冷やしたトマト始めました。[失作]

覚醒冷やしトマト

はいここは素晴らしい場所です。

トマトの一生涯

 ムニッ!!


 ぼくはこのよにこのしゅんかんうまれた。


 たくさんのきょうだいたちとともにうまれた。


 まだまだじゅくしてないあおいトマトだけどきっとりっぱなトマトになれるっておかあさんはよくいってた!


 さゆうにはきんじょのトマトがたくさんいた。たくさんいたのでちょっとこわかったけど、きょうだいたちがいたからなんともなかった。


 さいきんよくめのまえにおおきないきものがよくとおる。でもおいしいおみずをたくさんくれるからうれしいい!



 あれからボクも大きな体になり少し赤みをおびてきた!兄弟たちもすくすくと成長しているようでボクはとてもうれしい!たくさんおしゃべりできるし、たくさんいっしょに遊べる。


 ある日兄弟の体にいへんが起きた。いたい、いたい言っている。ボクは助けてあげたかったけどどうしたらいいか分からなかった。おしりが黒くなっていてとてもいたそう、何かしてあげたい。だからボクはいっぱい話しかけた!話しかけて勇気をあげたり、はげましたり、いろいろ楽しいお話をした。兄弟は泣きながらも笑ってくれた。ボクはその様子を見てホッとした。


 つぎの日に、おしりが黒くなった兄弟は大きな生き物に連れてかれた。ボクはお母さんに聞いた。


「ねぇ兄弟はどうなるの?」


「きっと黒くなったお尻を治して戻ってくるわ。安心して待ってなさい」


 とお母さんは少し苦しそうなえみをうかべた。どうしてそんな悲しい顔をするのだろう?治ってくるんだよね?またお話できるんだよね?次はもっと楽しいをしてあげたい。



 ボクは大きくなった。立派なトマトの一員になれたとお母さんもそして兄弟たちもボクの事を褒めてくれた!立派なトマトの一員に兄弟全員になれる頃にはボク達は素晴らしい場所に行けるらしい!!


 どんな場所かはよく分からない。でもそこからお母さんは来たらしいし、きっと本当に素晴らしい場所が待っているんだろう!そこに行けば連れて行かれた兄弟にも会えるかもしれない!!とても楽しみだ!!



 兄弟たちを含め、近所のトマトたちが立派なトマトの一員となった。すると今まで僕達においしい水をくれた大きな生き物が僕達をお母さんの元から切り離し始めた。僕や兄弟達もとても嫌だった。でもその時お母さんは言った。


「お前たち、そう悲しむことはありません。どのような生き物にも巣立ちの時はやってくるのです。その時が来ただけに過ぎません。あなた達も立派なトマトなのですから、泣いてばかりいないで前を向いて生きなさい。それがあなた達に送る最後の言葉です」


「分かったよお母さん!兄弟たち!これからも一緒に頑張っていこう!!」


 と僕は兄弟たちを励ますつもりで言った。それに対して兄弟たちも「「「「うん!!」」」」と僕とお母さんの思いに応えてくれた。そうして僕達が連れ去られる時に僕たちは大きな声でお母さんに精一杯の「今までありがとうお母さん!!!」とたくさんの感謝を込めていった。その時にお母さんの方からすすり泣くような声が聞こえた気がした。きっとお母さんも別れるのがつらいのだろう。


 そうして僕たちは兄弟と近所のトマトがギュウギュウに詰まったところへ入れられた。その場所はとても暗くて、寒くて、何より寂しかった。たくさんのトマトがいるせいで兄弟たちの声が聞こえない。いろんなトマトの声が聞こえる。みんないろんな言葉を吐きかけている。汚い言葉を使うもの、泣き崩れるもの、勇気づけようとするもの、色んなトマトがいた。でもなんだか、とてもただ...ただ...うるさかった。



 ガゴンッ...ガゴンッ...と大きな音が聞こえるたびに大きく揺れる。とても居心地が悪かった。もう皆あまり喋らなくなった...皆も疲れてきたんだろう。どれくらいの時間が経ったのだろう。長い時間ず~〜〜っとこの状態で頭がおかしくなりそう。すると隣のトマトが小声で話しかけてきた。


「お前...そこのお前...!」


「え?僕のこと?」


「そうだよお前以外いるわけねぇだろ」


「何?」


「お前この先に何があるか知ってるか?」


 そう何故か楽しそうな物言いで言うトマトに僕は当然のことを言った。


「何って?すごく素晴らしい場所でしょ?それがどうしたの?」


「はぁ?何だそれ?素晴らしい???お前頭おかしいんじゃねーの」


 僕は困惑した。どうしてそんな事を言われるのだろう?


「え?どういう事?だってお母さんが素晴らしい所に行けるって...」


「はーん、さてはお前...親に騙された口だな。気持ちはわかるが酷だねぇ」


「騙された?お母さんはそんな事しないよ!!」


「じゃあその不出来な親に代わってオレが特別に教えてやるよ」


 とてもムカつくトマトだ。僕のお母さんをバカにしてくる。でもなぜか得意げに話すもんだから僕は彼の話を聞き続けてしまった。


「お前はこれから俺たちに水を与え続け管理してきたあの生き物に食われに行くんだよ」


「え!?どういうこと!!」


「シッ!!声が大きい!少しは周りに配慮してやれよ」


「ま、そういうことだ覚悟してな....ヒヒヒ」


(嘘だよね?そんなはずないよね?だってお母さんは...素晴らしい場所だっ...て...)


 僕はすっかり彼の言うことに呑まれてしまった。頭にいつも流れるあの言葉...でも僕は最後までお母さんの言うことを信じる!そう心に決めた。



 ある日やっと暗い場所から開放された。僕は心から感激した。あの苦しい場所から開放されたんだって...でも僕が次に来た場所はもっと酷かった。

 僕の次の居場所には緑色の何かの上に乗せられお日様よりも近くて眩しい光が沢山輝いている。その他に知らないトマト達と一緒にいたけど楽しくなかった。話しかけても何も喋らないものばかりだった。気味が悪かった。僕だけ周りから置いてけぼりにされた感じがして寂しかった。お母さんや兄弟たちに会いたいそう次第にその思いは強くなっていった。


 そしてあの大きな生き物が沢山現れ始めた!見たこともない姿をしたものが沢山だった。そのまばらさに僕はとても怖く感じた。そうしていると一人の大きな生き物がトマトを掴み始めた。なんだか凝視している。こわい、こわい。そんな思いが見ている内に強くなる。


 結局あの生き物は他のトマトを取り去っていった。僕は助かった?のだろうか...。そう思いふけっていると突然僕の体は中に浮かんだ。驚いた僕は気付いた。僕は今、あの大きな生き物に捕まっていると。そしてそのままピンク色の穴だらけの箱の中に入れられる。色んな何かが一緒にあった。そのまま運ばれていき、僕は何だかとても寒い空間に閉じ込められた。


 寒い...寒い...ただただ寒かった。寒くて寒くて死にそうだった。暗くて何も見えない。何も聞こえない。偶に光が入ってもすぐに閉じ込められる。僕は一生このまま出られないんじゃないかと感じた。その時僕は思い出した。あの時のお母さんの言葉を「僕たちには素晴らしい場所が待っている」と。そしてあの嫌味なトマトの言葉を思い出す「俺たちは食われるために生まれたんだよ!」何がどうとか、信じられるとか信じられないとかじゃない。ただ今ある僕の状態はとても楽しくなく素晴らしさなんてこれっぽっちも感じない。最悪な場所でしか無かった。



 アレから随分と時間がたった。寒い...暗い...寂しい...ココにあるのはそれしかない。素晴らしい場所?そんなものはどこにもなかった。結局お母さんは嘘つきだった。兄弟たちも同じ思いをしているのだろうか?....そういえば昔にお尻が黒くなった兄弟がいたな....今どこで何しているのだろうか?もうとっくに...死んでいるのだろうか...。僕の心にこれまで感じたことのない燃え盛るような思いが沸き立った。


「なにがッ!!素晴らしい場所が待っているんだッ!!なにもないじゃないか!!」


「ココにいるやつだって何話しかけても何も言わない!!でも!連れて行かれて言った時かすかに聞こえるんだよ!!!アイツラの最後の声が!!!」


「親の名前を呼ぶ声や!!ただの断末魔だったり!もううんざりだ!!!何なんだ!どうしてこんな目に遭わなきゃいけない!!僕たちが何を何をしたって言うんだ!!!」


「........................もう疲れた」


 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いッ!!!全てが僕が存在する全てが憎い!…あ、ぁぁ意識が遠のく...あぁもうほとんど何も感じない、寒さもかすかな光も.....何も....あぁ..そうか........これが「死」..........................ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


トマトの一生 【完】


当作品はカクヨム甲子園に出走中です!

作者より後書き

どうも!おはこんばんにちわ!あの後覚醒した覚醒冷やしトマトです!!今回は僕が覚醒する前のただのトマトだった頃の話について書きました。もし本作品が面白いと趣深いと感じてくれたのなら!!

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