友達以上になりたいけれど

クヨミ

第1話 創太視点

異性の友達に好意を持つことは少なくはないだろう。

僕、創太もその一人だった


僕、創太も幼馴染の異性の友人、楓に恋心を持っている。

でも、踏み出すのが怖く、伝える二文字が言えないでいた。

僕の友人には仲の良かった男女がいたが告白して、関係が崩れてしまったと言う、実例も見てしまったためあと一歩の勇気がないのだ。

(なんだかんだで楓から告白してくれないかな)

そんなことを考えながら教室の机でこっそりと楓の方を向いていると

それに気づいたのか楓はこっちに手を振ってきた。


「なになに?私の方をじっと見て何か変だったかな?」

「いや、何変じゃないし、気にしなくていいよ」

「あ〜そうなんだ、じゃあ戻るね!」

と言って友達の元に戻っていく


僕は少し顔を背けてため息をついた。

(好きって普通に言えたらどれだけ楽なのかな…)

俺と楓は幼馴染だ

なのでよく一緒にいることが多く、距離感も近いので周りから見たら付き合っているようにも見えるが楓は毎回聞かれるとはっきり違うと否定している。

それが僕が僕にいる時もするため、楓は恋人は嫌なんだと思っている。

(思いを伝えても関係が変わらないなら伝えれるのにな)

そう自分の中で思い込んでしまう

それも俺は知っているから余計に一歩が踏み出せないでいるのだ。


そんなある日の放課後、僕は忘れ物を取りに教室に帰るとそこに女子数人と楓と一緒にいた

楓は友達とどんなことと話してるんだろうと思ったが入っていくのも気まづく

忘れ物は置いてすぐに帰ることにした。

しかし不意に女子たちの会話から聞こえてきた話の内容は僕と楓のことだった。

俺と楓の話か…まあ、楓が色々聞かれてるんだろうな。

少し気になってしまったが聞いてみるのは良くないと思い踏み止まった。

でも、自分の欲には勝てず、かすかに聞こえてくる、話し声に耳を傾けていた。


「そう言えば楓はいつも一緒にいる創太くんとは付き合わないの?」


「私が創太と付き合うのはないかな」

「え〜嘘〜あんなに一緒にいるのに」

楓は考える間のなく即答だった。

僕は楓の言葉が聞こえた時、悲しく、そして信じられなく、

その場所から逃げ出してしまった。


やっぱり、楓は僕のことは幼馴染として仲良く過ごしていたようだ。

僕は少しでも現実から目を背けようと、早歩きで校門まで向かったがいつもの道を通ると考えてしまうので少し迂回して帰るとこにした。

どうしても今は、楓のことを僕は考えたくなかった。


 次の日、俺は昨日の楓の話していた言葉を思い出した。

「付き合うのはない…か」

どうしてもその言葉が頭から離れなかった。

いつもなら、漫画の話題などで盛り上がるのだがいまはなるべく話しかけられないように教室にいなかったりして会わないようにしてしまった。


しかし、そんな少しの異変を感じ取ったのか創太に会えない楓は授業のすぐ後に創太の元へ向かった。

「創太、最近、大丈夫?私何かしちゃったのかな?」

(なんで、こんなにも気にかけるんだよ…)

「いや、ちょっと体調がすぐれないだけで心配かけると悪いから少し避けてたんだ。

 心配かけちゃったみたいだね、ごめん」

楓はほっと一息ついて

「な〜んだ、嫌われちゃったのかと思ったよ。でも体調早く治るといいね!」

「そうだね、早く治るように体調管理をするよ」



そんなことしても、楓は気にせず話してくれる、ほんと気持ちは届きそうで届かないな。

(あんなこと本人の口から言われているのに諦め切れないなんてほんと

どうかしてるよ、俺は)

「なあ、楓」

気づくと楓を呼び止めていた。


「なに?創太、急に呼び止めて」

「楓にとって僕はどんな存在なんだ」

「えっ!」

この時、僕はいつも気になって僕が一番知りたいと思っていたことを話してしまっていた。

楓もこんなこと聞かれると思っておらず驚いた表情になっていた


「ごめん!変なこと聞いたよね」

僕はすぐに質問を無くそうとするが楓はもう答えを考えているようだった。

「ううん、大丈夫、私にとって創太はどんな存在かね〜」

楓は少し考えて

(それを聞いたら僕は諦めをつけるとこができるかもしれない)

「創太はいつも一緒にいてくれる大切な友達だよ」

返ってきた言葉は僕が求めていた言葉ではなかったが、今はただ話せることも嬉しかった。

(友達、、僕が一番良くて少し届かない存在だな)

「ありがとう楓」

(まだ片思いのままでもいいからずっとそばに居させてくれないか)

僕は心からそう願いたい。







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