いけいけ勇者様24

最上司叉

第1話

ある日1人の男が突然家に尋ねてきた。


「いきなりすみません、どなたかいらっしゃいますか?」


「はーい」


女は洗濯物を慌てて干すのをやめて玄関に急ぐ。


「どちら様ですか?」


そう言いながら女はドアを開ける。


「いやーこちらに魔物の子がいるという噂を聞いたんですがね、あっ、なに怪しい者じゃあないですよ」


充分怪しいと女は思った。


「私こういう者です」


そう言いながら男はチラシを渡してきた。


女は受け取るとそこには見世物小屋と書かれていた。


「こちらの魔物の子を是非とも譲って頂きたくて」


「冗談じゃないです!!お断りします!!」


女は怒りながらドアを閉めた。


「また来ますからー」


男はそう言いながら帰っていった。


女は怒りながら洗濯物干しに戻る。


「冗談じゃない!!見世物小屋なんて!!」


そう言いながら怒っていると魔法使いが薬を作り終え自分の部屋から出てきた。


「何の話?」


魔法使いは女に聞いてきた。


女は話すのを躊躇ったが魔法使いがしつこいので仕方なく話した。


「見世物小屋?良いじゃないか、さっさと引き渡してしまえ」


「なんてこと言うんですか!」


女は怒っている。


「これで穀潰しがいなくなる」


魔法使いは嬉しそうだ。


「絶対に渡しません!!」


女はそう言うと買い物にでた。



買い物が終わり女が家に帰ると何やら魔法使いと皆が揉めていた。


「このままここで世話する訳にもいかないだろ」


「そうだけど見世物小屋なんて酷すぎる」


「じゃあどうするのさ」


「…」


「ほら答えられないじゃないか」


「考える…」


「なるべく早くにね」


魔王は泣きそうになっていた。


俺は爺やに相談してみようと言った。


魔王はうんと答え魔物の子を連れて爺やの所へ俺と向かった。



そして爺やの家。


「ごめんねいきなり」


「構いませぬぞ」


「この子をどうしたら良いのか分からなくて…」


「なんと可愛らしい魔物の子ですぞ」


「この爺やに任せなさい」


爺やに魔物の子はすぐ懐いた。


「家で面倒みますぞ、任せなさい」


「うん、よろしくね」


魔物の子は爺やが引き取ることで一段落ついた。


魔族の街なので魔王も安心だ。


「また会いに来るからね」


魔王は少し寂しそうだ。


「またすぐ会えるさ」


「そうだね」


「また会いに来るからね」


魔王は魔物の子にそう言うと名残惜しそうに帰路に着いた。

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