テイマーの生き方、歩み方 ～少女はペットとの楽しい冒険のために強くなる道を選んだ～

115. モカさんの真価と私の力不足

　ここで少しモカさんの説明をしよう。

　モカさんの種族名はカウントベアーと言って、その名の通りカウントにまつわる能力を多数持っている。例えば……。

「モカさん、来て！　私が合図したらカウントナックルをお願い！」

　カウントナックル。技としての攻撃力は通常攻撃と変わらないが、カウントナックルによる攻撃を当てる事でカウントが１ずつ上がっていく。そして5回目のカウントナックルは確定クリティカルになるのだ。

　私はメナスタイガーのヘイトを奪いつつ、モカさんにカウントナックルを当てるように指示を出した。1回目2回目は全く問題は無かったけれど、3回目で問題が発生する。

「モカさん、カウントナックル！　……えっ、嘘！　3発でヘイト持って行かれるの！？　くっ！　ラピッドラッシュ！」

　モカさんのパワーが私の想定を遥かに超えていた。ここまでの戦いで大量のヘイトを稼いで来たと思っていたのだが、なんとそのヘイトを僅か3発で塗り替えられてしまったのだ。

　私はラピッドラッシュを使い、急いでヘイトを奪い解すために必死に切り込む。幸いヘイトは微妙な拮抗状態だったらしく、すぐにヘイトを奪い返すことが出来た。けれど、このまますぐに4発目のカウントナックルを放つ事は難しいだろう。

　しばらくモカさんは待機させ、その間に敵からのヘイトを稼ぐ。レキやパルの1撃によるヘイト増加量は何となく把握出来るのだがモカさんは全く把握できておらず、次のカウントナックルまでどれだけのヘイトを稼いでおけばいいのか検討が付かない。

「……多分もう大丈夫？　よし、モカさんもう一度カウントナックルをお願い！」

「くまぁ！」

　モカさんを待機させた状態で10分程戦闘を継続したあと、モカさんにカウントナックルの指示を出す。するとヘイトは十分に稼げていた様で、メナスタイガーの攻撃対象は私のままだった。

　――これで次の段階に進める！

「モカさん、オーバーカウント！」

　オーバーカウントとはチャージした時間だけ筋力アップバフを付与する技で、最大100秒チャージしてチャージした時間に応じた効果量のバフを得る。

「モカさん、カウントバスター！」

　100秒のチャージを終えた後、次にカウントバスターの指示を出す。カウントバスターはチャージした時間に比例した分だけ、次の1撃にダメージ上昇補正効果を付与する技だ。こちらの最大チャージ時間は60秒。

　ちなみにこの2つのチャージ技はチャージした分の時間しかバフが乗らないので、カウントバスターをフルチャージした段階でオーバーカウントバフの残り有効時間は40秒しかない。しかも、どちらの技もチャージ中は動けないという制限付き。

　そんな準備に時間と制限が多い技だが、それら条件をクリアして手に入る破壊力は……。

「モカさん、カウントナックル！！」

「くんっまぁああ！！」

　モカさんはその強力な筋力で高く飛び上がり、巨大なメナスタイガーの胴体に強力な1撃を叩き込む。……そして轟音と共にメナスタイガーが吹き飛び霧散した。

　――イビルカースツリーでも1度試した事があるけど、生物相手だと火力のえげつなさが際立つなぁ……。

　……

　…………

　………………

「さて、今日戦ってみてどうじゃった？」

　メナスタイガーを倒した後、私達はすぐにギルドハウスへと帰り反省会が始まった。

「パルやレキまでは凄く良かったと思います。久しぶりにちゃんとしたモンスターとの戦いだったんですけど、レキやパルも凄く強くなってて、……でも、正直言うとそれ以上に私自身の成長にビックリしました」

　最初あの大きなトラを前にした時、本当に私1人でヘイトを受け持てるのか不安だった。けど、実際に戦ってみると自分が何をすべきか自然と分かったし、体も思った以上によく動いた。私は自分の思っている以上に強くなっていたのだ。

「それで、『パルやレキまでは』と言うのは？」

「……私の実力がモカさんの力に全く追いついていませんでした。せっかく高火力が強みのペットを託してもらったのに、私の力不足でそれを活かしきれなかった」

　どんなにモカさんの火力が高くても、攻撃が出来なければ意味がない。カウントナックルは5回目以外通常攻撃と同じ火力なのだ。つまり、通常攻撃3発で私の稼いだヘイトを塗り替えたということ。これでは宝の持ち腐れだ。

「そうじゃな。高火力ペットを持つどのテイマーも一度はそのヘイト管理で悩む。……それで、お主はこれに対してどう対策を取るのが良いと思う？」

　短剣スキルや筋力スキルを上げる。装備を変える。より攻撃力を上げる為にバフ料理を用意する。色々対策はあるけれど……。

「私はよりヘイトを稼ぐために新しいスキルを育てます」

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本作を公開して早4ヶ月が経ち、とても嬉しいことに1000フォロワーと10万PVを達成することが出来ました！

これも日頃本作を応援して頂ける読者の皆様のお陰です！

そこで今回、1000フォロー＆10万PV達成記念としてレキとナツの出会いシーンの挿絵を描いてみましたので、是非見て頂けると嬉しいです♪

https://kakuyomu.jp/users/nanase_ririko/news/16818023211808299237

これからも時々挿絵や設定画を公開していきたいと思っていますので、是非今後とも本作を宜しくお願い致します＞＜