師匠 全て計画通りです。

鷹巳

第1話 逃亡

「あっちにいたぞ!」

「必ず捕まえるんだ!」

路地から怒号が聞こえる。

「はあ…どうなってんだよ。」

息を整えながら、同時に頭の中も整えようと試みる。

「…ふう。」

ゆっくりと息を吐き出す。体の震えが少しずつ収まっていく。しかし、思考はちっとも落ち着かない。

自分は今、追われている。その原因は自分の悪事のせいではない。きっと今の格好のせいだ。

建物の窓に映った自分を見る。整った鼻。濃く太い眉。少し大きい唇。そして、街灯を反射するほどのスキンヘッド。特徴的な容姿。師匠の姿に瓜二つだ。


師匠は犯罪を犯していた。その師匠と間違われてしまい、自分は警察に追われている。だが…師匠は亡くなったはずだ。


どうすればいい。素性を明かせば何とかなるものなのか?誰かに相談したくても、相談できる相手などいない。こんな時、師匠だったら…。

犯罪者である疑いのある師匠のことを、まだ信頼している自分がいる。

窓に映る師匠に問いかける。

「師匠。全て計画通りですか?」

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