第8話

迷惑な奴ら


裏庭でシャルロットとマオに近接戦の稽古をつけているとマリアが息を切らしながら走ってきた

「クロノス!! 大変よ 門の前に ゼェゼェ 門の前に」

「落ち着けマリア 一体どうしたんだ?」

「ハァハァ 門の前に伯爵の軍とコイデ神の教会の奴らが来てるのよ」

どうせ害意しか持たないから 門の中に入れないだろうしほっといてもいいかな?

と思いながらも溜息をつきながら門の方へ向かう

椅子を持ってきて奴らの前に足を組んで座る

「貴様 貴族の前でその態度はなんだ!!」全身鎧のおっさんが喚く


「ここはな 害意を持った奴は入れないようになってるんだ お前らは門に入れない時点で

ここに害意を持ってるって事だ さっさと帰んな」

「ここにある食料を差し出せと前に言ったはずだ 差し出す事もせずこんなゴミ共に

タダで配りやがって」全身鎧が煩く喚き散らす

「お前達が何もしないから ここが支援してるんだろ 先ずは私達が国の民も助けられず申し訳ありません 代わりに民を助けていただいてありがとうございます だろ」

「な なにおー……」おっさんは顔を真っ赤にして悶えている

「大体 お爺さんがいくら頼みに行っても銅貨1枚も支援してくれなかったじゃない」

マリアが半泣きで訴える 小さい時に爺ちゃんと何度か一緒に貴族に直訴に行っているから よく知っているんだろう


「そ それは」おっさんは言い訳を考えているみたいだが思いつかなかったみたいだ

「こんな孤児院から食料をむしり取ろうなんて ざまぁないな 自慢の兵士さん達に剣じゃ無く鍬でももたせて田畑を開墾させた方が余程国の為になるんじゃないか」

全身鎧も兵士も何かワーワー言ってるが気にしない 


[お前らの利権の為に戦争して怪我をした者には なんの保障も無くここに流れついて

 その日をギリギリで生きているんだぞ それが貴族のやる事か? 後ろにいるお前たちもいづれこうなるんだぞ ]

兵士達が黙り込む



「さてさて では私の話にうつりましょうか」 

法衣を着たいぼがえるみたいなのが話に割り込んできた

「新しい1教会が出来ているのに上納金を納めないとはどういう事でしょう」いぼがえるが偉そうにのたまう

これにぶちぎれたのかマリアが先程より強い口調で言い返す

「あんた達の所にここの教会の シスターや司祭の派遣を頼んだわよね

それが なしのつぶて 今更何の用なの?」

「あの時は状況が悪かっのじゃ」

[それに ここはコイデ神なんか信仰してないわ ここはマリアアート教の本神殿なのよ あんた達にとやかく言われる筋合いは全く無いわ]


おお!!マリア怒り心頭だな

「うるさい小娘 黙って供物と寄進を渡せ」

「渡した所で民の救済に使われずに あんたの汚い脂肪が増えるだけでしょ」


一触即発の所にマリアートがフヨフヨと浮かんできた

俺らは見慣れているが 初めて見た兵士や教会連中は驚いてる

「おい 先ずはそこの貴族よ 私利利欲の為に民からの税金を好き放題使っておいて

食料を接収するだと? おまえは自分の民の為に何かやったのか?」 

「これも国の為にやっていたことだ」

「そうか それではお国の為にお前に少しばかりの田畑を与えよう」

西の方角で物凄い稲光りと轟音が鳴り響いた

「あれは お館様の屋敷の方では?」

兵士が慌てて全身鎧のおっさんに進言する

「むう 慌てるな」おっさんも脂汗を流しながら答える

「心配せずとも 屋敷内にいた者は外に出して皆無事じゃ 瓦礫を撤去すればいくばくかの田畑も出来よう」

マリアートが微笑むと

「皆の者 一時帰還じゃ」

おっさんは慌てて兵士を連れて駆け出して行った


「次は お前らだな 偽神官どもよ コイデ神なんぞ千年前に滅んでいるというのに 嘘の神託を下して 人々から金を集め 民の為に祈りも救済もせず物欲のみに囚われおって 天罰を受けるがよい」

王都内で一番の高さを持つコイデ神本部の建物が先程と同様物凄い稲光と轟音が鳴り響きここからでも分かるように黒煙を上げながら崩れ落ちた

「なに 今回も怪我人はでておらんよ」

教会の人々は慌てて戻って行ったが 何人かはマリアートに跪いて祈りを捧げている

「ふむ」と頷くとマリアートはフヨフヨと教会に戻って行った


「と言う訳で今夜は楽しいパーティナイトだ 外街の皆楽しんでくれ」

大体こんな事があった日には奴らの手先が夜中に侵入しようとしてくる

すると結界にかけられた電撃魔法で痺れて動けなくなり そこを外街の連中がひん剥いて

南門の前に捨てるのだ ひん剥いた装備は売っぱらって皆平等に分ける ひん剥かれた連中は 裸のまま それぞれの雇い主の所に戻る


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