第3話 互いの関係性
❖ ❖ ❖ ❖
私、
周とはマンションがお隣同士で、私立の一貫性の学園に通っていることもあり、幼稚園からずっと一緒だった。
周のご両親は研究員で海外赴任されている。あれはいつ頃だっだだろう……高校に入る頃だったと思う。その頃から周は日本で一人暮らしを始めていた。
私の両親は周のご家族と仲が良かったので、何かと面倒を見ていた。
両親同士は仲がいいのだが、私と周は周知の事実である『犬猿の仲』だった。全て私の発言に対して何かしら反論をする周。お互いが『苦手な人種』だと思っていただろう。
──でも私は周が密かに好きだった。
周のルックスは世にいうメガネ男子で、インドア好きで家が好き、本が好きなインテリ派でもあった。イケメンという類なのであろう、お付き合いしてくださいイベントは色々見てきている。
何人かと付き合っているのを目の当たりにしては、私は失恋していた。ただ唯一の強みは『幼馴染』という点である。これで私は犬猿の仲でも、彼と接することができていた。
私といったら、体育会系のアウトドア大好き少女であった。学生二人しかいない同好会『キャンプ同好会』を立ち上げ、休みの日になればもう一人のメンバーで互いにソロキャンプを楽しんでいる。
周には『理解できないアホ』といつも週末出かける時に、『激励』と頂いていたが楽しいのだから仕方ない。
周のそんな言葉は蹴散らしてキャンプへと出かけていた。
私と周が高校三年生になって、海外の周のご両親が私の親に研究を手伝ってほしいと話を持ち掛けていた。
私の両親も研究職だった事と、私が高校三年生に進学した事から、その話を快諾し徇の両親の元へ海外赴任してしまったのだ。
気が付けば、お陰でウチも周と同様『一人暮らし』となった。
普通だったらそこで『夕飯は一緒で、そのうち芽生える恋愛』などを期待するのだが、その兆しは一向に現れることは無かった。
互いが互い生活を謳歌しているため、出会うのは学校のみである。ただ、何かあった時用には互いの家の合いカギは持ち合わせていた。
そんな関係の周が……今、目の前で泣いている。
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