第22話 特訓を重ねて

リンダルトがバーサーカーの里で特訓を初めて1週間ほど経った頃


「ちょっと私は報告に一度戻るわ…」


セリスは有翼人族の里に一度帰るようだ


騎士団の方には手紙を送って近況は伝えてある


「え〜別嬪さんが言っちまうのか?特訓にハリが無くなる〜!」


ナジュラの嘆きを他所にセリスはバーサーカーの里を後にした



リンダルトはナジュラを宥めると特訓の続きを始めた


木製の剣と素手との戦いは連日続いた


そしてリンダルトは10本中3本…ナジュラから取れるようになっていた


「少しづつだけど力の使い方に慣れて来たな」


「まだ10中3だろ?半分にも満たしてないのにまだまだじゃ無いか!休憩終わったら日が沈むまでやるぞ!」


「ウヒャ〜リンちゃんって意外と負けず嫌いだったのね!」


こりゃ思ってたより早く力を使いこなせるようになるな…騎士団長をするだけはあるな


などとナジュラは思っていた


リンダルトは騎士団長として誇りを持っていた


そしてみんなを護れる力が欲しいと常に願っているのだ


その中には国の王女であるディーナ姫が多くを占めつつあるのを自身でも感じていた


早く強くなって姫を…


その想いを力に変えつつあった


その勢いは日に日に増していくのだった


そんなリンダルトをナジュラは眩しく思っていた


自分も昔は強さを求めていた時期があり里の外に出ていたからだ


ナジュラもいつの間にかリンダルトの直向きな姿勢に惹かれていた


そして今後の事を模索していた


このまま里で過ごすのかそれとも…


その答えはリンダルトが修行とも言える訓練を終えた頃に見つかる事になるのだった



その頃セリスは有翼人の里で恐ろしい事を耳にした


「それは本当なの?」


「ああ…奴等があの場所に出入りしてるのを目撃した者からの情報だよ」



「それは事を急ぐ必要が出て来たわね…ありがとう!私はこの事を彼等に伝えるわ」


「セリス…充分気をつけろよ…彼等の助けになってやるんだ」


「もちろんよ!ちゃんと借りは返さないと!じゃあ急いで戻るわ…里の事頼んだわよ!」



有翼人族は祈った


彼等に神のご加護がありますように…と



セリスは踵を返してリンダルトとナジュラの元へと向かうのだった



彼女はこう思っていた


どうか間に合いますように…世界が闇に包まれる前に…彼等は希望になるかも知れない



その想いが届いたのかバーサーカーの里に1日足らずで辿り着いた


まぁ道を覚えていた事と1人だった為に恥じらいを気にする事なく飛ばしていけたらからと言うのはあったが…



訓練を終えたリンダルトとナジュラが火を囲んで夕食を取ろうとしていた


その場に埃にまみれたセリスが姿を現した


一瞬セリスだと気づくのに遅れたリンダルトとナジュラは驚きを隠せなかった


「セリス?どうしたんだそんなに汚れてしまって…美人が台無しだよ?」


「おお…随分とワイルドな格好だな…こっち来て風呂に入りなよ!」



「そんな事してる暇は無いわ…だってだって王都にガルダ教が進出して来たのだから…」



慌てた様子のセリスから聞かされたのは信じられない言葉だった



「今のは本当なのか?」


「ええ…有力な情報よ…だから急いで来たのよ。なりふり構ってられなかったわよ」



「それなら夕飯終えたらさっさと風呂に入って出発した方が良さそうだな」


「そうだね…セリスは夕飯の前に怪我の手当しないと」


セリスは知らぬ間にあちこち擦り傷や切り傷だらけになっていた


治療してもらったセリスはお腹が空いていたらしく料理を美味しそうに頬張った


その後男女に分かれて風呂に入れて貰い旅支度を整えた


ナジュラも当然のように旅支度していた


「君も僕達についてくる気なのかい?」


「当たり前だろ?リンちゃんはまだ訓練の途中だしほっとけねぇよ!それに俺はリンちゃんが気に入ったから良ければ騎士団に入れて欲しいんだよ」


リンダルトとセリスは顔を見合わせて頷いた


「仲間は多いに越した事ないから助かるよ!」


「これは強力な仲間が加わったわね!」







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る