第二十八話: 人面獣と戦う冒険者たち
「ヒェーシァー」と不気味に
よく見れば、大きく開かれた口内に並ぶ鋭い歯は、奥へ向かって
「加勢しなくても大丈夫なの?」
「うむ、冒険者
「ありゃあ、そこらの中級冒険者の手にゃ余りそうだが、まぁ、ジェルザなら問題ねえだろ」
『ふむ、彼女は他のメンバーより格上なんだろうと思っていたが、実力もそれほど違うのか?』
中級冒険者
真っ正面からヒーシーに当たっているのは、ジェルザさん、戦士さん、
なるほど、確かに三人の中では彼女の動きが特に際立っている。
「ギィシェアアア!」
「どこ向いてんだい! こっちだよ!」
ヒーシーの攻撃手段は、巨体による体当たり、飛び掛かってからの噛みつきや引っ掻きである。
しかし、奴が何かをしようと
お
曲刀を持つ戦士さん、二本の短剣を持つ斥候さん、彼ら二人も同様に
攻撃を担当し、出来た隙を
見るからに恐ろしげな牙も、空気を切り裂くような鋭い爪も、当たらなければ意味がない。
やがてヒーシーは老人めいたその顔に苦痛の表情を浮かべ始めた。
危なげない戦い振りに、
「来るよ! ガードしな!」
突然響いた叫びに僕がビクッと身を跳ねさせた瞬間、ヒーシーの尻尾の先端が大きく
ずっと頭上高く持ち上げられていた尾……実を言えば、一目見たときから気にはなっていた。
その体勢からも連想される通り、サソリの尾に似た多節構成、コブ状の先端はサボテンめいた細いトゲだらけ、非常に特徴的なソレで何をしてくるのだろう、と。
しかし、予想に反し、ここまでは攻撃のために振り回されたりすることもなかったソレが……。
内側から弾けるようにして無数の小さな針を周り中……いや、前方扇状に撃ち出したのだった。
数十本では
「
「こっちもだ!
一本一本は
防具がない場所には深々と突き刺さり、ヘタをすれば、それだけで致命傷になりかねない。
「他は!?」
「
どうやら後ろにいた三人は無事だったようだ。
近くにいた
「……毒は消す。ポフ・ミュルク、慈悲深き無貌の創造神レエンパエマよ、聞き届け
ドームの中から出てきた神術師さんが被弾した二人の
『ん? 毒消し? ……げぇ、あれは毒針だったのか!?』
「気ぃぬいてんじゃないよ! ボンクラども!」
と、ジェルザさんが
「サーセン、
「もう平気っス!」
その隙に
「思いの外、厄介な攻撃だったけど、これでなんとかさっきまでの状況に戻ったかな」
『……いや、残念だが、そう簡単には行かないらしいぞ』
切り札であろう針攻撃を
「ヒェーマストゥタヴァ! ギェエトジュース! シェシェシェシェ――」
そして、意味不明な呪文?を呟くと同時に前半身を深く沈め、弾かれたバネのように駆け出す。
『なっ!? 速い! 速すぎる!』
とても目では追いきれず、後ろには無数の残像さえ残されていく。
それは、僕の持つ前世の常識では
だが、奴が駆け出した方向は、冒険者たち【草刈りの
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