カップラーメン
朝凪千代
第1話
わたくしの罪をどうかお許しください。……いえ、許されなくても結構です。わたくしが全て悪いのですから――。
あれは日付けが変わろうとした時でした。
心地よい睡魔と闘いながら、会社から自宅への道路を急いでおりました。
深夜というのは恐ろしいもので、人間は知らずのうちにコンビニに吸い込まれるのです。次の日の朝ごはんと、新発売のグミを手にとり、レジに向かおうとしました。しかし、ある商品を捉えてしまったのです。
何の変哲もないカップラーメン。
どこにでもあるカップラーメン。
おいしいよな、と思った時にはもう家におりました。手にカップラーメンを持って。
私は、私は……。
お湯を沸かしてしまいました……。
カップラーメンにお湯を注ぎました。
そこでひらめいてしまったのです。
チーズを入れたら美味しいのでは。
どうかしておりました。自覚もありました。
結局、チーズをふりかけ、3分待ちました。
後悔はございません。
大変美味でございました。
塩味のきいた麺と濃厚なチーズのコクが舞踏会を開くがごとく、口の中で踊っておりました。
飽きてしまうのでは、という心配も無用でした。舌に残るスープとチーズの香りが麻薬のように次をねだるのです。(麻薬に手を出したことはございませんが)
最後まで、いただいてしまいました。
時間はすでに1時をむかえようとしておりました。少し残ったスープと遊んでおりました。このスープというのは中々厄介で、そのまま流して良いものかいつも私を悩ませます。
そこで、ふと思いつきました。
おにぎりを入れたら。
ちょうど、次の日の朝用に買った明太子おにぎりがあったのです。
しかし、さすがにコレにはためらいを感じました。お腹もほどよく満たされ、あとは化粧を落とし、風呂に入るだけ。これ以上食べたら寝てしまう。それに、炭水化物&炭水化物になってしまう。そろそろ健康も気をつけなければならない……。
しかし、ふと思ったのです。明日は実家に帰る日だと。実家は飛行機を乗り継いでやっと着く距離で、移動だけで労力を使うのです。つまり、カロリーを消費するのです……。
おにぎりを残りのスープに入れました。
大変美味でございました――。
カップラーメン 朝凪千代 @tiizu
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