わからせ屋

@wootan-ch

消えない雨音1


ブロロ・・ボボボ・・ボボ・・・・・ボ


「オイオイオイ、まじかー・・こんな所でガス欠って・・・」


周りに何もない山道で男は愛車の原付バイクを降り、しかたないっと気合を入れ押しながら道を進むのであった


ーーー


遠くをぼーっと見つめる人影が1つ

手すりに手を掛けては下すを繰り返して




そして意を決したように手すりに手を掛け・・


「ふーきつい・・、まだ来ないのかよ」


突然聞こえてきた声にビクッっとなり息を潜める1つの影


チラっと影を横目にバイクを押して歩く男が通り過ぎて行く


相当集中していたのであろうか、声が聞こえるまで男が近くに来ているのに気が付かなかった


このまま男がどこかへ行くまで俯いて息を潜めていると


「あーやってらんねー、よし死のう!」


「え?」


男はバイクを止め、手すりに手を掛け橋から飛び降りた


「え?・・えええ?!」


1つの影、いやもういいだろう。少女は橋の下を確認しようと手すりに手を掛け


「ばぁ!」


「きゃああ」


突然男が上がってきて悲鳴を上げて尻もちをついてしまう少女

男は何食わぬ顔で橋の上に戻ってきた


「わりーわりー、思いとどまって戻ってきちゃったw」


男を見つめぽかーんとした表情であったが、自分が騙されたと知り怒りの表情になっていく少女


「よし!びっくりさせちゃったからジュースでも奢るよ」


そう言って少女の手を取り強引に起こし橋の向こうにある自動販売機に向かって引っ張っていく・・・


橋の真ん中にバイクを置いたまま・・・


ーーー


ちゃりん


「何がいい?」


「・・・・」


「決まらないなら・・・このドリアンしるこサイダーで・・・」


ぽち・・ガシャン


「なんだよオレンジジュースか」


男を睨むようにボタンを押しジュースを取り出す少女と

そんなのは気にしないとボタンを押す男


「やっぱカフェオレっしょ・・ん?飲まないの?」


「・・・・いただきます」


「うわ、あっつ!ってかこれドリアンしるこサイダーやん!なんでだよ!」


「・・・」


コントか!という状況に少女は久々に暖かい感情が出ていた

しょうがないと一口飲む男


「うま!いや、なんでだよ!そこはぶーって吹き出すくらい不味い流れだろ!」


「・・・」


その後は特に会話もなくぼーっと山を見つめる男と少女


「あのー・・」


その声を聴き、ほいっと言いながら少女に何かを渡す男


少女が受け取った物は名刺であった。そこには



Ι  どうしても解決出来ない悩みがありましたらご相談ください

Ι           わからせ屋         

Ι           渡良瀬 徹

Ι  住所 東京都台東区浅草〇〇〇 ×××ビル2F

Ι  TEL 〇〇〇ー××××ー〇×〇×



「苗字読めない」


「ぶーーーげほっがほ・・・そ、そこかよ。・・・わたらせとおる」


「わたらせ?」


「そう、わからせ屋の渡良瀬、悩みがあんだろ。どうせ死ぬなら最後くらい全部話してから逝きな」


「・・・・・」


渡良瀬の言葉にビクっとなり俯いてしまう少女


「気づいて・・・」


「まあね・・・名前は?」


「・・・・アリス」


「へー言い名前じゃん。んで何があったん?」


アリスはオレンジジュースをコクリと飲みふーっと一息して



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