【あとがきのようなもの】
わたしは自死遺族だ。
1999年12月20日。自殺で父を亡くしている。大学を中退し、何ができるわけでもなく、半端な自分に苛立っている、ちょうど多感な時期だった。
—— 時は世紀末
流行を飾るキーワードとしてメディアが大仰に取り扱い、踊らせながら踊ろされていた。それくらい底知れぬパワーがあった。
独特の空気感。ほんとうに終わってしまうと信じていた人間は僅かだろうけど、何かが起こりそうな 誰かが変えてしまいそうな 緊迫したムードが全体を覆っていた。
息が詰まりそうだった。
父はその閉塞した空気に呑まれてしまった犠牲者なのかもしれない。
「地球温暖化」「核兵器」「コロナウイルス」「原発」「大地震」‥
あれから随分になるが、世紀末を無事に終えた今も 世界は不安だらけだ。
すべての事象が雲散霧消する世迷いごとにみえて 時折いまだ世紀末にいるような奇妙な錯覚をおぼえる。
この作品はそんな、怒り、嘆き、自問自答を繰り返す葛藤のなかで 長年熟成された魂の叫びのようなものなのかもしれない。
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