日常系にもとめられるもの

 半ば戒めとしてこれを書いています。


 というのも、現在、私の長編小説が日常系の枠組みを外れようとしているためです。


 それもこれも、私が『冒険書きたい!どうしても!冒険書きたい!』となっているからで、この願望を押し通すと、『……いや、これスローライフ謳ってるけど、ちがくない?』と言われても仕方ない内容になってしまいます。


 これは良くない、と考えた私の理性がこれを私に書かせています。ややこしいですが。


 そこで、日常系にもとめられるもの、を定義してみよう、と思い至ったわけです。



 さて、日常系の定義とはなんでしょうか。


 日常と言うからには非日常の対義語なわけですが。


 非日常の代表的なものとして、トラブルや冒険が挙げられるわけですね。ええ。


 つまり、山も谷もなく平坦でいて、命の危機もなく、ワクワクはあってもハラハラは無い、と、そういうことなのだと思います。


 現実世界で例えるなら、いわば、学生生活のそれや、老後の楽しみみたいなものではないでしょうか。※前提として、理想の、という言葉が頭に付きます。


 仲の良い人たちに囲まれて、イベントを皆で協力して盛り上げたり、笑って許せる程度のトラブルが起こったり、友人の悩みを一緒に考えてあげたり、特に何をするということもなくだべったり。


 なるほど、なんとなく分かってきました。


 そしてこれを物語にするには、やはり登場人物のキャラクターの濃さが大事になってくるわけですね。トラブルなら問題の大きさ、冒険なら舞台の壮大さに読みごたえを任せられますが、日常系にはそれが無いわけですから。


 それ以外のもの、となると、もうそれは物語を形作る本人たちをおいて他に無いでしょう。


 現代系だと特殊能力と言ったものが……まぁ、書くものにもよりますが、ほとんどの場合において無いわけですから、性格や家族構成、特技などを個性的にするのだと思いますが、幸い、私が書いているものは異世界ファンタジーです。


 性格や家族構成、特技はもちろん、生まれや種族、魔法や変わった道具、ファンタジーに類する様々なものを使えるわけですから制限は少ない、とも思いましたが。


 逆に色々ありすぎて迷走しそうな気もしてきました。

 前者を基本として、それらはオマケ程度に考えた方が良いものが書けそうな気がします。

 これは私の勘ですが。


 それに、現代モノにあって、異世界ファンタジーに無いものもあります。


 それは、ルールと行事であり、これは常識と追体験の要素を持っています。


 例えば、学生生活なら。

 学校、というルールが基本としてあり、その中で季節行事(イベント)やその年齢だからこその何かがあるわけです。


 異世界ファンタジーでも学園という存在はありますが、それは規定ではなく、それ自体が一つの行事(イベント)として存在するのが通例です。

 主人公によってはスキップされます。


 そして、この学校、というのがキモで、読み手である私たちが、よほど特殊な事情でもない限り、一度は通った道です。


 この場において、

 『常識』とは、敢えて説明するまでも無いこと。

 『追体験』とは、一度経験したことを今一度経験し直すこと。

 を指すとして。


 これらは、物語において、冗長さグダりという難敵を寄せ付けず、共感や追憶を発生させ印象を深くする、という非常に強力なメリットを持っています。


 ……書いていて思いました。

 やはり、王道は強力である理由があるのだと。


 であれば、異世界ファンタジーにおいて、日常系の王道と言えば。

 某居酒屋とかでしょうか。店ごと転移、うーん、ちょっと違います。

 それにあれって人間ドラマですよね。異世界が題材なだけで。


 某ウン百年のレベルカンスト魔女様とか。

 系統としては近い気もします。

 家持ちで、個性豊かな登場人物。よし。


 もちろん元祖異世界スローライフの田舎の某も参考にするとして。


 と、原作がどこ公開なのかも特に気にせず書き連ねましたが。

 カクヨムさんごめんなさい。


 それはそれとして。

 好きなものを参考にすることを思い出せたので、よしとしましょう。

 もちろん、丸パクリは論外です。

 似てくるのは……仕方ないですよね、インスピレーションをそこから得ているわけですから。


 そういうわけで、生暖かい目でお見守り頂ければ、と。

 思う次第でございます。

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