第6話 第3宇宙との戦い~少人数で高得点~
神の言葉を受けた天使たちの行動は機敏だった。
すばやく神意をとらえ、惑星をかけた戦いを始めるべく準備にとりかかった。
対戦相手は俺が決めていいらしく、声をかけられたらドンドン戦うスタイルだ。
「将軍、悪いが星をかけた戦いになってしまった。想像してた以上にまずいことになってしまったかもしれない」
「いえ、マイエンジェル、勝てば問題ありません。正直、魔術というものを軽く考えていました。あれほどの戦闘能力があるとは考えておりませんでした。申し訳ありません」
「いや、いいんだ。俺もそこまで本気ではなかったしな。どこか、負けてもいいつもりもあった。でも、次は違う。神が動くということは確実に実行される」
「そうなんですね。わかりました。非人道兵器も含めて移動させられるか検討してみます」
「あぁ、この際、勝ってしまえばなんでもいい。負けたものは間違いなく死ぬ」
将軍との話を切り上げ、天使たちのもとへ向かう。
前回のテキトーなルールを詰めなおすためだ。
「アルターイ、待ってましたよ」
ガブエラが言う。
どうやら落ち着いているようだ。
「すまない」
一応、謝るも、悪いとは思っていない。
「それで?ルール作りでしょ?全員に関係あるんだから、全員で考えましょう?」
アリエルが取り仕切る。
「そうだな。10人対10人はそのままでいいと思うんだがいいか?」
特級術者が1億人に1人という割合で生まれてくるので、ちょうどいい人数のはずだ。
「そうだな」
反対はなかった。
「それじゃあ、例の旗ルールはなしだ。次は勝敗だが、全員死んだら負けでどうだ?」
「問題ない」
全員賛成。
「もう、追加ルールはないか?」
「一つだけ。道具は何を持ってきてもいいってことでいいわよね?」
「ああ、もちろんだろ?」
ベルゼブが言う。
「私も追加!少ない人数で戦ったら有利になるルールが欲しいな」
「1人減らすごとに1勝分ってのはどうだ?そうだ、勝利をコイン1枚にしよう。1勝でコイン1枚1人減らすと1枚って感じでどうだ?」
「いいね。賛成」
思い思いに勝手に進んでいく。
「あと一つ、一番勝ちの多い奴が、天使を一人殺せるっていうのはどうだ?」
「ああ、それ、アタシもいいたかったんだー」
第5宇宙のサターヌが話に入ってくる。
「俺も賛成だ。天使が多すぎる10人に戻すべきだ」
第1宇宙のサイフォンも言う。
「そこまで言わなくてもいいんじゃない?」
アリエルは言葉を返すが、それに賛同するものはいない。
「アリエルが余計なことをしたらこうなったんじゃないの?だから庇ってるだけだろうけど、それも見苦しいわよ。」
第3宇宙ガブエラはアリエルのセリフを切って捨てる。
なんなんだ。
こいつらは。
全員がよってたかって、俺が邪魔者かのように言いやがって。
そもそも、俺は一度も天使になんてなりたいと言ってないんだぞ?
それなのに、こんな言われ方して、アリエルとも戦わなければならないなんて。
すべてあのオッサンのせいだ。
かならず復讐してやる。
「まぁ、いい。とりあえず、ガブエラとの戦いにケリをつけてやる。かかってこい」
早速戦い始まった。
人間は本気を出した。
非人道兵器としてAI搭載の殺戮兵器は国際的にも問題になっているが、お構いなしだ。
どんどん持ってこさせた。
世界中から集めて、持ってこさせた。
その数車両型5000機ドローン型1万機。
それらが、人間と同等の知能を有し、それぞれが判断して、連携のとれた攻撃を繰り広げる。
車両の武装は反動がそれなりにある中口径弾。
ドローンは反動の少ない小口径弾。
前線には対人地雷を多数配置し、無人機が踏まないプログラムも組み込んだ。
俺はいろいろと説明を受けたが、理解ができたのはこの辺りまでだった。
正直AIが何なのかはわかっていない。
ドローンとやらもわからない。
でも、見せてもらい、理解した。
これは勝てる、と。
対するガブエラは特級術師10人を集めてきた。
見てわかるが、天使になる前の俺と同等の能力だ。
逆に言えばその程度だった。
時を止められるにしても10秒程度
ものすごい火力を出せるにしても、1分程度の溜めがいる。
その1分で勝負を決めてしまえばいいとわかっていた。
「さあ、はじめるぞ」
「ああ、かかってきなさい」
開戦宣言がされると、同時に両者最高の攻撃からスタートする。
特級術師がすでにチャージ済みの最高火魔術を放ってくる。
直径10mほどの火弾は空気を焦がしながら飛んでくる。
対する人間はレールガンの発射だ。
開戦宣言までに電力の供給をすませていたらしい。
レールガンがなんなのかは俺も知らないが、ものすごい威力であることはわかった。
さきほどの火球の中央を通り抜けて相手に直接着弾し、大きな損害を出している。
どうやら10人中3人は死んだようだ。
残りは7人。
進軍方向に対して右側から水魔術で作られた大量の水が流されてくる。
車型の無人機は数台流されてしまった。
そう、5000機の内、数台のみだ。
ドローンが進軍する。
毒兵器を搭載している。
ドローンは毒を散布し、あたり一面を毒で覆った。
毒の種類はなんて言ったか?
サリンといったかな?
強力な毒らしく、吸い込むと直ちに健康被害がでるそうだ。
7人はもれなくサリンを吸引し、毒状態になる。
しかし、解毒の魔術で毒を中和し始める。
どうやら魔術師あいてに毒は効かないらしい。
まぁ、これは予想してた。
この解毒の間を狙って、ドローンが生存者の場所をマーキングする。
ネットワークで瞬時に共有され、マーキング地点にアームストロング砲を発射。
平行して、レールガンでも一斉射撃。
生存者は蒸発した。
「圧倒的だったな」
と、言うのも、全て自動で戦闘したため、参加人数は2人だけだった。
この後は、何試合かするらしいが、興味がないので、帰ることにした。
ドローンや機材の運搬を魔法で手伝う。
次回の戦闘もすぐにある。
ゆっくり休ませよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます