第6話 結婚式

 



 公女レイラはエドワ-ド瑯と相思相愛の関係にあった。だが、この国『ヴィエノワ-ル王国』の次期王レオナルド皇太子が、2人の恋に待ったをかけた。

 

 公女レイラは父親が役職を解かれる事だけは何としても免れたかったので、レオナルド皇太子の機嫌を損ねぬよう、どんなに会いたくても暫くはエドワ-ド瑯と会わない選択をしていた。そして…暫くの間はレオナルド皇太子の言いなりになり、その間に説得をして行こうと考えた。


 そして…今日もレオナルド皇太子に電話で呼び出されて、取るものも取り敢えずにお城に急遽駆け付けたのだった。


「今日はどんな御用でしょうか?レオナルド様?」


「あれ以来俺も考えた。あの時は言い過ぎた。ところでだ……お父上を王様の次の地位である宰相(サイショウ)にと言う話が出ているのだが、当然僕との結婚と言うのが条件になる。この話を当然吞んでくれるよね?」


「何をおっしゃっているのですか?あれだけ……わたくしの本当の気持ちをお伝えしたのに、まだ……まだ……お分かり頂けないのですか?わたくしには……あのお方が……心の奥底に……だから……無理です。絶対に!」


「レイラは俺のものだ!絶対にアイツに渡して堪るものか!」 


「ウウウウッ(ノД`)シクシクウゥゥ・・・どうか……どうか……わたくしの事は……わたくしの事は……お諦め下さい」


「ダメだ。俺には……レイラが必要だ。どんな事をしても俺のものに……レイラ愛している」そう言うとレイラを強引にベッドに押し倒して、自分のものにしてしまったレオナルド皇太子。


「オヤメクダサイ!ウウウウッシクシク(´;ω;`)ウゥゥ……お願いです」


「イヤだ……レイラは絶対に俺のものだ!」


「どうして……どうして……こんな酷い事を……ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァ~~~ン😭ワァ~~~ン😭」 だが、運の悪い事にレイラのお腹の中には新しい命が宿ってしまった。それがレニー王子だった。




     💍🌹🍃❀❀🌺🍃❀❀🌼🍃❀❀🌷🍃❀❀🌻🍃💍


 こうして公女レイラの思惑とは裏腹に婚礼の日がやって来た。それこそ国中飲めや歌えの大騒ぎ。  


『ヴィエノワ-ル王国』全体が歓喜に沸いたレオナルド皇太子とレイラ妃の結婚式は、それはそれは盛大にセント・ポレン大聖堂でおこなわれた。レイラ妃の余りの美しさに森の妖精たちもステッキで、金の粉をまき散らし幸せのおまじないを掛けている。


 高台の重厚感あふれる美しい大聖堂は、新郎新婦が会場から出て来ると同時に、赤や黄色に青や紫の花びらが空を舞い、余りの美しいフラワ-シャワーなので、大聖堂の森は、華やかな花びらが蝶のように天を舞い地面には花の雨が降り注いでいた。


 そして何より、レオナルド皇太子がレイラ妃に贈った婚約指輪は、光り輝くサファイヤとダイヤモンドが散りばめられた最高級の指輪だった。それだけレイラ妃を愛している証だ。


 レオナルド皇太子は、愛するレイラと結婚出来て天にも昇る思いで一杯だ。こうしてやがてレニー王子が誕生した。


 

     ◇◇


 一方のエドワ-ド瑯はレイラを失った苦しさで夜も眠れない日々が続いている。そして…エドワ-ド瑯は苦しさの余り、遂には出家して仏門に帰依する事によって、全て忘れ去りたいと考えるようになっていた。


 

 出家を考える人達は次のような考えに陥って、出家する人が多いらしい。


 ●社会や人生に疲れた人や仕事や人生を見直したくなった人

 ●悩みがある人

 ●救いを求めている人

 ●自分の居場所がなかなか見つからない人

 ●晩年に生きがいを求めている人


「どうして……どうして……あんなに2人は愛し合っていたじゃないか?何故こんな事に……こんな事に……なったんだよウウウ……」突如としてレイラを失った苦しみで、未来が全く見いだせなくなってしまったエドワ-ド瑯。


 どうしても立ち直ることが出来なくて、とうとう出家の道を選んだと風邪の噂に聞いたレイラは、心配になりこっそりその寺院に会いに行った。


「エエ————————ッ❕出家したお坊さんに会いに行っても良いの?」


 この国では出家しても恋愛は個人の自由で、結婚の是非は問われなかった。


 それでも……会ってしまえばまたしても燃え上がり、叶わないと分れば分る程どんな危険を冒してまでも、愛を成就しようと考えるのが人間と言うもの。こうして2人の愛は再燃した。


    ◇◇   


 2人は人目を盗んで逢引きを重ねていたが、エドワ-ド瑯に悲劇が起こる。それはレオナルド王の妻レイラ妃と、エリ-ゼの父エドワ-ド公が、度々密会を重ねている事実が遂にレオナルド王にバレて、総務大臣を首になってしまったのだ。


 当然首になったら収入が無いのでただの貧乏公爵となってしまった。こんな理由からエドワ-ド家は没落の一途を辿って行った。



 生活苦に喘いでいたエドワ-ド家だったが、エリ-ゼは何とかしないと大変な事になると悟った。こうして、度々「デーモン鬼龍」閣下に女を武器に近付き、大金を融通してもらっていた。

      

 やはり、公女エリ-ゼは何か一癖も二癖もありそうな女に見えて来たが、それでもレニー王子はエリ-ゼに夢中の御様子。


 一方の高慢ちき一華に、これほどの才知が有ろう筈がない。公女エリ-ゼは何か一癖も二癖もありそうというか、どう見ても勝ち目が有りそうには見えない。


 一華に勝ち目は有るのだろうか?







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