怪異が蔓延る世界
杜鵑花
第1話 怪異
この世界には殆どの人には知られていないが怪異と呼ばれるものが存在する。
ここでの怪異とは、この世界には存在しない物や生き物のことを指す。
時々、世界の穴を通ってやって来るのだ。
怪異は、人間を襲う。
そんな怪異から人間を守るのが能力者の役目だ。
「なぁ、俺達って何でこんな事してるんだ?」
能力者1人1人に政府から渡される部屋で俺達は話していた。
「何でって……普通の人間を救うためじゃないの?」
「それは分かってるんだよ。何で俺達が能力者というだけで命懸けでこんな事やらされているんだって話だ。」
俺達能力者は、能力が発動した時点で能力専門学校に入学させられるのだ。
「今更か?政府の自分勝手さには呆れるけどそれなりの報酬は貰えてるし正直どうでも良い。」
「そうか。お前はそういう奴だったな。」
目の前に居る白輪凌という男はスマホを見始めた。
もうこれについて話す気はないらしい。
凌はソワァーに横になる。
ここは俺の家なんだがな……
「ところでさっき解決した怪異の事なんだけどあれ能力持ちだったらしい。」
「はぁ〜!あの強さで能力持ちだったのか?後政府は何で事前に俺達に言わなかったんだ?!前から知ってはいたけど適当過ぎだろ!」
怪異にも、能力を持っているものが居る。
能力持ちかどうかは依頼時に能力者に伝えないといけないというルールがある。
安全に戦うためだ。
それを伝えなかったって言うことは政府は俺達が死んでもどうでも良いということだ。
「まぁまぁ、落ち着けよ。いつものことだろ?それよりそろそろ帰ったらどうだ?」
「それは遠回しに帰れって言ってるのか?」
「あぁ。そうだ。」
「分かった分かった。帰れば良いんだろ?帰れば。」
凌は気だるそうにソワァーから立ち上がった。
そして、玄関に向かって歩き出そうとした。
瞬間、俺達のスマホがけたたましく鳴り響いた。
「また仕事か……行くぞ!!」
「言われずとも!」
俺達はスマホで怪異の場所を確認しながら走り出した。
恐らく、緊急の怪異だろう。
ここ数年無かったが珍しいな。
暫くして、俺達は森に入った。
勿論、ただの森ではない。
この森は能力者だけの住宅街を囲むようにあり、この森をある順番で進んで行くと、決まった場所に辿り着くのだ。
例えば1234の順番で行くと東京に辿り着く。
実際の順番はそんな単純なものじゃないけどな。
能力者は幼い頃に順番を全て覚えさせられた。
今思い出しても苦痛だ。
「こっちだ!」
俺達は順番に森を駆け抜ける。
森を抜けると、五重塔が五角形を結ぶように建っている場所に辿り着いた。
そして、五角形の中心にそいつは居た。
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