@sion566

夢の終わり


見ていた夢が現実だったら・・・

人間誰しもそんなことを考える時があるだろう。

宙に舞う感覚と共にその都合のいい夢を思い出す・・・・


朝起きて父と私の朝ごはんを作る。


 母は、私が小さいときにすでに他界した。

その時は、ものすごく悲しかったしまるで夢を見ていたみたいに記憶が曖昧だ。

だが、あれから時がたち、高校生となり、現実を受け入れられるようになった。


今では朝ごはんを作るのは私の日課でもある。




時間は朝7時。自分の分の朝ごはんを食べいつも早めに家をでる。この早朝の少し肌寒い孤独な感じが好きだ。


父は、いつもギリギリまで寝ているため作り置きしておく。一緒に住んではいるがもう何年も食事を一緒に取っていない気がする。




その日はいつもと同じ1日になるはずだった・・・


 学校につき朝のHRが始まる直前なにか怒号のような音が聞こえる。


その瞬間銃声が響き渡る。


「動くな!!」


覆面を被った男が教室に乱入しこちらに銃をむけている。


何が起きているのかわからない。

いやこれからどうなることさえ想像もつかない。




ピンポンパンポーン


「我々はこの学校に立てこもり君たちを人質にした。」


 死にたくなければ大人しく我々の指示に従うように。」


簡潔に、淡々と放送が流れる。


どうやらこの男たちの指示にしたがうしかないようだ。




思い返せば、母が死んでから父と暮らし初めてから運のない人生だった。


 父は、酒を飲んでは暴れるようになり気に入らないことがあれば私を殴る。

そんな毎日だからこの状況でさえなんだか落ち着いていられる。


銃で撃たれれば楽に死ねるかもなどと考えている。




 そうこうしてるうちに警察が来ているらしい。

何人かいた男たちが見張りに一人残し慌ただしくでていく。


今なら男一人倒せば逃げれるかもしれない。


そう考えたのだろう。クラスの運動部の男子が、男に襲いかかろうとする。


その瞬間再び銃声が響き渡る。


襲いかかろうとしている男子ぎ赤い液体の上で倒れていた。


ああ失敗したのかなどと考えていると今度は見せしめに何人か殺すらしい。


男はさきほどからボーッとしている私が気に入らないらしくこちらに銃口を向けている。


遠くでサイレンが鳴っている。


ああ、これで楽になると思った。


銃声が響き渡りその瞬間目を覚ました。




包帯に包まれている私を覗き込む男の姿をみて私はすべて理解して涙を流した。


私は逃げられなかった・・・・





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

@sion566

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ