人が夢を見ると書いて儚いと読む2
カランカラン
「ママ居るー?」
「はーい、いらっしゃい徹ちゃん」
奥から出てきたママが徹を席へと案内する
そこへ化粧ばっちり衣装ばっちりな女性、
の恰好をした屈強な男がカフェオレを2つ置いて
1つ2つ渡良瀬とやりとりして奥へと戻っていった
「店朝6時までだよね?なんで9時で店の恰好してんの?」
「そこはほらー、女心ってやつよー」
男だけどな!と思いつつスルーする渡良瀬
「これ異世界ラノベの新刊ね」
「まあ!ありがとう」と花が咲いたような笑顔で受け取る
ママにとっては趣味の本ではあるが、それよりも渡良瀬からの
プレゼントが嬉しいようだ
ある程度話をした後
今回の要件を切り出す
「んで、相談ってなんだったの?」
カフェオレを一口飲んでからママが
「実はね、会って欲しい子が居るのよ。
仕事で疲れちゃって有給で今お休みしてるのだけど
どうも職場に問題があるみたいで・・・ね」
「ふーん、話は付いてるの?」
「ええ、信用できる人だから会ってみてって、
了解は得ているわ。ねぇ徹ちゃん、とっても明るくて
良い子だったのに、雰囲気が暗くなって辛そうなの。
愚痴も言わないからなかなか聞き出せなくて。
何とか救ってあげて欲しいの」
「今からでいいの?場所は?」
こりゃママとイチャついてる場合じゃないなと
その子に連絡を取ってもらってその場所に行くのであった
ーーー
浅草某所のアパート
ピンポーン
「はい」とインターホンから声がしてママからの紹介であると
伝えドアを開けてもらい、どうぞと導かれ室内へと入る
ママから信用が置けるし、良い人だから気晴らしに
話し相手になってもらいなさいと言われていた女性は
信用が置けるママの言葉ならと渡良瀬を室内へと案内した
女性の部屋らしさのある綺麗に整理された室内だが
どことなく雰囲気が暗い印象がある部屋だ
どうぞと指定された絨毯に腰を下ろす渡良瀬
「どうぞ」とママから言われてたのか、カフェオレを机に置く女性
「どうも」と言い無神経にも周りをキョロキョロ見渡しながら
口を付ける
「なんか、アレだね。ただ帰って来て寝るだけの部屋って感じだね」
確かに色々物がある部屋なのだが、
あまり使われている感じがしないなと見渡した感想を述べる
「そう・・・ですね・・」
ビクっと反応して答える女性
「まあ!自己紹介だな」と名刺を渡す
「わからせ屋?」
「そそ、わからせ屋の渡良瀬。こっちの立場になってみろよ、
そしたらお前もわかるだろ?っと思っても言えない事ってあるじゃん。
そゆのをわからせるのが、わからせ屋って事」
ジーっと名刺を見つめている女性であったが名乗っていないのを
思い出し、口に出そうとした瞬間
「ああ、苗字は言わなくていいよ、覚えれないから」
「・・・サツキです」と良くわからないが、それで良いと言われるなら
そうしようと、下の名前だけを言う
「よろしくね、あんま元気ないみたいだけど、なんかあった?
帰って寝るだけの生活になんか関係ある?」
サツキのような子は自分から愚痴は言わないが
こちらから切り出せば案外言ってくれるだろうと
ズバっと切り出した
職業柄なのか性格なのか、フワフワした渡良瀬の
鋭い指摘に、初対面ではないような感覚になるサツキ
ただ部屋を見渡しただけで言い当てた渡良瀬に
隠しても無駄だと思い、悩みを相談する。実は・・・と
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