第参話 折り神の塔
高校生の太一は、祖父の遺品を整理しているとき、古びた折り紙の本を見つけた。
本には「式神の折り方」と書かれていたが、その内容は謎めいていた。
本に惹かれた太一は、試してみることにした。
太一はその日部活を休み、自分の部屋で折り紙を広げた。
「何この折り紙、デカ。
畳二畳くらい無いか?」
折り紙のあまりの大きさに太一は圧倒され、
一瞬のけぞってしまった。
「よし、やってみるか」
彼はそうつぶやくと、指先と全身を使い、
座る位置を動かしながら丁寧に折り始めた。
折り紙を一回、二回と折りたたむごとに、
それはどんどん分厚くなっていく。
しかし、何故か折ったのにも関わらず、
折り紙の面積は変わらないのだ。
最初はただの紙だったものが、太一の手の中で不思議な力を帯びてきた。
「これ、本当に何か起きるのか?」
そう思いながらも、彼は折り続けた。
やがて折り紙は驚くべき厚さになり、
部屋の天井を突き破っていった。
太一は驚きながらも、その先を見届けることに決めた
太一は驚愕した。
「なるほど!
折り紙が大きかったんじゃなくて、
俺の体の方が、折り紙を折る度に小さくなっていたんだな」
疑問はそれだけでは無かった。
外は今風が吹いているのに折り紙は全く揺れない。
それはまるで折り紙が空間に固定されているような不思議な感覚だった。
僕は更に折り紙を折り進めた。
眼下にまるでジオラマの様な街。
東京タワーが小さく見える。
「すごいな、ここまで来るとは思わなかった」彼は心の中でつぶやいた。
さらに折り続けると、飛行機が彼の横を通り過ぎていった。
「飛行機より高いところまで来たのか」
心臓がドキドキして、太一は興奮を抑えきれなかった。
次に見えたのは、大気圏を突き抜ける瞬間だった。青い空が暗闇に変わり、星々が輝く宇宙が広がっていた。
「これは夢なのか?」
太一は自分の目を疑った。
不思議なことに、彼は宇宙に出ても呼吸ができていた。「なぜ息ができるんだ?」
疑問は尽きなかったが、そのまま折り続けた。
宇宙からみる地球のあまりの美しさに、
太一は一瞬手を休め言葉を失った。
やがて目の前に現れたのは、宇宙ステーションだった。ステーションの外壁に手をかけた太一は、広がる銀河を見つめながら声をあげた。「すごい、こんなところに来るとは!」
そのとき、太一の耳に聞こえてきたのは、
祖父の声だった。
「よくここまで来たな、太一。
これはお前への挑戦だったんだ」
太一は驚いて周りを見渡したが、誰もいない。ただ、祖父の声だけが心に響いた。
「ありがとう、祖父さん。俺、頑張っただろ?」
彼は宇宙ステーションに足を踏み入れ、
そこで見つけたノートには祖父の研究が書かれていた。太一はその内容を読み進めながら、
自分の成長を感じた。そして、祖父の遺志を継ぎ、新たな冒険に胸を膨らませたのだった。
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