お寺の桜

 土曜日の午後、お寺のベンチに座って一人お花見をしていると、満開の桜にお祈りを捧げるお年寄りがいた。お連れの人はいない。


 桜も幹の様子から、かなりのお年寄りだ。きっとこの人は古くからの桜のお友達なのだろう。

 最近の春はかけ足なので、再会を楽しむ時はあまり長くない。


 手を合わせる時間は長かった。再会を楽しむというより、願い事をしているのかもしれない。


 ようやくお祈りを終え、帰る後ろ姿に早くも今年の花びらが舞い降りる。




 ひとりでなにを祈ったのかしら。







 そんなことを思いながら、明日は奴も誘ってもう一度お花見をしたくなった。

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