第20話三人娘②

俺はマオだ 兄貴に面倒見てもらうようになって3年が過ぎた

俺は母ちゃんと二人暮らしだったし 母ちゃんもあんまり学が無かったのでマリア先生の授業にも付いていくのが

精一杯だった 読み書き 計算なんて兄貴と暮らすようになって初めて知ったぜ

ただ 分からない事はシャルロットかリリエルに聞けば大体教えてくれたし 

それでも分からないなら兄貴に聞けば教えてくれる 

兄貴の方が教え方上手いんだから兄貴が先生になればいいのに 

今じゃ国王様だからな 色々と忙しそうだししょうがないね 

沢山の勉強の中で 俺が一番熱心に聞いているのが行儀作法だ

先生のベスさんはジョイ王国の宰相の娘だったらしく曰く 俺の無作法が国のひいては兄貴の顔を潰す事になるらしい

大好きな兄貴の顔に泥を塗る訳にはいけねえ 先ず俺は女だから一人称を私にしなさいと言われた

ベスさんの教えを初めて受ける日に3人呼ばれて兄貴の所に行ったらドレスを一人一着くれた

なんでも ドレスを使う所作もあるからだとか 服はこれまでも沢山貰ってるから いらないと言ったらそう言われた

他の二人も国王に恥をかかせる訳にはいかないと私と一緒に頑張った

ベス先生からも 3人ともまだ拙いが一応形は出来てるとの言葉を貰った


ある日 ベス先生の授業が終わったら兄貴の所へ三人で来るように言われた

部屋から出て急いで兄貴の所へ向かうが このドレスってのは走りにくくて しょうがねえ

「「「おはようございます お待たせしました」」」三人同時に頭を下げ 挨拶する

「おお 忙しいのに悪いな お前達三人に頼みがあって 呼んだんだよ お前達三人は将来何になりたい?」

兄貴が微笑みながら俺達 じゃなかった私達に聞いてくる

「「「(お兄ちゃん にいに 兄貴)のお嫁さん!!」」」同時に答える

「ああ そうか それとは別に商人とか農家とか冒険者とか なりたい職業はあるかい?」

「「「無い」」」

「そうか じゃあ お試しで冒険者みたいなことをしてみないか? シャルロットは剣と攻撃魔法 リリエルは錬金と回復魔法

マオは斥候と双刃術が使えるし 三人で大陸を周って困った人達を助けて欲しいんだ そして 身寄りの無い孤児をこの国に送ってやって欲しい 無理にとは言わないが?どうだ?」

多分 それは 元孤児だった私達が最適だと考えたのだろう そう思えば私達の答えは決まっている

「「「やります いや やらせて下さい!!」」」三人共に迷い無く答える

「ありがとう」兄貴が嬉しそうに笑ってくれる

その後 マリアート様に神の加護を貰い 兄貴が用意した装備に身を包み ギルドで冒険者登録をする

それぞれ 自分の役割の強化の為 前衛が強いパーティー 回復が優れているパーティー 斥候が際立つパーティーに入り色々と教えて貰う 何とか形が出来たところで 三人でパーティー結成だ リーダーはシャルロットで決まり

兄貴に報告に行くと「早速だが 俺からお前達に依頼をお願いしよう」と地図を出してきた

「この元ジョイ王国から南に行った所に「魔女の森」と呼ばれる大森林がある そこに行ってルイーズという女性に会ってきて欲しい

 そして この手紙を渡して欲しいんだよ 隠蔽魔法がかかっているが今のシャルロットなら破れるだろう トワから

頼まれたと言えば邪険にはしないと思う」そう言って手紙を俺達に渡した


装備 食料 等を準備して三人で確認していると 三人同時に大切な物を忘れている事に気付いた

三人で兄貴の所に行き有無を言わさず 兄貴の服を脱がし次元収納に入れる

危なかった あれを忘れたらパニックになるとこだったぜ


元ジョイ王国に向かう商隊の馬車の護衛を兼ねて出発する 

兄貴には「なるべく人を殺すな ただし 自分の命が危険な時には躊躇なく殺せ」と言われている

旅に出て二日目 後ろから物凄い勢いで馬車が迫って来た どうやらモンスターに追われているみたいだ

商隊の責任者に事情を話し モンスターの討伐の為馬車を降りる

このまま 見過ごしてもこちらにモンスターを擦り付けられるだけだ

追い越していく馬車の後ろから森狼が十数頭走って来る

俺とシャルロットで森狼の中に突っ込んで行き 俺の双刃とシャルロットの剣で倒していく

ものの一分もかからず制圧し 後ろを見ると 追い抜いた馬車は礼も言わず走り去って行った


理由は分かる 荷台には以前の俺達みたいな子供達 十数人が乗っていたからだろう


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