第18話黄昏のクロノス


マリアートが 俺 ブラド シャルロット リリエル マオ ハイジを集めて教会で話しがあるという

其々椅子に座り マリアートを待っていると マリアートが現れ ハイジに向かって「精霊女王とは精神はつながっているか?」と問う

「大丈夫です」ハイジが緊張した面持ちで答える

「では いきなり本題から入るが 私達は全員前世もしくは前々世でつながりがある」

「「「ええー!!」」」

三人娘が声を上げる ブラドは知っていたような雰囲気だ ハイジは何だか分からずポカンとしてる

「クロノスよ この地に刺さっていた剣を抜いた時 何か感じなかったか?」

「そう言えば お前が手伝ってくれた時 苦しみと喜びがないまぜになった変な気分だった」

「そうか お主は思い出しておらんのじゃな」マリアートは腕を組み少し考える

「先ず クロノスよお主の前世の名前はアレスじゃ」

「それは 千年も前にいた英雄の名前じゃないか 俺がアレスなのか?」

「そうじゃ!! お主こそが千年前に一度休戦に持ち込んだ英雄アレスなのじゃ 現ラリウス聖王国の前のラリウス王国の王子だったのじゃ そしてその当時の冒険者の相棒だったのが私アンだ」


「それで 俺は神である お前に気安くしゃべっていたのか」

「そうじゃ 二人でいろんな戦場を巡ったり モンスター退治をしているうちにお主はいつしか英雄と呼ばれるようになったのじゃ 旅の途中で小隊に囲まれている瀕死の龍を助けた それがブラドじゃ覚えているか?」


「エルフの森でお会いした時に先代の記憶がちりちりしましたので 何かあると思っておりましたがその時ブラドという名前も付けて頂いたのでしたね」

ブラドは納得の顔になる


「シャルロット リリエル マオよ お前たちは前々世のアレスの妹たちじゃ ちなみに当時の名前はユミ ユリ ユアじゃよ」

「「「そうなの!!」」」

「お前達は前世・前々世でも 夫や子供の事を想いながらも自分でも気づかぬ心の底で一番強く願っていたのは アレスとの再会じゃ 願いが叶って良かったのう」

にやりとマリアートが笑う


三人娘は顔を赤くしてモジモジしていた

「それでな 当時魔族はより強力な魔法力を求めて妖精国へ侵略を始めたんじゃ それで 女王から要請を受けて 侵略していた魔族を殲滅したんじゃ そしてアレスがより強力な結界を張って 魔族の侵攻を防いだんじゃ

そうじゃったのう 精霊女王よ?」ハイジに問うと 彼女の声ではない誰かが答える

「左様でございます あの時はアレス様 アン様には いえ 今はクロノス様 マリアート様ですね 助けて頂き本当にありがとうございました お陰様で平穏に暮らせています しかし大変な事に巻き込んでしまい申し訳ありません」

「そして その旅からこのラリウス王国に帰って来ると国は崩壊しておった アレスを脅威に考えた愚かな人族に

攻め込まれていたんじゃ」

焼け落ちた家々やそこら中に転がるように死んでいる国民を見て

「俺は 俺は何の為に戦ってきたんだ 俺のせいでこの国が………」

「そして 全魔力 全精神力を一本の剣に込めて大地に突きさしたんじゃ 巨大な魔力爆発が起こり剣を中心に 大地が枯れて侵略者達は死んでいった ただ私とお前達三人にまだ生きていた国民は結界で守られて無事だったんじゃ

そして 私は剣に呪いを掛けた 刺した本人しか抜けないようにな この魔力爆発でどこの国も一時休戦になった


だが 私は許せなかった 何が原因でこんなことになったのか?答えを求めて長い長い旅に出た そして 遂に答えを知る者に出会った 

胡散臭い自称賢者が言うには全てコイデ神の仕業らしい 奴は長い平和に飽きて同種族・異種族で争わせてそれを見ながら暇をつぶしていたのじゃ 

だが膠着状態が続いたので(英雄)を作って掻き回したかったらしい

自称賢者と神界へ行く方法を研究し ようやく私は行く方法を見つけた

 神界へと殴り込みに行くと 顎のしゃくれた目つきの悪いコイデがおったので 神を殺せるが自身も消滅する神殺しの禁忌魔法を全生命力を込めて放った 私の意識が消える寸前に奴が消滅していくのを見た」

マリアートが満足そうに笑う


「次に目を覚ました時 上神様というか 我らより遥に上の存在の方の前だった 神殺しで裁かれるのかと思い 固まっていると

「すまなんだな」と仰られて手を握られた 上神は下神を殺せんらしくコイデのやりように頭をかかえていたようじゃ

 そして 私に神になるよう勧めてきたのじゃ 神の真似事が出来るようになった頃 アレスの魂を捜したが 輪廻の輪の中には

おらず その事を上神様にお尋ねしてみた 曰くアレスの魂は傷つき過ぎてまだ輪廻の輪に戻って来ないとの事だった 

そこから 千年近く待ってようやくお主が戻って来てくれた それに合わせて三姉妹の願いも叶えてやったのじゃ」

「「「ありがとうございました」」」三人娘が揃って礼を言う


教会の屋根から街をみているとマリアートがフヨフヨと近付いてきて 横に腰を下ろした

「マリ ずっと俺を見守ってくれてたんだな ありがとう」

「何をいきなり言い出すんじゃ 照れるじゃろうが」

「マリ 前は言えなかったけど 愛してるよ」

「私は千年以上 その言葉を待っていたのじゃ」

「そうか 待たせて悪かったな」

黄昏の街を見ながら二人肩を寄せ合った


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