城戸の守護〜源治郎の誓い〜

上坂 心

無情な人生


私の名前は、ひがし かたな

極東の国に生れ、物心ついた頃から刀を脇に差し、風を切り、わが顔のように街の中を歩いていた。


街は、尊敬する者、妬む者、軽蔑する者と様々な反応を持っている。



そんなある日、西にし なぎという者に私の親が殺されるという事件があった。

西は、由緒正しい家系の武士家系。私の親はその家に使える従者。

理不尽に刀の試し斬りで親は斬られた。

単純な理由に私は激怒し、いつか殺そうと恨みをもち、早二十年。時がきた。


「西。今宵、積年の恨み晴らしてくれよう。」

東は刀を抜き、西目掛けて走った。


西は、背中に背負っていた槍を構え東目掛け突いた。


お互いの金属が激しくぶつかる。

キィーンという金属音が鳴り響く。


そんな二人の死闘の片隅でひっそりと隙を狙うきた つばめ

北の手にはメタル色の黒光りしたスナイパーが構えられている。


北は、たまたま通りすがりの狙撃手。

そして、たまたま新調したスナイパーを手に取り、試し打ちで私を的にした。

北は、人を撃ったことがない。

争いの世は終わり、平和な世が送られている。


「退屈な日々の刺激にちょうどいい。」

一瞬の出来事だ。バーン



銃弾は東の目掛けて飛んでいった。

東のこめかみを貫通した。


東の恨みは晴らせず、無念の死を迎えてしまった。


全ての努力、全ての恨み、そして今、私はここで、

親と同じ理不尽な運命に立ち向かう。

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