僕と千茶の歩く道
羽弦トリス
第1話我々は障がい者
僕が統合失調症患者であること、
我々は、毎日電話している。
千茶は僕が水中毒で倒れた時に、タクシーで大学病院に連れて行ってくれたから、今がある。
あの時、放って置かれたら死んでいた。
あいにく、嫁さん子供とは別居している。引っ越しの段階で、嫁さん子供は姉弟と暮らす事になり、僕は養子に行くみたいで嫌だから、向こうの事情と僕の諦めで1人賃貸マンションに住んでいる。
それが、良かった。3年前に父親が亡くなり、一人暮らしの母を同じマンションの空き部屋に呼べた。
だから、夜ご飯だけは出来るだけ一緒に食べる。
そうやって、結婚して家族がいても僕は一人暮らしなのだ。
電話しながら、執筆活動をしていて電話繋がっている事、忘れていることもある。
また、千茶は過眠症なので昼でも夜でも電話していたら、イビキが聴こえてきて、通話を終わらす場合もある。
毎日、何を話すかって?
だいたい、千茶は僕が興味無いのにゲームの話しをして、僕は千茶が知らないであろう小話を振る事が多い。知っていると悔しい。
彼女はファミリーマートで良く出てくる大学出身。帝京平成大学経営情報学部卒(旧帝京技術科学大学)。僕は大東文化大学法学部中退。
だから、頭はそんなに良くない。
だが、あらゆる方向に明るい。
大野治長の弟、大野治房の知行は1万5千石であるとか。
兎に角、マニアックなのだ。興味のある分野は掘り下げるが、知らない世界は全くの無知。
そこから言えば、千茶は幅広く見識がある。
ファミリーマート大学なのに!
ま、僕の大学もFラン大学だから威張れないし、また、そこを中退しているのだから。
論文は書かされた。参考書籍を15冊読み、それを元手に書いた覚えがある。
今夜の会話は、胃が痛むとか僕の笑い声だとか、もはや中年の会話では無くお年寄りの会話になっている。
やれ歯が無いとか、肩、腰が痛むとか、胸焼けするとか。
あっ千茶、ヨモギ餅の話ししてたな。これを書いている今も電話しながら書いている。
たまに、静かな瞬間に、屁をこくと千茶が笑う。
だから、会社で屁を我慢してトイレで溜め込んだ屁を放つのが日常になっているのを甘んじる。
家なら、こきたい時に自由に放屁出来る幸せを感じている。
ま、千茶はこれからどちらかが死ぬまでの付き合いだから、お互いに健康でなくては。
千茶よ!ゲームは辞めなさい!って書いたら怒りのコメントが来るんだろうなぁ〜。
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