第5話:宇宙、梨紅の家を訪ねる。
お母さんとお姉さんに自分の彼氏を自慢したいんだって・・・。
僕が梨紅の彼氏として相応しいかどうか品定めされるんだ。
で、学校が休みの日、近所のお菓子屋さんで適当に買ったスイーツを手土産に
梨紅の家に遊びに行った。
梨紅の家は俺が住んでるマンションから歩いて約15分。
狐の嫁入りにでも出くわしそうな農道をぷらぷら歩いてたら知らない間に
梨紅の家についていた。
古民家カフェでもできそうなくらいの古びた日本家屋。
僕が玄関のチャイムを鳴らすと梨紅が出てきて歓迎してくれた。
「おはよう
「おはよう
僕は梨紅に、いざなわれるままリビングに案内された。
梨紅の家は先祖代々、日本家屋だから、リビングっていうよりお茶の間。
畳の部屋に絨毯が敷いてあって、そこにソファやらテーブルが置いてあった。
「そこに座って・・・」
梨紅がソファを指差した。
初めてお邪魔する、ヨソんちは緊張する。
「ちょっと待てってね」
そう行って梨紅が台所に消えていくとしばらくして母親を連れて戻って来た。
僕は思わず立ち上がって挨拶した。
「あ、はじめまして、
「いらっしゃい・・・小高君のことは梨紅からよ〜く聞かされてるわよ 」
「ほとんどノロケだけどね」
「お母さん・・・いいから」
「ごゆっくりね・・・今、お飲物持ってくるからね・・・」
さすが梨紅の母親・・・優しそうで寛容、理解力のありそうな
聡明なお母さんって感じ。
「古い家でしょ・・・もとは祖父母の家だったの」
「とっくにおじいちゃんもおばあちゃんも亡くなってて、ここ空き家に
なってたんだ」
「で、私が転校してきた時、大工さんが住めるようにしてくれたの」
「この家が学校の近所にあったのは偶然って言うか、きっとおじいちゃんと
おばあちゃんのお導きだったのかもね」
「そうなんだ・・・いいじゃん、日本家屋って珍しいんだよ、それに古民家だって
今流行ってるしね、消えゆく日本文化にあって貴重なんだ」
「ねえ、お母さんには紹介したから私の部屋でゆっくりしょう? 」
「え?いいの・・・女の子の部屋だろ?」
「いくら付き合ってるからって、女の子の部屋はマズくないか?」
「別にいいじゃん・・・恋人同士なんだし・・・それとも嫌なの?」
「男を自分の部屋に連れ込んで・・・そいいうのお母さん許すの? 」
「連れ込んでってなに?・・・ひとぎきの悪い」
「宇宙を襲ったりしないから、大丈夫だよ」
「それ普通、逆だろ?」
「立場的に言って僕が梨紅を襲うってなら分かるけど・・・ってなに言ってんの」
「なんでもいいから行こうよ」
ってことで僕は梨紅の部屋へ。
うん、思った通り女の子の部屋だ・・・どこから見ても女の子の世界・・そこに男の匂いもカケラもない。
まあ、当然っちゃあ当然か・・・。
「ここ座って」
「ここ、ここ・・・」
僕は梨紅の横に座った。
なにする訳でもないんだけど、多分今の僕たちに言葉はいらなかった。
ただ一緒にそばにいるだけでお互いの気持ちが分かり合えた。
その雰囲気が僕は好きだった。
でもって、どちらからともなく磁石みたいにクチビルとクチビルがくっつく。
で、今日の梨紅はやたら短いスカート履いてるから立ったり座ったりするたびに
パンツが見える。
パンチラだよ、パンチラ。
別に見ようと思った訳じゃなく目に入るんだ。
「あのさ・・・スカート短くない?」
「
「普段はジャージだし・・・」
「お〜それはまた、それがしの為に、いたみいるでござる・・・」
「なにそれ・・・時代劇か?」
「で〜、その〜パンツは出血大サービスでござるか?」
「え?なにが?」
「ちらちらパンツが見えるでござるよ、姫」
「立ったり座ったりするたびに・・・パンツが見えるんだよ」
「胡座かいたりするからスカートめくれて余計見えるし・・・」
「み〜た〜な〜・・・エッチ〜・・・スケベ〜」
「知らない人のパンツ見たんならスケベ呼ばわりされてもしょうがないけど、
自分の彼女のパンツ見て、なんでスケベなんだよ」
「って言うか・・・やっぱり女物のパンツ履いてんだ・・・」
「ブリーフとかトランクスとか履かないんだね」
「当たり前でしょ、男物のパンツなんてダサくて履けないよ、全然可愛くないし」
「宇宙のために可愛いの履いてあげてるんだよ?」
「ああ、そうか・・・梨紅はなんでも可愛くなきゃいけないんだ」
「それって基本でしょ?」
そしたら梨紅の部屋のドアがいきなり開いて、誰かが入ってきた。
てっきりお母さんかと思ったら、違ってた。
「あ、お姉ちゃん、帰ってきたの?」
「おう、ただいま・・・お母さんに頼まれて飲み物持ってきてやったぞ」
「どう、どうもお邪魔してます・・・え〜と」
「お姉ちゃん・・・私の彼、
「はじめまして小高です」
「君が小高くんか・・・梨紅から散々ノロケ聞かされてます」
「もう耳タコ」
「そう・・・梨紅・・・彼氏連れてくるって言うから、どんなイモ男子
連れてくるのかと思ったら・・・小高くん、イケメン君じゃん」
「こういう男性が梨紅の好み、タイプか・・・」
「お姉ちゃん、失礼だよ」
「ってことで、よろしくね小高くん・・私、姉の
「小高くん、君のこと疑ってる訳じゃないけど梨紅のこと理解して
やってくれてるんだよね・・・その上で、梨紅と付き合ってるんだよね 」
「お姉ちゃん!!」
「いいんだ・・お姉さんの言いたいことはよく分かるから・・・」
「梨紅のこと、ちゃんと理解して付き合ってもらってます」
「お姉さん、僕は嘘偽りなく梨紅のことが好きです」
「そか・・・分かった、それを聞けさえしたらいいの」
「じゃ〜ね、お邪魔虫は退散・・・」
「小高くん、梨紅のことよろしくな!!」
「これから先、梨紅を幸せにする自信なかったら、今のうちに別れたほうがいいぞ」
「宇宙はそんな人じゃないから・・・」
舞琴さんは梨紅を無視して、ドアを思い切り閉めて部屋から出て行った。
なんて男らしいお姉さん。
「お姉ちゃんったら疑ってたのよ・・・私、彼氏ができたって話したら」
「最初は信じなかったみたいだけどね、じゃ〜今度、彼を連れて来るからって
言ったら・・・ようやく信じたみたい 」
「私、子供の頃から家に誰も招待したことないんだ・・・」
「遊びに言っていいって聞かれたこともあるけど、全部断ってた」
「うちに来たの宇宙が初めて・・・でさ・・・チューしたのも・・・」
梨紅は恥ずかしそうにそう言った。
つづく。
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