武器屋への納品
ベイケたちは、倒した芝草人形の素材を荷車を使って拾い集めて武器屋に売ることにした。昨日まで戦っていた場所をもう一度、荷車を引いて歩いて、芝草人形の素材を集めていく。たくさんの芝草人形を倒したので、大量の芝草人形の素材が手に入った。
それを武器屋イエニックに売りに行くと、イエニックはとても驚いていた。
「これはすごい。よく手に入りましたね」
イエニックは感嘆する。
「大激闘だったからね」
ミシアがいう。
「高く買い取ってくれたまえ」
ノアミーがいう。
芝草特殊部隊の素材と芝草重装歩兵の素材を見て、イエニックは大喜びだった。
「これは素晴らしい素材ですよ。開発計画を変更したくなるほどです」
イエニックのことばに四人は喜ぶ。
「これもあるよ」
ベイケが芝草司令官のヘルメットを渡した。
そのヘルメットを見て、武器屋イエニックは慎重に目を凝らす。
「これは、なかなか面白い一品ですね」
武器屋イエニックは何かを考えているようだ。
ベイケは、このヘルメットが世界政治の黒幕の装備だとはいわなかったが、イエニックはそれを見抜くことができるだろうか。このヘルメットは、人類を支配していた異端審査機関の司令官のヘルメットなのだ。ベイケは、イエニックが待っていた素材はこのヘルメットだろうと思っていた。
イエニックはじっくりと時間をかけてヘルメットを見まわしている。
単純な設計でありながら、機能性が高く、安価な作りだが、手抜きがない。見事なヘルメットだ。
「兜ではなく、転倒時に頭部を守るためのヘルメットだというのが面白いですね。このような装備をして戦うものは、なかなか面白いですよ」
イエニックがいう。ベイケはイエニックの解釈が面白くて楽しんでいる。
「人類を魔術師が支配していて、魔術師を芝草人形が支配していた。そういう世界の構造だったようだよ」
ベイケがいうと、
「ほう。初めて聞く話ですね。それは珍しい説だ」
とイエニックが返す。
「人類は魔術師のことを知らされないし、魔術師は芝草人形のことを知らされない。難しく作るね、世界の権力構造を」
「そういうのは誰が考えているんでしょうねえ」
「そこまでは、おれにはわからないよ」
武器屋イエニックは今日も繁盛している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます