなあなたは どんなゲームを好いていますか——?



 “アクション?” ……“シューティング?” ……“RPG?”……“格闘”… “音楽”… “パズル”…“ボード”………



 ……etcエトセトラ……etcエトセトラ………




 ゲームなんてモノは——ジャンルをあげれば 山程あるわけで……



 夢中になってプレイしたゲームは 誰しも1つや2つ……



 あることだろう——




 斯くいう『俺』も “ゲーム好き” の……その1人に過ぎない……







 子供の頃からゲームが好きだった俺は、部屋に籠もってゲームばかりしていた。


 好きなジャンルは特に問わず——何にでも手を出す……

 スマホを手にした辺りでは、4〜5本のゲームをインストール。すぐ飽きてはいたのだが、データを消すのが勿体なく……


 『ログインボーナスだけは貰っている』


 これが、巡り巡って大人になってからも……ルーティンとなっている。



 仕事に勤める様になってからも、家にいる時は大体ゲーム……休日もほとんど家を出ず、画面の前に齧り付いて居ることがほとんどである。




 そんな毎日を過ごす“俺”は、今日も仕事を終え——帰路に着こうとしていたのだが……





「はぁぁ……やっと帰って来れたよぉ〜……」



 1日の業務を終え帰路に付いた俺は、明かりを付けた自室を一瞥し、ため息を漏らしていた。

 時計に目をやれば……まだ24時は辛うじて回っておらず——何とか今日中に帰って来れたことに、ホッ——っとしている。


 その後、カバンを部屋の隅に放り投げ、部屋着に着替えると……すかさず俺は、晩飯そっちのけでテレビ画面の前へと向かう。


 その目的……


 それは、今、ハマっている『ゲーム』をプレイするためであった。



 ……明日は——? 


 ……仕事は——?


 ……寝た方がいい——?



 その状況を観察する者が居れば、呟かれそうな幻聴達……



 それに対しての俺の考えは…………断じて——“否”!!




 そこに……「ゲームをしない」という選択肢は、俺には一切用意されていなかった。


 では……その俺を虜にしているゲームとは一体なんなのか?


 最近ハマっているゲームというのは、SFアクションゲームだ。未来感溢れる世界観に加え……ハイスピードのアクションが売りとなっているゲーム……


 敵を倒して素材をゲット……その素材を素にキャラクターを強化——などのハンティング要素も完備。



 内容が兎に角、濃い——! 


 装備、アクションがいちいちカッコいい——! 



 などの魅力に心奪われ……ついつい夢中になってしまっていた。



 そして……今日も今日とて……



 何を倒しに行くか——? 


 どの装備を強化しようか——? 



 と思考を巡らせながも……その日……



 

 【俺はゲームの電源を入れた】



















…………ピィィ…ピィィ…チチチィ……………………………サワサワ……サァァ……




 遠くで響く鳥の囀り——



 木々の擦れる葉音——



 吹き抜ける風が心地良く……それが、己が肌を撫でる……


 そして……



 意識が——



 徐々に……徐々に……





 【覚醒する】


 



 それにより……段々と、自分の置かれている状況——



 それが、明らかにおかしいことに——その時、漸く気づく……



———ッ!!??





 【目が覚める】





 不思議な状況に驚き、“俺”は慌てて上体を起こした。



 すると、そこには……






 《鬱蒼とした森》が……広がっていた。






 見渡す限りの大自然……周囲の木々は天高く伸び、生い茂った木の葉は陽光を遮る事で辺り一面の印象は兎に角薄暗い——


 しかし所々、葉の隙間から光が零れ落ち、森に掛かる光のカーテンは如何いかにもな雰囲気を作り出している。なんとも神秘的な光景——



 (——ッえ……ぇえ? な、何だここ!? 何が起きた!!)



 目の当たりにした光景に、“俺”の頭の中は混乱を極めていた。

 いや……寧ろ、パニックを通り越し——真っ白——暫く放心状態が続く。


 だが……




 少しずつ……少しずつと…………




 落ち着きと共に、意識が戻り、まともな思考が戻ってくる。

 いつまでも、このままで居る訳もいかず……状況整理に務めなくては……


 と思えるほどには——



(なんで、森の中に……?! 俺は……一体、寝る前に何をしていた……? 昨日は確か……仕事から帰って……ゲームの電源を入れた————うん……ここまでは覚えている。だけど……それから……)



 昨日は、帰宅してからは……すぐゲームをはじめた。

 そこまでの記憶は、しっかりとある。だが、それ以降が曖昧だった。

 記憶が無いことに関して言えば、憶測としてはゲームプレイ中に“寝落ち”してしまったことが考えられはするのだが……



 (もしかして……ッ誘拐!? ——は、ありえないか……? 目的がわからないし、なんで森に放置されてるのかとか、こんなゲームばっかりやっているを拐うとか、意味分からんよね……)



 まず、自身に起こった事について、考えられたのが『誘拐』——事件性に触れた考えであった。


 寝てる間に俺は誘拐され……を経て……森に放置——


 “何だかんだ”の部分が、大分簡略した曖昧表現をしているが、今はそれを考えても、答えが見つかるはずもない——割愛——


 もし仮に、これが“誘拐”だとして……



 その目的は——? 


 なぜ森に——?


 理由は——? 


 



 何もかも、が——謎——




 ただ、この件で突き詰めて考えてしまうと……

 『誘拐犯は、全くもって無意味なことをする鹿』だとしか思えない。

 よって、この考えは可能性の低さからか、すぐに思考を逸らした。


 では……次——



 (誘拐じゃないとしたら……イタズラ——!? ドッキリ——? いや……そんな心当たりも、イタズラ仕掛けてくれる親友や友達……いねぇぇわ……)



 次に考えられたのが、イタズラやドッキリの類——


 だったのだが……


 会社勤めで一般ピーポーだった“俺”が、ドッキリを受ける環境にないのは至って明白…… 

 そもそもからして、イタズラを仕掛けてくれるような親友はいない。寧ろ、ただの交友関係すら存在しない。



『ゲームをやってるなら、一緒に遊ぶ人はいないの?』と思うところがあるかもしれないが……この事に関しては『バカを言っちゃぁいけない!』とツッコむ他がなかった。

 

 “俺”という人物は、重度の人見知りなのだ——


 普段の人付き合いは皆無——友人関係は高校を卒業した辺りからは、ほぼゼロと言って過言でない。



 ゲームの中でも、特に誰かとコミュニティーを築くこともせず。野良(フレンドとパーティーを組んだりせず、知らない人と組んだり対戦したりすること)での一瞬だけの交流程度……


 あとは……妹と少しするくらいであろうか——?


 兎に角、ゲームは基本ソロプレイ……そこに、友人関係など存在しないのだ。



(うん……悲しい……)





 そんな事は、さて置くとして……



(それよりも、俺の身体は無事なのか……!? 何かされたりしてないよね……?)



 現状の自身が森に放置されている状況……これに関しては、情報が少なすぎて正解に辿り着くことは極めて困難。

 よって……考えの方向性を変え、自分の身体に——なにか外傷はないか確認することとした。寧ろ、こちらの方が重要とも言える。

 一応は、誘拐の線が濃厚な今……「誘拐犯に何かされているのでは——?」と、ふと頭の片隅を過ぎった為に取った行動である。


 痛みを感じたりとかはしてない……おそらくは大丈夫だとは思うのだが……



 しかし——




 ここで、とんでもない事実に気づく事となる。




 (——ッ!!?? ……な、何だこの格好——!!??)



 自分の、置かれた状況に衝撃が大き過ぎたのが要因であろう。


 今の今まで、全く気付けなかった事実……


 今現在……——これが、いつも着てる部屋着ではなかったのだ。



 それは、全身黒を基調とした服……それも“SF映画”や“ゲーム”を彷彿とさせる。一種の?! そんな印象を受ける、厨ニチック——コスプレと言って過言でない衣装——を着込んだ自身の身体が……


 “俺”の目に飛び込んできた——


 たまらず、俺はその現実に驚愕するも、思考の中には何処か、? に、似た感覚に見舞われていた。


 この……心做しか、——と……


  



 だが——





 コスプレには勿論、驚いたが……しかし……それ以前にも——


 明らかに気になる……? いや——が……大いに“俺”の警鐘を鳴らす。





 ——可笑しな……——





「——ッッッ!!?? ……な…な、なんだコレ———ッ!!?? てッ……ぇぇええ!! こここ、声がぁあ!!?? これ、ぇえ!!??」




 信じられない……信じたくない……状況……



 つい、驚愕の状況に声を上げ——



 漏れた声により、連鎖的に一層の衝撃を食らう。



 何故なら、それは……



 どう考えても……“俺”の声ではなかった——!?



 裏返っていたものの、どう聞いても綺麗な“女”の声である。それが、今……自身の口から発せられた。





 【事実発覚】






「——ッう……嘘でしょ……これぇえ?」



 

 

 どうやら“俺”は……“女”に……なってしまったようなのだ。

















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