第11話 『催眠術』

 催眠術なんてどうやって使うんだ?

 とりあえず、どこまでできるのか?

 何回できるのか?

 この辺りは把握しておきたいな。

 そう思って、何をしても内緒にしてくれるアイリスを連れて来た。


 最近までベタベタされていたが、僕にその気がないことをはっきり伝えた。

 すると、そういう対象ではなくなったらしい。

 オンオフの切り替えができるいい子だ。

 それに、彼女はメイドだ。

 僕の方が立場が上なのでビビらず話せる。


 それに、ちょっと、エッチなことしちゃうかもしれない。

 だって、アイリスは美少女だ。

 美少女にエッチなことができるチャンスなんて!

 このチャンスをつかまなければ一生どんなチャンスもつかめない!

 未来への投資なんだ!


「何でも黙ってくれるならスキル関係なく、しちゃってもいいよね?」という誘惑には負けない。

 だって、それはただの犯罪だ。

 僕は犯罪者になる根性もない。

 怖いものはイヤなんだ。


 さて、本題に戻そう。

 スキルについてだ。

 催眠術についての情報は一切ない。

 もういっそのこと『催眠術』と念じれば発動するのだろうか?

『ピュア』の時みたいに。

 まずはやってみよう。


『催眠術』


「どうだ?」

「え? 何がですか?」

「何か変化が起こった?」

「いえ、何も起こっていません。今何をされているんですか?」

「新しいスキルの実験だよ」

『催眠術』とはさすがに言えなかった。


「そうなんですね。実験相手に選んでいただいて光栄です」

 なんていい子!

「なかなかうまくいかないんだよね」

「そうなんですね。何かお手伝いできることありますか?」

「そうだなぁ、今から変なこと言うけど実験だからみんなには黙っててね」

「ああ、実験ですもんね」

 疑うことを知らないらしい。


「あなたはだんだん眠くな~る……どう?」

「う~ん、少し眠くなってきた? 気がします?」

 効いたかな?

 いや、気のせいだろうな。


「それでは、目を閉じて」

「ハイ」

 アイリスは素直に目を閉じた。

『催眠術』「指を鳴らすと、目が開けられなくなってしまう」

 パチンッ!

「あ、目が開きません」


 お、これだな。

 スキル名を念じた後の言葉に強力な暗示が発動するスキルなのかもしれない。

 それか、全て念じるだけはどうだ?

『催眠術 スカートをめくりたくなる』

 ん?

 これは反応がないな。

 

 それじゃあ、これはどうだ?

『催眠術』「スカートをめくりたくなるけど、嫌がることはできない」

 ここで大声を出されたら、色々終わる。

 アイリスはスカートをめくり、恥ずかしそうにしている。


 締めはこれだ。

『催眠術』「もう一度指を鳴らせば、スカートを戻し、今あったことは全て忘れる」


 パチンッ!


 アイリスはスカートを戻して、目を開けた。

「どうだった?」

「今あったことは、忘れるようにします」

 あちゃあ、やっぱ、記憶は無理か。


「ごめんね。恥ずかしかったね。でも、おかげで素晴らしい実験になったよ。ありがとう」

「お役に立てましたか。それはよかったです。ここでのことは内緒にしておきます」

 よくわかってる。

「ありがとう。助かるよ」

「いえ、内緒にしないと、イザベラ様に殺されます」

「あはは! それもそうだね」


 それにしても、僕はやり遂げたのだ。

 初めて女の子のパンツを見た!

 いや、これまでもフランソワにお風呂に入れてもらってる時期もあったよ?

 フランソワはちょっと守備範囲外かな。

 流石に年齢差がありすぎて女の子枠には入れないな。

 だから、今回が初めてだ。

 無理矢理ってのがちょっと怖いけど、大人の階段を登った気分だ。


 アイリスに実験をし続けるのはかわいそうなので、他の人にも試してみよう。

 どれくらい使えるのか、耐久テストもいるしね。

 手始めに、サイトかな。


「サイト様、ちょっとよろしいですか?」

「ヘイYOー!なんだい?ベイベー!?」

 なんか、ノリがちょっと古いよなコイツ。

 ベイベーって昭和か?

 まぁ、いいか、それより実験だ。


『催眠術』「サイト様、今からフランソワを口説きたくなりますよ」

「そうだNE!行ってくるYO!」

 どこかへ行ってしまった。


 おっ、まだ使えるな。

 今ので成功したのは5回。

 何回まで使えるのだろう?

 何回でも使えるなんてことはないだろうしな。

 おっ、次のターゲットだ。


『催眠術』「お母様、この後、この前王城に泊まった時の夜のことを言いたくなりますよ」


 お母様の顔が赤くなった。

 そして、青くなった。

 そして、目が吊り上がった。


「なんのことかしら? 私にはわかりませんわ?」


 なんて言って誤魔化された。

 くそー!

 どうやら5回が限界のようだ。

 5といえば『ピュア』のレベルだな。

 それと同じなのかもしれないな。

 派生スキルだしあり得そうだな。

 最後に恥かいたな。

 まぁ、お母様が1番ダメージ大きいだろうけど。


 効果は記憶の消去のように自力でできないことはムリなんだろうな。

 テレビなんかで見る催眠術の少し強化したくらいの感覚かな?


 その後、発覚したのは、サイトがガチ口説きをしていて、サイトとフランソワが付き合うことになった。

 なんか悪いことしたかな。

 2人は幸せそうなので、問題ないが、歳の差が10はあるんじゃないかな?

 フランソワが34で、サイトは21だもんな。

 まぁ、テキトーに別れるだろ。

 しーらね。


 よし、明日もダンジョンへ行って、モンスターに効くのか試してみようかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る