◆連載二百回記念閑話: 変態
今回で連載二百回となることを記念した番外編となります。
本文ピッタリ二、二二二文字、お楽しみいただけますように!
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ある朝、僕ことシェガロ・ベイン・エルキルが長すぎる夢から覚醒すると、寝床にある自身の姿が巨大なダンゴムシに変わってしまっていることに気が付いた。
硬い甲殻に覆われた背を
『こ、これは!? 一体全体、僕の身に何が……ん? 藁?』
奇怪な変身事件に比べれば
まぁ、この姿では二段ベッドを下りるのも難儀しただろうから、それはさておくとして。
『おい、楽天家! 目を開けたんだ、起きているんだろう? どうなっている!?』
頭の片隅でそんなことを思いつつ、
すると、誰からの返事もないまま、仰向けの身体は僕の意に従ってひっくり返り、勢い余って積み藁の上より
『おおっ!?』
反射的に身を
壁にぶつかり、柱に当たり、その度にコースを変えながら何故か速度はほとんど落とさずに、仕舞いには扉を内側から押し開き、勢いよく外へと飛び出した。
『ららら楽天家っ! 早く止めてくれ! な、何故、ずっと黙ってるんだ、オイ!』
「「わ! なんだ、こいつ!」」
「おっきなダンゴムシ!」
「どっから出てきた!? ファル、近付こうとするな」
「待てよ、ハイナルカたちも
背中の甲殻を外側へ向けて丸まっている僕には周囲の様子は分からないが、村の子どもたちに見つかってしまったようだ。
おそらく、姉クリスタの取り巻きをしているイヌ・サル・キジのトリオだろう。
『誰でもいいから止めてくれえ!』
――パッカーン!
『あいたっ』何かで背中を叩かれ、僕のダンゴボディがようやく失速する。
「俺が足止めをしといてやるよ! 行けっ!」
「任せたぜ、ライレ!」
なおもゆっくり転がる
低すぎる視点に加え、やけにぼんやりとして見えづらい視界に難儀するも。
『……ああ、ここは牧場の側だな。察するに、起きたときにいた場所は
「モールドクロウラーに似てるな。下級モンスターだが
「ライレ、だいじょぶよ? ダンゴムシはあぶなくないのよ?」
「ああん、ファル!?
目の前には二人……ライレとファルーラだ。
ライレはカメの甲羅に似た大きな盾を構えて立ち、その背後にファルはいる。
『待て、こちらに敵意はない!』
僕はじっとしたまま触角をぴこぴこ動かし、無害さをアピールしてみる。
「お、来やがるか!?」
「んー、食べ物を探してるのかも」
『くっ、やはり意思疎通は無理か』
だが、警戒を強めたライレは盾の陰で守りを固め、僕の方も逃走と和解の道を即座に選びかね、気付けば
時間にして二百秒ほどだろうか。
緊張感に満ちた空気を破ったのは近付いてくる急ぎ足の音だった。
「ライレ、無事なの!?」
「ふはっ! でっか! こんなん俺らじゃ無理じゃね?」
「なんだよ、お前らだけか?」
やって来たのはシイリンとアザマース、ライレと共に
こちとら寸鉄帯びぬダンゴムシ。この人数に殺す気で来られるのは
『楽天家、何か妙案はないか? このままじゃ退治されかねないぞ』
「え?」
『え?』
と、絆たちの後ろ、一人の少年が顔を出す。
身の丈と比べて大きめのスコップを携え、灰色の髪と団子鼻が特徴的なその少年は――。
『僕じゃないか!?』
「……うわあ……本当にダンゴムシだよ……」
『
「なんか今朝から頭の中が静かだと思ってたら、こんなことになってたんだねえ」
『お前は、楽天家か? ひょっとして僕の声が聞こえるのか?』
「……ううん、何も聞こえないけど」
『聞こえてるじゃないか!』
こちらの心の声に反応しながらすっとぼける目の前のシェガロにイラッとさせられる。
「白ぼっちゃん、この子と知り合い?」
「ええ? まさかシェガロ様の新しい従魔?」
「あはは、そんなわけ……ん、いや、そういうことにしておこうかな」
ひとまずそれでモンスターとして討伐されずに済むか。
おもむろに近寄ってきて僕の背によじ登り始めたファルーラが落ちないよう脚を踏ん張りつつ、改めて考える。
『それにしても、何の因果でこんな目に……』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
数刻ほど
物語の語り手であるシェガロが観測し得ない某所にて。
「おや、もう儀式は終わりですか」
「ええ、
「何かしら反応があるかと期待したんですけどね」
この会話の後、二百分……三時間余りを経て巻き起こった騒動は、原因の巨大なダンゴムシが村人二百人以上の見守る前で忽然と消失したことで収まるのだった。
それと同時、とある少年の頭の中に口うるさい声が戻ったことも追記しておこう。
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お粗末様でした!
ともかく内容が無くてスミマセン。
ふいに思いついた二、二二二文字の縛りがきつく、イベントには尺が足りなすぎました。
今回はここまでにしますが、さすがにあんまりなので、いずれ続編を書くかも知れません。
予定していたネタの消化や唐突な最後のシーンについての説明などもできたらと思います。
それから、ご報告を一つ。
活動報告/近況ノートでお伝えしていましたのでご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、今回だいぶ長く更新を止めてしまった理由について。
実は、ずっと本作の表紙イラストを描いていました。
拙い絵で皆さんのイメージを崩してしまうことも覚悟しながら頑張って描いた絵です。
よろしければ、以下をご覧いただけますように。
近況ノート:
https://kakuyomu.jp/users/proetos/news/16818093089364331000
いずれ機会があれば、第二部の表紙も描いてみたいなどとも思っていますが、それはさておき。
改めまして、今後とも本作をよろしくお願いします!
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