◆閑話: 異世界ファッション、改めて
――ごそごそ、ごそ……。
「僕はこのままで良いか。……はい、君はそれ脱いでこっちに
「えぁ、これじゃだめ?」
「汚れちゃうと思うからね」
「わかったぁ」
既に昼下がりを
空に雲が増えてくる今時分は一日の
明らかに熱帯に属するこの地域だが、湿度が低く、風があるため、実際はイメージされるほど過酷な暑さを感じることは年間通してもそうは無い。
とは言え、身を焼く強い陽射しにだけは
必然的に外仕事のスケジュールは朝夕で本腰を入れるものとして組まれがちだ。
自室の衣装箱を漁りながら、僕は屋内用の部屋着から屋外用の作業着へと服装を整えていく。
取り出した布を
「んっしょ、んっしょ」
「そう言えば、ファルはもう一人でも服を着られるんだね。えらいよ」
「こんがらかるとこ、おかーさんといっぱいやったからねー」
『ふむ、二人とも忘れ物はなさそうだな。帽子もちゃんと被れよ』
この地で用いられる一般的な衣服は、前世地球文化に照らし合わせるなら、
麻地や羊毛で織られた大きな
しかし、当然ながら異なるところも多い。
柔らかく伸縮性のある細い羊毛で編んだ網パンツ――女性は加えて
そこから前開きのゆったりとした
これだけ重ね着をするわけだから、最後の
普通に想像されるであろうローマ貴族風の
足には
『こうして説明しているとゴテゴテとして暑苦しい恰好に思われるかも知れないな』
「意外と着心地が
なにせ、日中の気温が四十度を超える熱帯気候であり、人間の体温の方がよほど低いくらいだ。
風通しさえ良くしておけば、厚着で直射日光を防ぐ方が効率的に
まぁ、平民の場合、
目の前にいるファルも、パンツ一丁の上に長袖ワンピースじみた
その上から、まだ数え年で七つの
『なにげに染色技術が発達しているから、色と模様のお
姉のクリスなどはお洒落なもので、
「できたー」
「うん、じゃあ出掛けようか」
出掛ける
――シャーっ……カシャン!
「おはよう、ナイコーンさま。散歩に行くよ」
「……あたま? さわって?」
「オットモーシャボテーン!」
一階リビングダイニングの片隅に置かれた大きな
************************************************
ふと思いつき、衣装関係の設定をやっつけ閑話風にまとめたものとなります。
作者自身、各キャラの恰好をイメージし忘れそうになりますので、ここで一つ改めて。
内容が薄くてすみません。
捕捉:
文化的には、十世紀頃の東ローマ(ビザンツ帝国)を意識しています。
もっと熱帯ですし、平民寄りですし、やや服飾文化が進んでいますし、ファンタジーですので、本編中で書いたように違いは多いのですが、文章で分かりにくかった方は「ビザンツ帝国 衣装」などで画像検索すると雰囲気がイメージしやすいかも知れません。
あくまでも雰囲気。アレンジは自由です。ファンタジーですから!
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