第13話

「あーん」


「......いや...です」


「ほら、あーん」


「いやです」


「好き嫌いはしたらダメなんだぞ?」


これ魔力溜まりは絶対その範疇に含まれないと思いますよ!?」


”あまりの出来事にルナちゃんが敬語にっ!”

”いやそうはならんやろ”

”なっとるやろがい!”

”魔力溜まりを食えって言われたら断る。誰だってそーする。俺もそーする”

”こいつらは常識をお母さんの胎内に置いてきたらしい”

”そんなの前からわかってたことだったのに...”

”さらばルナちゃん永遠に”


「いや死なんが?」


「死にかけはするけどな」


「はぁ~...マジでこれ食べるの?」


「マジで」


「死なない?」


「死にかけはするが死には絶対にしないぞ」


「うぅ~...よし、覚悟...決めるか...」


「っ!(こいつには、やると言ったらやる......『スゴ味』があるッ!)」


「玲瓏くん、これを食べるだけでいいの?」


「......いや、こいつは消化されるまでが遅いからゆっくり少しずつ取り込んだ方が楽だし効果的だ」


ルナは六花の言う通り少しずつ食べることにした。


「おっけー、少しずつね...よし...」


「(あれ?思ったよりもふわふわして―――うっ...これやば!?)」


「うっ!おぇっ...げほっげほっ!...おぇぇぇ!!」


あまりの不快感と魔力過多でルナは吐きそうになる。だがそれを必死にこらえ、丼一杯分はあろうかという量の魔力溜まりを30分ほどかけて完食した。


”よく頑張った”

”えらい”

”見てるこっちが吐きそうになったわ”

”大丈夫俺は吐いた”

”なんかその...ドンマイ...”

”でも症状もなにもないのな”

”近づくのはダメで食うのはアリとかそんなことある?”


「た...食べきり...ましたよ...」


「気張れよ...


「え?......うっぐ!?...あ...カハッ」


ルナは突然した。


「ゴホッ...ゴホッ!ゴホッ!」


ボタボタ...ボタボタボタボタッ!


ルナは血を吐き続けており、六花は特に動揺する様子もなくそのまま見つめている。


”なんで何もしないん!?”

”ヤバいってヤバいって!”

”吐血してる吐血してる!”

”流石にヤバいって!”

”ルナちゃん殺す気か!?”

”これ絶対まずいって!”

”さっきから血が止まらね~しよ~!!”

”ほんとこれどうすんの!?”


「今出てる血は魔力濃度に耐え切れずに体の害になってしまったモノだ。かなり苦しいと思うが命に問題はない量だ。じきに治まる。」


「カホッ...ケホッケホッ...ふぅ...ふぅ...ふぅ...お、落ち着いてきた...」


「気分はどうだ?」


「特に気分が悪いとかはないけど...なんだか力が湧き上がってくる気がする...」


「それが魔力量が一気に増えた時の感覚だ」


”おおおおおおおお!!”

”治まった...よかった...”

”でもなんで?”

”近づいただけでも死ぬのになんで食べても吐血ですむんだ?”

”たしかに”

”それ気になる”


「コメント欄でも気にしてる方がいるので説明をば」


「私も気になる」


「俺がさっき...1時間くらい前かな?に使った《花氷》って覚えてるか?」


「うん、覚えてるよ」


「あれが付与された時の感覚はどうだった?」


「魔力が練りやすくなって...なんていうかその...」


「気分がいつもより落ち着いたんじゃないか?」


「そう!なんだかとても落ち着いたの!」


「それが《花氷》の効果だ」


「え?」


「《花氷》を付与されると魔力補正、魔法補正、思考速度上昇、気配自動探知、魔力量上昇、魔力練度上昇、魔法練度上昇のバフがかかるんだ」


「え?え?」


「《花氷》が付与されているときに魔力溜まりなどの高密度魔力体を摂取するとな、通常よりも魔力過多やその他の症状が軽減され、《花氷》が解除されてもその恩恵を受けているときに摂取した高密度魔力体で増えた分の魔力はそのまま自分のものになるんだ」


「え?え?え?」


「まぁ聞くよりも見るが易し、あそこにいるゴブリンロードに向かって全力で撃ってみろ」


「あ、はい」


ルナは初めて戦う下層のモンスターのため、今自分が出せる一番火力の高い魔法を放つ。


「《インフェルノ》」


「ッ!?ガァァァァァァ!?!?!?」


ジュッ...


《インフェルノ》に触れたゴブリンロードは


ゴブリンロードを燃やした業火はダンジョンの壁を焼き、地面を焼いている。


「あれ?全然魔力に余裕が...っていうかなんだか威力も上がってない!?」


「魔力溜まりは魔力の濃度も高いからな。当然それを取り込んだルナの魔力濃度も上がる。」


「そ...そうなんだ...」


”威力ヤバ!?”

”ゴブリンロード溶けたww”

”ゴブリンロード!?って思ってる間に溶けてるの草”

”つっよww”

”ファーww”

”wwww”

”インフレすげぇww”

”おおおおお!”

”これは間違いなくS級”


「さて、そろそろ帰るか...って――――――――







―――?」





◇◇◇◇

雪乃ちゃん、どこ行った?


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