こども
遊bot
第1話 101の証言
『こども』って言葉を見ると、あなたは何歳の子をイメージしますか?
多くの人は幼稚園児から小学生までの年齢の子をイメージするんじゃないですか?
じゃあ『こども』って言葉を耳にした時は?
人によってイメージする『こども』は違うと思うんです。
それって"だれが"口にした言葉なのかで違うからだと思うんですよ……。
だから、はじめに管理人さんに言われた時は意味がわからなかったんですよね。
「『こども』に気をつけろ」なんて言われても。
私は一人暮らしだし、このマンションで『こども』なんて見たことないし。
何を言ってるんだろう?何に気をつけるんだろう?って。
だけど、管理人さんに会うたびに言われるから、だんだんと不気味になって、つい避けるようになったたんですよ。
それがいけなかったんでしょうね。
ある日、玄関のチャイムが鳴らされたんですよ。
しかも何度も何度も激しくですよ。
怖かったけど勇気を出して、のぞき窓越しに確認してみたんです。
そしたら誰もいなくて。
その時には、もうチャイムも鳴ってなかったから、そのままでもいいかなって思ったんですけど、不気味で落ち着かなくて、思い切ってドアを開けて確かめてみたんですよ。
部屋の前には誰もいなかったんです。
だけど廊下の奥に管理人さんが立ってたんですよ。じっとこっちを見つめ。
もう怖くて怖くて。すぐにドアを閉めて部屋の中に戻りましたよ。
それからでした。
朝といわず夜といわず、時間は関係なくチャイムを鳴らされるようになって。
ドアを開けるとやっぱり誰もいない。そして、廊下の奥には管理人がいる。
もちろん毎回見つけたわけじゃないですけど、見つけられなかったときは、きっとうまく隠れてたんですよ。
だって、玄関を開けようとする前に、バタバタと走る音がしてたんですもん。
だから我慢できなくなって、マンションの管理会社に電話で報告したんです。
管理会社さんはすぐに動いてくれましたよ。
電話してからすぐに、チャイムが鳴らされなくなりました。
それだけじゃなくて、数日後には管理人さんがいなくなったので、きっと辞めさせられたんだろうなってホッとしてました。
それなのに……。
またチャイムが鳴らされるようになったんです。
当然、管理人さんはもういないから犯人ではないですよね?
本当に怖かったです。もう、鳴り止むのを耐えて待つしかなくて。
ある日、不意に気がついたんですよ。
バタバタと走り去る音の中に、笑い声が混じっているのを。
よくよく聞いてみると『こども』の声でした……。
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