武器屋で休憩

 四人は教会遺跡の調査を終えて、無事帰還した。帰り道でさらに一泊した。

 そして、翌朝、武器屋に行って腐敗した神官の素材と液体生物の素材を売った。

「これは珍しいものだね」

 武器屋イエニックは腐敗した神官の素材を高く評価する。

「素材から時間と生命の意志を感じる。きっと想いの強い持ち主だったんだろうね。魔力の高い装備を作るのに役立つよ」

 四人は武器屋の中の装備をいろいろ見てまわっている。魔導士の服を買ったり、魔導士の帽子を買ったりした。

「お客さん、わたしは世界政治の黒幕に興味がある者なんですが、お客さんたちの旅からそれがどのような人物なのかわかるでしょうか」

 武器屋イエニックが聞いてくる。

 世界政治の黒幕かあ。

「魔術師ギルベキスタって知ってます?」

 とベイケが聞くと、

「知らないですよ」

 と武器屋イエニックが答える。

「四千年前に生まれた魔術師がいまだに生きているらしいですよ」

 ベイケは親切にわかりやすく教えたつもりだった。

「はっはっはっはっ。そんな面白い話が聞けるなんて、今日は店を開いていてよかったですよ。お客さんたちがどのように世界政治の黒幕に近付いていくのか期待していますよ」

 武器屋イエニックは、間の抜けた笑いと落ち着いた口調で語った。

 ミシアは、狙いの樫の杖がまだ売れてないのを確認して、拳を握りしめた。

 今使っている樫の杖は、高校生向けなので、専門家向けの樫の杖を手に入れてしまいたいのだ。

「ベイケ、お金がないんだ。樫の杖を買ってくれ」

 ミシアが語りかけてくる。ベイケは慎重に財布の中を確認する。

「買ってあげたら何をしてくれる」

「いやあ、そういう取引は苦手なんだが」

 ミシアは話を引っ込めようとした。

「樫の杖でミシアを買おう」

 ベイケが調子に乗っていうと、

「ふむ。すまん、樫の杖はあきらめたぞ。それより、わたしにとっては世界の七不思議のひとつである男子高校生の心について考えることにするよ。男子高校生は、頭の中の九割はいつもいやらしいことを考えているというのは本当なのか」

 ミシアが変なことを聞いてきたけど、

「それは本当だ」

 とベイケは全力で親切に解答した。

 ミシアが欲しがる物って樫の杖なのか。ベイケはミシアの心理が少しわかりとても面白かった。

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