6.開封
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一番最後にみんなでアナタのカプセルを開けることになりました。
でも、皆で開けるのはアナタに悪い気がしたので話し合いの結果、何故かアナタのカプセルを開けるのは、代表して私になりました。
私は頭の中がぐちゃぐちゃになりながらも、そっとアナタのカプセルを開けました。
アナタのカプセルは円柱の缶。
缶の中には、紙切れ1枚と1通の手紙が入っていました。
紙切れには、アナタのプロフィールと『おれのだち』と友達のことが少し書いてました。
「あとは、手紙だけだな」
「アイツ……手紙なんて、何考えてたんだろうな?」
「全員で見るの、何かアイツに悪いから……。なぁ、皆の代わりに見てくれ」
「えっ、私……? 良いの?」
皆が見守る中、私は慎重に丁寧に手紙を開きました。
そこには……。
「私の名前……? これ私宛の手紙だ……」
「えっ? あっ、本当だ。じゃあ皆は見なくて良いね」
そして私は1人で、手紙の内容を見ました。
“───お前がこの手紙を見る時、おれはどうしているかな?
はずかしくて、そのばにいたくなくて、にげるかな?
それとも、かおを赤くして、お前の目の前にいるかな?
───……“”
アナタの字……。
アナタの言葉……。
私は次々に手紙の内容を読んでいきました。
そして、次の手紙の言葉で私は……。
「……っ!! …うっ、うぅ……っ!」
文章の1文字が、涙で滲んでしまった。
本当はアナタの死を知った直後に出るはずだった涙。
ずっと我慢していた涙。
やっと、やっと流れた……。
「な、んで……? 何で、こんな時に……。ど、して……、もっと……もっと早くにこの手紙を……っ渡してくれないのよぉ……っ」
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“おれは、ずっと前から、お前が好きだった───”
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