終末世界で配信ナウ!

南瓜の王冠

黒魔無限窟徘徊配信 Part1 其の1

〈アポカリプス・セイヴァー〉終末寸前にまで追い込まれた世界を復興すると言う内容の今日から正式にサービスが開始する世界初のVRMMOだ。


とある事情で運良くそれを手に入れた私は早速ゲームを開始しβテストで判明している強ジョブで遊ぼうとして…最終的にエンドコンテンツ呼ばわりされる【黒魔術師】通称黒魔でこれまたエンドコンテンツ呼ばわりされるプレイヤー一人一人でサーバーが別らしい限界無きダンジョン【無限洞窟】通称無限窟を攻略しようとしていた。


…何があったのかと聞かれると言って仕舞えば心が折れたのだ。そもそも知らない人とパーティープレイとか無理だし強ジョブとは言えソロは無謀だ。私のゲームの腕はそんなに良くない。


と言うか単純に戦闘が怖い。例え痛みがなくとも襲いかかって来るエネミーは普通に怖い。この時点で私自身が直接戦うのは無理だと気づいた。何ならソロもパーティーも無理だったので少し詰んでた。


結果的に私が選んだのはβテストに於いてサービス終了までに『極められる気がしない』だの『もはやこれだけで別ゲーとして成立する』どの言われていた黒魔術師…それも通称魔王プレイと呼ばれるものだった。


折角なのでゲーム内配信機能とやらを使って見ようと思ったのは後から考えると結構な気の迷いだったと思う。


「タイトルは……シンプルで良いか…黒魔無限窟徘徊配信Part1っと」


設定を終了し配信を開始すると同時に虚空にチャット欄が浮かび上がった。


チャット▼現在10人が視聴中です

・乙

・乙

・乙

・黒魔無限窟ソロって正気か?

・ベータ組じゃないよな?

・俺ベータ組だけどそんな苦行は普通しない


「えーっと…初期選択スキルは《黒魔術》《付与魔術》《錬金術》で初期スキルポイントは黒魔に5です。コメントは…まあ、気になるものがあった時だけ返します。」


視聴者には何かヤバい奴扱いされている気がするが気にしても仕方ないので早速攻略する事にした。


「使える黒魔術は〔封印〕〔隷属〕〔召喚〕〔死霊傀儡ネクロマンス〕〔精神衝撃メンタルブラスト〕の5つです…はい。」


魔術系のスキルは数値=習得可能数なので色々悩んだ後にこの5つにした。

1分ほどそこそこの広さの1本道の洞窟を歩いていくと子供位の人影が見えた。


「…あれが…ゴブリン…ですかね?」


「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ」


緑色の肌、小さな額の角、醜悪な顔、ボロい布切れの腰布を巻いてるソレはゴブリンで間違い無いだろう。一目見た感想としては黄色い目が不気味だと思った。


「…〔精神衝撃メンタルブラスト〕〔隷属〕〔封印〕…はい…OKです」


精神衝撃メンタルブラスト〕で気絶させ〔隷属〕で支配し〔封印〕で存在を私の中に封印する…これが魔王プレイの基本的な戦術だ。


因みに私の中に封印できる理由はダンジョンの魔物は断章という半分幻見たいな存在だかららしい。ソースは検証班。


「じゃあ…引き続き…探索を…続行します…はい」


それはそれとして赤の他人と会話していると”はい”って付け足さなきゃいけ無い気がするのは何でだろうね?



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______

[ゴブリン]Lv1/5 ♂

身体ボディ〉3

精神マインド〉1

技巧テクニック〉3


〈スキル〉

〈絶倫1〉〈早熟1〉

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