盗賊の襲撃
ベイケたち四人は、大富豪グラッドとその使用人と一緒に『ギルベキスタの盾』をグラッドの屋敷まで運ぶことになった。
「これが世界で最も価値のある加工物だよ。あの値段で落札できたのは、私の大儲けだ」
大富豪グラッドがいう。
いったいこの大富豪はどのくらいの資産を持っているんだ。四人にはとても不思議だった。世界は平等ではないのか。この大富豪は、いったいこの盾を何に使うつもりなのか。飾るのか。それとも、この大富豪も戦闘に出ることがあり、盾を使うのだろうか。
護衛なので、ベイケとミシアが大富豪の前を歩き、ノアミーとウォブルが大富豪の後ろを歩いた。盾は大富豪自身が持って運んでいる。
競売の落札品の護衛だ。競売は大金が動くので、そこを狙って来る盗賊もいることだろう。確かに、護衛を付けたいのはわかる。しかし、この大富豪はベイケたち四人をそこまで信頼しているのだろうか。ベイケたちは誰もこの盾を盗んで逃げようとは考えていないが、だからといって、なぜベイケたちに護衛を任せたのだろうか。
そんなことを考えていると、大きな足音で近付いてくるものがいる。四人とグラッドたちが後ろを振り向くと、その足音は盗賊鬼だった。盗賊鬼が十人で襲撃してきた。狙いは大富豪グラッドの資産か、落札した聖遺物か。
戦うことになるのか。命のやり取りだ。
ウォブルが重力操作で五体の盗賊妖怪を宙に浮かせて、歩けなくさせる。残り五体の盗賊鬼が物凄い勢いで迫ってくる。
ベイケがグラッドより前に出て、契約魔術で毒魔術を使う。一撃では、盗賊鬼は倒れなかった。しぶとい敵のようだ。ミシアが杖の斬撃(物理魔術)でベイケと同じ盗賊鬼を斬り捨て、倒した。
グラッドと使用人は戦う様子はない。この二人は魔術が使えないのかもしれない。
盗賊鬼が毒の息を吐く。それがベイケの魔力に反応して、ベイケがその毒の息の動きにかぶせるように優位に立ち、毒魔術を発動する。
ウォブルの体力が切れて、重力操作が解かれる。
盗賊鬼の剣でウォブルが浅く斬られる。ノアミーがすぐに回復する。
ミシアは盗賊鬼の剣術を見極めて、振り下ろされる剣を何度もかわして隙を突き、杖の斬撃魔術(物理属性)で斬り倒す。
バリバリバリとノアミーが雷撃で集団攻撃をする。
ベイケは近付いてきた盗賊鬼を順番に毒魔術で倒していく。
盗賊鬼の剣がベイケを斬り裂こうとしたが、ベイケが攻撃を先取りして毒魔術で倒す。
ウォブルは重力操作で盗賊鬼の一体をねじまげる。
ミシアがまた新しい技を見せた。杖の斬撃(物理魔術)の乱れ斬りだ。一本の杖から複数の斬撃が発生して、次々と盗賊鬼を切り倒していく。
しかし、不意を突かれ、ミシアが盗賊鬼の一体に斬りつけられる。ミシアの体に深い斬撃が入る。しまったとミシアは不覚を感じる。
「やばあい、今、わたし、回復できないよ」
ノアミーがいう。
まさか、わたし、ここで死ぬのか。ミシアは衝撃を感じる。
「そんな時におれの回復魔術だ」
ベイケがミシアを毒栄養で回復する。ベイケが毒魔術を応用して編み出した回復魔術だ。毒の作用で人の体の怪我を治す。
ベイケの回復魔術だって。これがそれかとミシアは考える。確かに、痛みが退き、傷が治っている。
「助かる。きみはいろんなことができるな」
ミシアはひとことそう感謝すると、再び、盗賊鬼に斬りかかる。
戦いはつづいた。
そして、グラッドや使用人を守りながら、盗賊鬼十体をすべて倒すことができた。
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