log31...勘違いピエロどもを高みの見物(記録者:TERU)
振り込まれた金額を見て、ニッコリ。
加えて、
これの年金だけで、おれはオルタナティブ・コンバットでは贅沢に暮らしていける。
ポンコツ運営AIの敷いたレールとは違う、
反物質(製造マシーン女)を祖国へ持ち帰ったおれは、真の意味での勝ち組人生をつかんだわけだ。
戦争や決闘なんて野蛮な行為は、要領の悪い野蛮人にやらせときゃいい。
まあ、たまにはコロッセオで、この前のクズ龍みたいなのをシメるくらいはするかな? ストレス解消としては悪くないし。
おれは今や、底辺どもを
これで人生薔薇色酒池肉林。
まともにVRMMO制度に乗っかる奴隷扱いから、解き放たれたんだからな。
毎日食いたいもんを食い、寝たい時に好きなだけ寝て、気が向けば手軽な女(無論、めんどくさい後腐れのないNPC)を一晩買う。
とは言え、人間、時に文化的な嗜みも必要だ。
さしあたり、今、悠々自適にヤツらの勘違い行動を見物させてもらうさ。
まずはじめに。
ブラフマー財団を攻撃する事、それ自体は別にルール違反でもなんでもない。
色々と倫理的な問題もあって、非戦闘員NPCへの不必要な犯罪行為や戦争犯罪ってのは厳しく処罰される一方、ブラフマー財団を襲った所で、その場の決着がつけば、やったやられたの遺恨は水に流される。
そもそもだが、このゲームの趣旨はプレイヤー同士の対人戦にあるわけで、NPCとのいざこざは、最初からゲームに組み込まれたおまけコンテンツでしかないってわけだ。
雑魚モブ供給源の意味合いが強い奪還省に対し、ブラフマー財団はこの世界のゲームバランスをコントロールする機関。
メタ的に言えば運営AI直轄の勢力であり、“ゲームマスター”をそれっぽく見せるフレーバーってとこだな。
挑むのは自由だが、どう考えても無理かつ無益。
こんなおもしれー道化を見られたと思えば、ヤツらにも相応の価値はあったのかね。
わからんけど。
抜けるような青空を足下にした、高高度、あるいは亜成層圏に浮かぶ新大陸じみたデカブツ。
ブラフマー財団本部空中要塞“マヌ”。
そこに降り立つ、アホが二機。
さあさあ、アホどもの狼藉に、ガードメカどもが大挙して押し寄せてきましたよー。
イナゴの大量発生みたいできもちわりー(笑)
ガードメカっつっても、ゲームマスター様々だ。
一機一機がタイニーの頭部・高内のボディ・トゥルビネの手足・故タールベルクの武器と火器管制・
当然、中のパイロットは上辺だけ人間を模した、超反応NPC強化人間ばかり。
機体相性にもよるが、同等以上の戦力で一対二以上になればまず勝ち目がないとされるSB戦だ。
普通に考えれば、アホ二機は五秒で蒸発するだろうさ。
《……戦闘開始。目標、ブラフマー財団CEO“スジャータ”》
《了解です》
プー、クスクス!
フカシこくにしても、言ってて恥ずかしくないの!?
スジャータってのは、対外的にブラフマー財団の最高責任者とされる女のNPCだが……どう考えても運営AIのアバターだろ。
さすがにゲームのブランドイメージにも関わるから、ブラフマーだけが謎パワーで無敵ってことはあるまい。
無限
それをやらかすのは、閉鎖寸前の斜陽ゲームくらいだ。
それを差し引いても、だ。
スジャータが無防備なワケないだろ。
今、向かってきている雑兵どもとは比べ物にならない化け物機体か戦略兵器に乗ってるはずだ。
たった二機でゲームマスターに勝とうとか、こいつらMMOの常識ないんじゃないの。
それか、あれか。
だとしたら小者すぎ。それでハートを掴んでヤれる保証もどこにもないのに。
大人しくNPC風俗使っとけよ。
さて。
スジャータのスの字も出ていないが、雑兵どもの群れの弾がいよいよ飛んできたぞ。
ほらほら、せいぜい踊れ。
背中の30連装ミサイル×2とオービットをアホみたいにぶっぱしつつ、自分も特攻。
ミサイルが炸裂。
塗装したように真っ白な光が無数に弾けて、それだけで五機は爆死したか。たったの五機(笑)
光と煙の中から這い出してきたイナゴどもへ、今度はリーズン式オービットが四方向から襲い掛かる。
アーテルを迎撃しようとした数機が撃墜、落としきれなかったヤツは
まだまだぁ! 撃ち漏らしがくるぞ!
アルバスのインスティンクト式オービットが展開され、セコセコと追手を牽制。
で、アルバスへレーザーキャノンを撃つ寸前のタンク機がいる。ちょっとやそっとの方法では怯みもしないだろうが、
アーテルがレーザー大鎌を出力。幅からして、これまでの倍以上に肥大化した光刃で、タンク機をバッサリ両断した。
アーテルは、斬殺の残心もなく飛翔すると空中で機体をガチャガチャ変形させ出した。
やっすいプラモのようにあちこち折り畳まれ、タンク形態に。
そのまま、指を引っ込めてミサイル砲と化した両腕を構え、発射。
同時に胸部装甲を開き、乳みたいに左右二門装備されたガトリングを回転。
反物質ミサイルがマヌを真っ白に染め上げる光へ、無数のレーザーが際限なく叩き込まれる。
それでも、壊滅には程遠い。
まだまだおかわりが押し寄せてくる。
で、アルバスのヤツがあのこざかしいウイングを変形させ出したな。
対消滅キャノン“サクリファイス”だっけか?
面白味のない、極太ビームみたいなもんが、テキトーな一機をとりあえず襲ったが。
撃たれた機体は当然、光爆に消し飛び。
そこを中心として、更なる白光が大陸じみたサイズのマヌを真っ黒に染め上げた。
……まず、撃たれた機体は当たり前に死にます。
次に、その機体が引き起こした対消滅が、二次的な爆発を起こしますよってヤツかねぇ。
まあ、さすがに30機くらいはイッたか?
でもねぇ?
まだまだ、イナゴの群れは襲ってくる。
腐っても反物質ジェネレータ。
通常のエナジー兵器などでは貯蓄を使い切るのが難しいくらいだし、今のアーテルやアルバスのように反物質ジェネレータさえも食い潰すような武装を積みまくって使いきったとしても、エネルギーダウンからの復旧も一瞬だ。
……ほぼ一瞬、と言うべきか。
実時間にして一秒にも満たないエネルギーダウンの瞬間。
イナゴどものミサイル、ビームの雨あられがあっという間にアルバスを、アーテルをとらえた。
はい、ざまぁ!
結局、何百機を一度に落とせても、残りの何十機に袋にされてりゃ、意味ねーんだよ!
アンタら、四則演算できますぅ!?
どかーん、がしゃーん。
アホ二機はあえなく死んだ(笑)
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