ラジオの不可思議お噺

ラジオ・K

第1話:まえがきによせて

 こんにちは、こんばんは。

 おはようございます。


 おはなしを始める前に、すこーしだけ当時の私の状況を語らせてほしい。


 時間稼ぎ?

 はは、何を言っているんですか。

 貴方は恐らく――もしかしなくても――いや絶対に――暇です暇人です。

 そうでなきゃ態態わざわざこんな所に来て、こうして向かい合ったりしない。

 そうでしょう?





 今年が2023年ということは……あの時、は確か2018年、つまりは約5年前になるでしょうなぁ。

 その時の私はまさか5年後の自分がくだらない理由で失職し、よくわからないSF擬きを書き始め、まさかそれが「多少は」ウケて、更にはニートから脱却のワンステップで派手に転び、まっさかレジを打つことを生業とするなんて! 思ってみなかったでしょう。


 ……お恥ずかしい話ですが、に行ったのが何時なのか。その正確な日時はよく覚えていないのですよ。

 ただね、凡骨な記憶を辿っていくと、


・ぼっちキャンパスライフを避けるべくあらゆる異性に声を……失礼、話を盛りました……男どもに声をかけていた1年ではなかったと思うし、


・二十歳だと言って酒を飲み苦い顔をしながら、これまでの旧友とないはずの手練手管を駆使し、逢瀬した結果、実のところ私は「その他大勢に過ぎなかったのだ」としょんぼりし初恋によーやく白手袋を投げた2年でもなかったし、


・友人らが次々と職をキめ、そうでない自分との間にできた勝手な溝を意識するあまり情緒が空洞になりつつも惰性で生きていった4年でもなかったし……そうそう友人の一人がその年にになりましてね、それが決まった判明した時の慌てようと言ったら!

……失礼、話が脱線しましたね。


 ともあれ、1、2、4、どれも違うとなれば消去法で3、つまり大学3年であったと。具体的には2018年の冬であったと思うのです。


 んん? なぜ冬だと覚えているのかって?


 いい質問ですねぇ、座布団1枚あげましょうか。

 ……おっと! 我が家には座布団ありませんでしたよ、とほほ……


 冬であるとはっきり覚えているのはですね、何も記憶の中のちっさい私が海外イギリスSFドラマの名無しの10代目宇宙人、もしかしたら11代目だったっけか? に憧れて似合わないロングコートを引き摺っていた、というワケじゃあないんです。

 





 、が春だったからですよ。

 いや、ひょっとしたら夏だったかも?

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