幕間閑話
「
「了解」
恐らく今頃、下で井上達がブツクサ言いながら戦闘をしているはずだ。
気の毒に。
現在我々はヘミス部隊を投下した後、一度戦闘空域を離脱して奴らの回収ポイントを探す為に旋回している。
まあ文字通りの高みの見物である。
ま、死なない程度にがんばれよ。
「どう? 回収ポイントは見つかった?」
「いいえ。推定地表風速が20ノットを下回る地点がほぼないですね」
「そう」
降下はある程度へミスのパイロットの技術でカバーできるが、回収に関してはそう簡単な話でもない。
今回のように輸送機自体が着陸できない場合上空でホバリングしつつの回収となる。すると、基本的に20ノット以上は自動姿勢制御できず、最悪墜落する。
……じゃあ手動でやれって?
君のような感のいいガキは嫌いだよ。
いや俺今操舵じゃないし。
「ねえ康太」
「嫌です」
「……まだ何も言ってないんだけど」
「嫌です」
「一緒に心中する……?」
「……嫌です」
「じゃあ操舵代わって」
「やっぱそうなるよなぁ」
「そりゃそうでしょ」
なんで自慢げなんだよ。自分でやれよ。
いや、確かに玲華の操縦する機体に乗るのはできることなら避けたいな。
「酷い」
「なら大型級航空機の訓練プログラムやり直してくれ」
「嫌」
えぇ。
「はい操縦代わって」
意気揚々と席を立つ玲華。
はー。
輸送機というクソデカ図体のものをホバリングさせるだけでも大変なのに20ノットの風速で姿勢制御を手動でやるとか本当にどうかしてる。
しかも約200mのテザーケーブルで約50tの塊を回収するわけである。
格納庫の巻き上げ班と綿密に連携しながら気流の流れを見極めないといけない。
正気のSATAではない。
「あ。待って。降下地点は俺が選ぶからな」
「どうぞどうぞ」
そうか。こいつの仕事が減るだけだもんな。けっ。
地形、風速、作戦行動終了時の推定座標から6km弱、ここにするか。
「降下点入力、座標追尾固定。コースそのまま現空域で待機」
「了解」
ひとまずこれで次の信号弾を待つだけである。
下では恐らく初期行動を完了したところだろう。前話と前々話分くらいかな。
「ねえ康太」
「なんですか。これみよがしに暇アピールですか」
「……そんなに怒らないで。私が悪かったから」
ちょっと嫌味を言っただけのつもりだったのだが。
「いやなんかごめんって。作戦案を承認したのは西本さんだから多分俺込みで大丈夫と判断したのだと思うよ」
「うん、ありがとう」
「どういたしまして」
「あ、そういえばさっき何か言いかけたか?」
「そう。これを見て」
と言いつつCIC席のモニターを指差す。
「玲華サン、メインモニターに出してください。一応目が離せないんで」
「あっ、ごめん」
MSに於ける戦闘技能はかなりの腕なのだが、他が少し抜けているんだよな。
まあそこがかわいさポイントではあるのだけど。
玲華がメインモニターに出したのは地形詳細図に今回の作戦行動ルートと敵現在位置を重ねたものだ。
「あ、康太が中型をやったな」
大型の
「ねえ。今回の敵の動きってやっぱり変じゃない?」
「あー。それは思ってた。
ん、そもそも中型四体を派遣したのところには何があるんだ?
何か爆弾なりを設置するならわざわざ移動しなくても降下点で作業をすれば良い話だ。
それとも距離を置かないといけないほどの規模の兵器......?
「ねえ。これ本部に指示仰いだ方がいいのかな」
……
(
「あ。中型3体の反応が消えたな」
「一匹逃げてる」
「まあなんとかなるだろう。それよりもポイントN30E100に何があるか確認するべきだよな。……いや、中居さんならちゃんと指示出してくれるだろう」
「そうだね」
中居さんは確か隊長の一つ下で西本さん達の同期のはずだ。
今回の戦闘部隊の副隊長を務め、かなり頼れる
「そろそろ回収ポイントに向かうか」
「わかった。座標の通達は?」
「いや、戦闘行動が終了してからの方がいい。今送ると急かすようになるからね」
「ん」
先ほど指定した座標への航路修正を行う。
さて。まあ今回もなんとかなるだろう。
「そうだ。玲華、本部にポイントN30E100の座標とこれまでの交戦記録を送信しておいて」
「……」
「玲華?」
「………ねえ……あれ……何」
─────────────────────
はい。変なところで切りましたすみません。
そして次の話からほぼ新規の話となります。宜しくお願いします
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