地位とお金が大好きなハズレ聖女×有能な怠け者ハズレ召喚士は世界樹を復活させる!

カエデネコ

第1話 地位と権力とお金が大好きな聖女候補と超めんどくさがりやの召喚士

「なんで来ないのよーーっ!」


 私は叫ぶ。ベッドの布団を乱暴に引っ剥がした。ゴロンと床に落ちた人間の男。


「うわっ!イテッ……なぜここにいるんだよ!?ここは男性神官の居住区だぞ!しかもオレの私室!女性神官の立ち入りは禁止されてるだろ!?どうやって入った!?カギはどうした!?」


「フッ……聖女候補となった今、私に文句を言う者はいないわ。それにあんたを呼べって言ったら、起きないから無理って言われたんだもの!転がされるのが嫌なら、ちゃっちゃと起きてよ。カギ?こんな市販のカギ楽勝で開けれるわよ。聖女候補に成り上がったおかげで、神殿内フリーパスよ!権力サイコー!」


「カギ開けれるとか盗賊かよ。起こし方もサイアクだ……サイアクの聖女候補だ……こんな性格悪いやつが世界を救えるわけがない!」


 失礼ねと私は腕組みをする。ダークブラウンの髪でサファイヤのような青い目をした、顔だけは良いセスと言う男は寝癖を手ぐしで直す。


「あら、そう言うセスだって、400年に一度と言われる召喚士の能力のおかげで、サボってるじゃない?今まで、神殿の仕事で、あなたを見かけたことないんだけど?」


「サボってねーよ!………仕事めんどくせーだけだ。明日から頑張る……かもしれないから、寝かせてくれ」


 この召喚士大丈夫なの?引っ剥がされた布団を私から取り返そうとさりげなく引っ張ってくる。


「同じでしょ?良いこと?あなたは私の対となる名誉ある聖女の守護者に選ばれたの!私の地位を確固たるものにするために働きなさいよ」


「ふざけんなっ!性悪聖女のために働きたくねーよ!オレ、ハズレの聖女ひいただろ……もっと大人しくて可愛い聖女がよかった」


 ……私、可愛い部類でしょ?ピンクブロンドの髪に茶色の目、可愛いとか綺麗な人だって街の人によく言われるのよ!褒め言葉を要求しないけど、失礼すぎない!?……いや、落ち着いて。怒って時間を無駄に使う場合ではない。


「こんな可愛い私に性悪とか酷いわね。良いから行くわよ!他の聖女候補に遅れをとるわ」


 胡座をかいて床に座ってるセスの首根っこをガッと掴んで、私は行くわよ!と言う。


「首を掴むな!行くからやめろ!おまえは乱暴なんだよっ!」


「おまえじゃなくて、ラウラ様と呼びなさいよ。私は仮にも聖女候補なんだから!」


「おまえで十分だっ!」


 ほんとにこんなやつが滅多に存在しない伝説級の召喚士なのかしら?と疑いたくなるが、先程会った彼の同僚たちが『セスさん』と呼び、一応敬意をはらってるからエライ人なんだろう。


 ………とりあえず口の端にヨダレのあとがあるけど。拭いたほうが良いわよと教えてあげるべき?

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