第2章 魔人レオナイト
第1話 見習い天使ミルチェル
アヤさんの進化が完了したので俺たちはついに地下23階の探索に向かった。
地下23階からはまた普通の迷宮型のダンジョンになったが、低層階と比べると規模がかなり大きい。通路の幅は10m近いし、高さも10m以上ある。構造の複雑さ自体はそれほどでもないのだが、単純に歩く距離が長くなることもあって探索には時間がかかった。
3日ほど掛けて地下23階の探索をあら方終えたところで「ハズレ券」が10枚貯まる。強敵と戦った時の保険のために20枚貯まるまで我慢しようかな、とも思ったが『叡智のグラス』がもう1つもらえるかもしれないので、ラクスティーケを呼び出した。
「ハズレはATARI、アタリもATARI。幸運の理天使ラクスティーケさまの名代である天使見習いミルチェルなのだー」
やってきたのは中学生のような見た目の少女だった。短めの前髪ぱっつん系ボブヘアーで髪の毛は群青色。レベルは51ですべてのステータスが1万を超えている。見習いとはいえ流石は天使と言ったところか。
伸縮性の高い緋色のTシャツを着ているが、胸が大きいのではち切れそうになっている。絶対的な大きさで言えば詩織のほうが大きいが、ミルチェルと名乗ったこの天使見習いはアンダーバストとウェストがかなり細い。
<身長は140cm。トップバスト86cm、アンダーバスト58cmのHカップ。ウェストは52cmで、ヒップは94cmです>
すぐにソフィアさんが教えてくれる。優秀過ぎる。
十分に巨乳だが、特質すべきは尻だな。タイトなスカートを履いているので、大きいヒップの形がハッキリとわかる。素晴らしいシェイプだ。ガーターベルトに締め付けられたむっちりとした太もものボリューム感も絶品である。なんというのだろう……とてもシズル感のあるわがままボディだ。
Tシャツには『ベーマガ』の表紙で使われていたレトロハイテクなフォントで大きく「ATARI」と書かれており、その下には「777」になっているスロットのイラストが描かれている。
「あっ、
ミルチェルは出現するや否や、アヤさんを見つけると俺を無視して彼女の方に駆け出す。そしてアイテムボックスからレリックのヘアクリップを取り出してアヤさんに渡した。獲得マカ3%増の効果などがついた逸品だ。
「お近づきのしるしなのだー」
「ありがとにゃー!」
アヤさんは招き猫のポーズを取って尻尾を立て、喜びを表現した。
どうも天使は猫好きが多いようだ。なんの苦労も無くパーティメンバーが強化されたのだから、かなりラッキーだろう。
「今日はラクスティーケじゃないんだ?」
頃合いを見計らって俺はミルチェルに尋ねた。
「理の
ミルチェルはハイテンションになって生唾を飲み込みながら、怒鳴り散らしている。
俺はですぐに謝罪したが、お仕置きされた。仰向けに寝かされた状態で顔に大きな尻を押し付けられてグリグリされる。これはなかなか良いお仕置きですな!
「今日はラクスティーケ様じゃないんだね?」
何事もなかったかのように言い直す。
「うむ。ごっ多忙なのだー。先着11名だけご自分で対応して、後は配下に任せたのだ!」
モンタロス戦から一週間ほど経つが、すでに7名以上の者がハズレ券を10枚揃えたということか。やはり俺と同様にすぐにダンジョンに潜った者が世界にはたくさんいる。先行グループから脱落しないように気を引き締めよう。
「ところで、『理の大神』ってさっき言ってたけど、ラクスティーケさまは『理天使』なのでは?」
俺がそう尋ねるとミルチェルは「あっ……」と言ったきり絶句してしまった。なにか言ってはいけない秘密の情報をうっかり漏らしたのかもしれない。
「ま、いいでしょう」
そう言って気まずい沈黙を避けてから「そろそろスロット回していいかな?」と切り出した。追求するのは可哀想な気がしたので、あえて深く突っ込まないことにする。
「むろんなのだ!」
渡りに船とばかりにミルチェルは早口で応じると、すぐに前かがみになってスロットマシンを顕現させた。深いUネックを通して谷間が至近距離でさらされる。眼福ですな。うっしっし。
今回はあっさりと大当たりの『777』が出て、『
常闇の大盾
種類 防具
クラス レリック
攻撃属性 物理、闇
固有戦技 【マッシブ・シールドバッシュ】
物理攻撃力 1780
ダメージカット率
物理・土 100%
火 70%
風 55%
水 60%
氷 60%
雷 60%
光 45%
闇 85%
アビリティ 体力・HP20%向上
その他 【自動装備】
光耐性以外に穴がないので使いやすい。レベルが上って膂力が増したため、片手で扱うことも可能だろう。
「右手に『天魔のハルバード』、左手に『常闇の大盾』を装備して盾チク」というのを基本戦術にしたほうが良いかもしれない。格好は良くないがリスクが低い。
それにしてもアヤさんはスロットを回したわけでも無いのに「お近づきのしるし」としてレリック装備をもらっているのだから、大当たりが出た割にはしょぼい。
「このスロットはレリックまでしか出ないのだ! だからそのぶん当たりが出やすいのだ!」
とのことだ。なるほど。どのみち今のレベルで神宝をゲットしても使いこなせないだろうから、宝の持ち腐れだ。ありがたく使わせてもらおう。
暇なのだろう。ミルチェルはそのまましばらく留まった。お湯を沸かしてティーバッグの緑茶を出す。
年齢を尋ねたが、地球時間換算で707歳とのことだ。見た目と実際の年齢の間にはほとんど相関関係が無いらしい。とりあえず18歳以上なのホッとした。
もし13歳ぐらいの年齢ならばエロい目で見てしまうことに罪悪感を感じてしまうが、707歳ならば酸いも甘いも噛み分けるお年頃だろう。少々エロい目で見ても問題あるまい。
ミルチェルは2時間ほどアヤさんと戯れながらだらだらとしていたが、「チ、呼び出しなのだー」と吐き捨てて去っていた。
んー、見習いとは言え天使だから偉い人なんだろうけど、サボりがちなバイトにしか見えんな。
「お屋形さま、ミルチェルの尻に敷かれて喜んでいるように見えましたが?」
そう言う詩織の視線はちょっと冷たい。
「ああいうプレイも悪くない。詩織もどんどんやってくれて良いんだぞ?」
「あいにく私は受け専なので……」
決して「マグロ」という訳ではない。反応はわかりやすいのだ。アヘ顔で絶叫することもしばしばある。更にどうされるのが気持ち良いのか微に入り細を穿って説明してくれる。それ自体はわかりやすくて良いのだが……。
詩織は自分が気持ちよくなることには貪欲だが、俺を気持ちよくさせることにはそれほど積極的ではない。俺だってたまには受け身プレイをしたいのだが……。
「にゃんだ。ああいうのが好きにゃのか。アニャイに任せるにゃ」
「あ、アヤさん。ちょっ……、アーッ!」
俺よりデカいアヤさんの尻に押しつぶされて窒息しそうになる。追い打ちをかけるかのように尻尾で股間を叩かれ俺は悶絶した。
今はまだいいが、発情期になったらどうなってしまのだろうか? ちょっと心配だ。
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