身代わりペットの俺は執着系公爵の籠の中。~不定期9時更新~

鸞~ラン~

第1幕

プロローグ

人の忠告はしっかりと聞いておかなければいけない。


それを身に染みて思い知ったのは16歳のある日の事だった。


「……本当に、本当に俺が貴方に尽くせばもう、俺の大事な人たちを傷つけないと約束してくださるんですよね。」


その日の事を俺はきっと一生忘れない。


忘れられない出来事が起きたのは帝国一番の栄光と資産を持つ皇帝ですら迂闊に手を出せないエルシオン公爵の寝室。


屋敷の外は大雨に稲光とひどく天気が荒れていた。


「あぁ、約束しよう。君が俺の妻となり、妻として永遠に俺に心も体も捧げ続ける限り俺は君の大事な人に自分から手を出すことはしないと約束しよう。」


酷く落ち着きながらも楽しそうな公爵の声が静かに寝室に響く。


公爵は生まれたままの姿で公爵のベッドに横たわる俺に覆いかぶさり、そっと俺の身体に指を這わせた。


「愛しているよ、リシア。やっと手に入った……君は永遠に俺のものだ。」


俺に愛を囁く公爵。


その公爵の言葉を聞いて俺は心底冷え切った感情を抱いた。


(あんたが愛しているのは俺に似た男のくせに―――――――。)


俺は公爵を心の中で蔑んだ。


……その晩俺は愛する人達の幸せを願いながら初めて男に抱かれたのだった。

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