第2話 ダイブ・イン
んじゃあ、「ダイブ・イン!」
意識が一瞬、暗転する。
ほんの少しの浮遊感の後、白一色の空間に俺はいた。
「これがゲームの中…か?バグ?」
「秋家 凛廻様ですね」
急に声が掛けられたかと思えば、そこには美の完成系とも言える存在がいた。一言では言い表せないが簡潔に言うなら、女神のようであった。
「この度は追加ダウンロードパックをダウンロードしていただき誠にありがとうございます」
そう言うと、その女性は頭を下げた。
「それでは、説明に入ってもよろしいでしょうか?」
「あ、お願いします」
そう言えば詳細はこっちで聞くことになってるんだったな。
「早速説明に入らせてもらいます。まず第一に前作における総合成績最上位者である秋家様に我が社のトップの意向で今回の追加ダウンロードパックをお送りさせていただきました。このパックにおける特典は4つ。一つ目はユニーク種族固定です。そして、二つ目はユニーク職業固定になります。三つ目といたしましては、ユニーク称号の付与となります。最後に四つ目はユニークスキルをランダムで3つ付与します」
……は?
「いやいやいや、待ってくれ。種族と職業固定ってどう言うことだ?変更できないのか?」
ユニーク称号とユニークスキルは分かる。前作でも存在したし、俺自身いくつか持っていた。
ただ、ユニーク種族とユニーク職業は聞いたことがない。固定されると言うことは転職することができないのかも知れない。
まぁ、そもそも転職には面倒な条件があったからそれほど困らないか?
「変更は不可能です。強いて言えば上位種族や上位職業に変わることはあります」
なるほど…ん?上位?
「あの、上位種族とかって…」
そんな物は前作ではなかった。と言うか、見つかってもいない。秘匿している奴がいるのかも知れないが...それについてはどうしようもない。
「ぁ…、ちょ……あなたは何も聞いていません…。…いいですね?」
「えっ?」
こちらを睨みながら微笑んでいる。器用だなぁ。
「い・い・で・す・ね?」
「あ、はい…」
あまりの必死さに頷くしかできなかった。まぁ、美女からの念押しだったからな。そーゆうことにしとこう。
「コホン…それではキャラメイクに移りますが宜しいですか?」
「え?特典は辞退することが出来ないんですか?」
「辞退するのですか?」
疑問に思って聞いた所、逆に問い返されてしまった。確かにユニークってあるのだから、限定的な種族、職業につけるのだろう。ただ、一点物はどの MMOでも不和の元だったし…
「最初の方は確かに強力で妬ましく思われるでしょうが、時間が経てばみなさん追いつける程度の差です。更に特殊条件を達成すれば、凛廻様と同じようなユニーク種族になったりユニーク職業になることも可能ですしね。」
ほーん、ならいいか。てか、心読まれてね?
「さっきから、口に出して喋っていますよ?」
「えっ?」
知らずのうちに思ってたことが口をついて出ていたようだ。
「それでは、キャラメイクに移りますが宜しいですか?」
まぁ、いっか。面白そうだしな!
「お願いします」
「それでは、キャラメイクに移ります」
そう言った瞬間、目の前に事前に登録してあるアバターが現れた。
「このアバターで宜しいでしょうか?」
まぁ、変更することもないだろ。あんなに時間かけて、結局変わってないしな…
「そのアバターで」
「了解しました、それではステータス画面を表示します」
その瞬間、目の前に半透明のボードが現れた。
ステータス
名前:ゼラフ
第1種族:『見習い使徒LV:0』
第1職業:『見習い代行者LV:0』
称号:無し
LV:0
HP:100/100
MP:450/450
STR:15
VIT:10
DEX:20
AGI:15
INT:50
MAD:45
LUC:100
第1種族...?なんだそれは?新しく追加されたものか...?
しかも、見習いか...ユニークだからか?いや、新しいシステムという可能性も...
「それでは、名前を決めてください」
「あの、第1種族って...それに、見習いって今回から実装されたのですか?」
「職業の見習いは今回から新しく実装されたものです」
やっぱり新実装のシステムか。ん?職業の見習いは?ま、まぁいいか。
「そ、それに第1職業ってことは複数の職業につけるということですか?」
「はい、その通りです。そして、これは本来は自分たちで見つけるものですが...第2職業では、ステータスに係る補正が50%、第3職業では25%という風に、半分ずつになっていきます。職業は第5職業まで設定できます。一応増えることもありますが...」
「それで、種族の方は…?」
「そちらは、秘密です」
「秘密?」
「はい、秘密です」
まぁ、仕方ない。いっぱい情報も貰ったしな。
「それでは、キャラメイクは以上となります。何か質問はありますか?」
「あの、あなたのお名前は?」
「まだ名乗っていませんでしたね…私の名前は『アルスフェーン』です」
おぉ、いかにも女神っぽい名前だ…
《称号『生命の女神アルスフェーンとの邂逅』を入手しました》
ほ?
うん、ほんとに女神だった…まじかよ…いや、納得だが。
てか、女神様がわざわざ説明しにきてくれたのか。
うん、称号かぁ...なんか見るのが怖いけど...見るか。
称号『生命の女神アルスフェーンとの邂逅』
女神アルスフェーンと初めて相見えた者に与えられる称号
生命属性との親和性+2%
また新たな情報が...属性親和性...ねぇ...
「考え事は終わりましたか?」
「うおっ」
そういえば、まだこの空間だった。
「?」
「あ、いえ、考え事は終わりです。はい。」
「では、この世界をどうぞお楽しみください」
その言葉を聞いた瞬間、視界が明転し気がつくと大きな噴水の前にいた。
「おぉ」
ここが、カンプオンラインの世界か!
ーーーーーー
凛廻のいなくなった後の空間でアルスフェーンはポツリと呟いた。
「これでいいんですね?■■■■■■■■…」
✳︎下の方の応援するボタンと星の方よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます