第2話:詩織の生い立ち。
性格は温厚、誰にでも優しく学校の帰り草むらで鳴いている子犬を拾って
帰ったりするような心根の優しい子。
もちろん、その子犬たちは渡辺家の家族になった。
渡辺家で育った、ほとんどの犬は成犬になる前に病気で亡くなっている。
渡辺家には、なぜか負の空気は流れているようだ。
あとは極端に人見知り、男子と話ができないくらい臆病で
今時のギャルのようにふざけたりバカ笑いしたりできない性格。
よく言えば、おしとやか、悪く言えば地味。
だが学校での成績は良く、運動音痴だったが優等生で通っていた。
詩織も兄弟姉妹はなくひとりっ子で、人見知りが激しく友達は少なかったが
ひとりだけ親友と呼べる子がいた。
名前を「
仲良くしていた。
聖子は明るくて性格はいいんだが、家庭に少し問題があって、 あまり素行の
よくない女友達ともつるんでいた。
詩織は、そこだけは聖子とは馴染めずにいた。
素行のよくない連中と手を切ってほしいと密かに願っていたが、 でもそれを
クチにすると聖子を失う気がした。
それに、どこかで自分にはないものを持っている姉のような聖子にあこがれも、
いだいていた。
それは詩織に姉妹がいなかったせいかもしれない。
詩織は美人系と言うよりは、どちらかと言うと可愛い系の顔立ちをしていた。
だから同級生の男に告られたことも何度かあったが全部「ごめんなさい」だった。
断ったわけは、好みとかタイプが違うからと言うわけじゃなく、ただ人を
好きになることに臆病なだけだった。
だから当然、彼氏はいない。
臆病になった原因は中学生の時、隣に住んでいた同級生の男の子と
好き同士になったが、詩織が引っ越しすることになったため、遠距離になった。
最初にうちは、お互いやり取りをしていたが、彼のほうに好きな人が
できたらからって、別れを告げられた。
信じてた人に捨てられた形になった詩織は、それ以来恋愛に臆病に
なった。
今は母親とふたり暮らしではあったが特に問題もなく父親がいなくても、
それはそれで幸せなのかなって思っていた・・・。
だかある時・・・
詩織にとってショックな出来事が持ち上がる。
それは母親が突然「結婚したい」って言い出したことだった。
仕事先でお世話になった人とできちゃったわけだ。
詩織には寝耳に水・・・母親にそういう話はもうないと思っていただけに
結婚というふた文字を聞いたときは耳を疑った。
だから最初は戸惑りもして反対したが、母親が幸せになるならと最終的
には折れた。
母親が結婚するってことは、自分に家族が増えるってこと・・・新しい
父親になる人と馴染めるか不安でしかたなかった。
人の運命なんて自分の思ったようにはいかないこともある。
思惑とはうらはらに川に浮かぶ木の葉のように、なすがままに流される時もある。
詩織の母親の結婚をきっかけにして一生出会うはずのなかった柊一郎と詩織は
それぞれの運命を大きく変えて行くことになる。
つづく。
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